奇襲の人員
大変長らくお待たせいたしました。
「長政様、お待ちしておりました!」
ここは近江(滋賀県)南部の浅井の陣営。秀介の到着を知り、家老衆が真っ先に彼のもとへと駆け寄ってくる。
「ああ、ご苦労。早速だが、戦況を教えてくれ」
秀介は馬から降りながら家老に状況確認を始める。
「はい。雑賀の連中は村々である程度略奪を済ませた後、少し先の森の中に陣を構えて一向に出てこようとしません。何回か襲撃を仕掛けたのですが、悉く返り討ちにされてしまいまして......」
「我らは鉄砲相手に慣れておらんからな。致し方あるまい」
「申し訳ございません。して、長政様。何か策はございますか?」
「まあ、我と数名の精鋭で夜襲が無難だな。御主らはは南に進み、侵略された住民の保護と雑賀の物資補給路の遮断に力を注いでもらう。準備ができ次第出発せよ」
「はっ!」
家老衆は指示を聞いてすぐに散っていく。
「......秀介様、何故あなたが自ら夜襲を?」
馬の上から秀介たちの会話を見ていた叶が尋ねる。
「奴らの中に、恐らく俺たちのような特殊能力の使い手がいる。それなら、直接一騎打ちした方が楽だ。なにせ、敵は雑賀ではなく奴らを動かした織田だからな。ここで手間取る訳にはいかない」
「お、お兄ちゃんが雑賀に声をかけたのでしょうか?」
叶が心配そうな表情をする。秀介と彼女の兄の仲が壊れるのを恐れているのだ。
「さあな。あいつが速攻仕事に取り掛かれば坂本決戦の後でも十分に間に合うだろうけど」
「秀介様、私もその夜襲にご同行してもよろしいでしょうか?」
「......勝手にしろ」
叶の願いを投げ槍で許可する秀介。止めても無駄なことは、もはや決まりきったことなのだ。
「父上、私も!」
「茶々子も!」
「......僕もいいですか?」
「......お前らか、妻かのどちらかだ。全員は認めん」
秀介は、今度は許可を出さない。脳裏には、まだ苦い記憶が焼き付いているのだろう。しかめっ面が強くなった。
「......分かりました。父上と母上でお向かいください。私は茶々子と直経殿と共に帰りをお待ちしております」
「!」
「!?」
「満腹、君?」
ここで炸裂するは満腹の潔い発言。呆気にとられる三郎。
「父上に最も必要なのは母上の支援です。私たちが陣を守りますので、ご安心ください」
「そ、そうなのか?」
秀介は、満腹の断言に疑問が残っている。
「父上、どうか気を楽にされてください。母上は、そんな父上を最大限に援助されます」
「父上、茶々子はご武運を祈っておりますぞ」
「せんぱ、いや、殿。行ってらっしゃいませ」
「さあ、長政様。参りましょう」
「......分かった。行ってくる」
他のもの全員が賛同していたので、秀介は素直に提案を受け入れた。そして、再び馬に乗り、敵陣へと向かう。
日が沈むのは、間もなくだ。
申し訳ありません。11月のプロジェクトの準備がなかなかに修羅場でしたので遅れまくりました。それまで待ってくださった皆さん、本当にありがとうございました。
出来る限り早く次を出せるよう。頑張ります。
里見レイ




