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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
転戦

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崩された均衡

「浅井は雑賀の進行を食い止めるのに必死のようですね。信長様は、なぜ浅井に反撃を加えないのでしょうか?」


「リョウはもう誰とも戦いたくないんだよ。この同級生たちが敵の戦国ではね」


 ここは岐阜城下の家老屋敷。そこに住む一組の男女は淡々と情勢の話をしている。他でもない、丹羽長秀役の雷光寺歩と磯野員昌役の中山優姫だ。

 二人がともに暮らし始めてまだ数日、互いの口調は同居する前と変わっていない。


「武田、朝倉、足利の連中も特に目立った動きはないですね。今は戦闘の幕間期間と考えていいのでしょうか、雷光寺さん?」


「いいだろうね。俺たちも部隊の再編で忙しいわけだし、互いに休憩中なんだろう」


「なるほど」


「......」


「......」


「えーと、そろそろ寝るかい? 夕飯も食べ終わって一息ついたことだし」


 そっぽを向きながら歩は優姫に提案をする。


「そう、ですね。明日もまた早いですし」


 優姫も同意を示す。既に二人寝巻姿だ。彼女はそのまま、布団を広げる。一枚の。


「今夜も、守ってくださいね。私の事......」


 掛け布団の中に入り、歩のスペースを空ける優姫。その表情は、どんな時よりも乙女だ。

 

「当たり前だろ。これは俺の誓いなんだから......」


 歩はそう言って空いた布団に入り込む。


「......それでは」


「......うん」


『......おやすみなさい』


 直後、ろうそくの火が消え、二人はそのまま.....寝た。何もせずに寝た。ただ背中合わせで、互いの微かなぬくもりを感じながら。そして、朝まで二人は目覚めない。いつもなら......



「おい、雷光寺! 大変な知らせがやって来たぞ! 起きろ!!!」


 静寂を粉砕して二人の部屋に転がり込んできたのは前田利家役の石山竜牙だ。


「せめて、ノックくらいしてから入ってきてほしいね! 緊急事態でも、そのくらいは礼儀だろう!?」


「襖でどうやってノックすんだよ?」


「床でもいいから軽くたたけばいいじゃないか!? とにかく、俺たちに戸を開ける権利をくれ!」


「雷光寺さん! とにかく知らせを聞きましょう!」


 男二人が若干的外れな議論をする中、優姫は話を前に進める。


「お、流石中山。既に布団は畳み終えたんだな」


「え、あ、まあ......」


 竜牙の奥に踏み入った感心に、優姫はたじろく。「元から布団は一つだった」とは言えまい。


「で、内容は何なのさ?」


 歩は優姫をフォローして話を戻す。


「長曾我部が織田領の摂津を制圧した! その過程で三好は速攻滅亡したらしい」


「馬鹿な!? この時代の長曾我部は四国でもまだ大して勢力を拡大していないはず!?」


「そうですよ! まだ土佐の統一もされていなかったはずです!」


 竜牙の知らせに揃って反論する歩と優姫。


「だから大変だって言ったろう! おかげで武将メンバーは全員緊急会議だ」


「これは一分一秒が惜しいね。寝巻のままリョウの部屋に向かおう!」


「はい! 雷光寺さん!」


 会議と聞いて二人は速攻で部屋を飛び出していった。


「っておい!」


 竜牙は大慌てで後を追う。

 浅井も大変なのだ。大勢力の織田に実験組織の者が手を出さないはずがないのだ。

えっと。とりあえず、あれからの二人に視点を置いて書きました。歩と優姫はこの「長曾我部戦」の中心人物になる予定ですので。

あ、リョウですか? 彼はより秀介たちに近いサイドで活躍してもらいます。竜牙、晴彦にもそれぞれ出番はありますので、頑張って書いていきます。

里見レイ

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