作戦準備
「こうして、私たちは同じ時代の人間である貴方がたのもとに逃げ込んだのです。今は、何より新たな味方が欲しかったので」
同僚たちの悲惨な最期を一通り話し終え、露子は一息つく。
「なるほど、黄泉の国の軍勢ね......」
話を黙って聞いていた吉樹は、熟考の体勢に入る。
「吉樹、ここがただの戦国時代じゃないことぐらいもう自明だろ。俺も、こいつらと一戦やりあった際に爆撃されて、死ぬかと思って倒れたら無傷で復活してたレベルだぞ」
桜庭丸がここで今まで吉樹たちに隠していた謎現象を話し出す。彼が太一たちと戦った際の謎の少女の声にありえない蘇生についてだ。
「今まで隠していたのは確信はないのにお前を混乱させたくなかったからなわけだが、下原たちの話を聞いていると、何か関係があるのではないかと思ってな」
「確かにね。先ほどの人たちの言っていた『死んだらこっちの味方だ』という部分が気になる。しかも、彼ら自身はゾンビやグールではない訳でしょ? だとすると、この戦国自体が本物ではないかもしれないね」
桜庭丸の意見に同意する吉樹。
「けど、それなら黄泉の国の軍勢の人たちの更なる情報が必要になってしまう。下原君と春日部さんにこれ以上今日しゃべってもらうのは酷だろう。彼らには、もう今日は休んでもらって続きはまた明日でどうかな?」
「賛成だ。ただ、下原たちの事は誰にまで伝える? 下手に騒ぎが広まれば、その軍勢が俺たちの準備が終わる前に攻め込んでくるぞ」
「いっそのこと、僕たちだけの秘密に留めた方がいいかもね。彼らには、君の部屋の空いた押し入れにでも隠れてもらうしかないけど」
「どう思う、下原? 松平の意見はこうだ」
二人の意見が煮詰まったところで、桜庭丸は話を太一に振る。
「仰せのままに。俺たちはもう、貴方に頼るしかないので」
「太一様のご決断を最良な形で終わらせるのが私の役目です。その過程に関して、私の意見はありません」
太一と露子は、すぐに同意した。
「そうか、では急いで桜庭丸の部屋に案内するとしよう。移動中は僕たちの使用人という名目で行動してもらうけど、そこはごめんね」
「いえいえ、お気遣いいただきありがとうございます」
テキパキと休む準備を整える一同。
今夜は、比較的静かに寝ることができるだろう。そう、今夜はだが......
少し短いですが、すみません。次は朝方の桜庭丸から始めます。いよいよ、彼の人間関係にも物語へのカギが仕込まれ始めます。
里見レイ




