解放
そろそろ根本的なことを始めます。
風を切る刃物の動きと共に、辺りの草は少しずつ刈り取られて散っていく。それだけ、秀介は流れるように槍を振るっていた。しかし。
「オラオラ! お前の剣先は温すぎるんだよ!」
その槍は、カラスにかすりもしなかった。
「こいつ、幽霊なのか? かわしてもいないのに、当たるはずの攻撃が素通りしている......」
秀介の軽い動揺の混じった声。表情にも、驚きの色が浮かび始める。
「さてと、次は俺の番でいいかな?」
戦闘時の決め台詞を吐き、一度大きく飛び下がるカラス。そして、手元にある火縄銃を構える。
「......飛び道具相手には、意地であの技を開放しなければやっていけんな」
秀介、槍を後ろに引いて精神を集中させ始める。守るべき者の為に今すぐに使わなければならないのだ。対象者を凍り付かせることにのみ頭に入れる。
「.....カラスとやら。覚悟はいいか?」
「ハッ! 俺の弾に敵うとでも?」
「......これは、守るべき者の為に解放されし氷の魔術。その命を固定し、溶かし、我が力へと変換する悪魔の一撃......」
「ほう、データがインストールされているな。奴らしくアレンジが加わっているが......」
「辞世の句でも詠んでおけ、『血みどろの氷結槍』!」
滑らかな台詞回しと共に、秀介の右腕は青白い光を辺りに放ち、周囲の気温を下げた。
「......この短期間での再現、見上げたものと褒めたいが、相手が俺じゃあ焼け石に水よ」
四方に氷のかけらが散乱する中、カラスは平然とした表情で銃をいじる。
「......! やはり、お前はこそ戦国の根本を知っているのか?」
驚きながらも、疑問を確信に変えた秀介は尋ねる。普通の人なら一撃で絶命するほどの威力を、確かに秀介は叩き出したのだ。その証拠に、彼の前にある木々は全て完全に氷漬けされている。
「秀介様、もはや私たちは......」
「ああ、そうだな叶。真実は残酷だろうよ。カラス、すべて話してくれないか?」
叶が横で心配そうにする中、覚悟を固めた秀介は話を前に進める。
「まあ、このフィールドについてなら教えてやるよ。ここはな、『造られた実験場な』のさ」
冷酷な笑みを浮かべてカラスはパンドラの箱を二人に公開し始める。秀介たちの時代の人間が知ってはいけない、非道な計画を......
次回はこの戦国の説明会ですね。
皆さん、お待たせしました。物語はようやく後半戦に突入します。
里見レイ




