お三方の反応
お待たせです。このセリフ、また言うことになるんでしょうね。
小谷では、国中から避難してくる民とその対応をする城の者たちで混乱を極めていた。
何しろ、隣接していない中立勢力がいきなり攻めてきたのだ。誰も予想できない展開な上、城に残っている有力人物が久政一人ではさすがに荷が重い。
さて、会議で招かれていた包囲網の大名たちの様子はこのようになっている。
「い、井田が戻って来るまで待っていた方がいいよね? 何か手伝いたいけどあいにく兵は最低限しか連れてきてないし。かと言って、住民の対応を手伝ったら浅井の人たちに干渉してしまって悪いし」
「馬鹿! とっとと自分の領土に帰るべきに決まっているでしょうが! このままじゃ私たちの命だって危ないのよ!」
何をすべきか決めかねて大慌てな誠二に対し、自分の立場で何をするかを第一に考える雪。
「状況を判断にするには情報が足りない。ひとまず待機が無難だと思うけどなあ、お二人さん」
そして、太一は事態の進展を様子見するつもりだ。軽率な判断は余計に危ないと判断したのだろう。
「そんな暇、あるわけないじゃない! いち早く戻らないと、向こうがどうなっているか心配よ!」
「ったく。落ち着きこそ大名に必要な素質だと思うんだけどねえ」
「井田はまだなの!?」
混沌の中というのは火を見るよりも明らか。まあ、一応彼らも高校生だ。無理もない。
「ほ、包囲網の皆様! 長政の娘、茶々子でございまーすー!」
と、そこにドタドタと足音を立て、三人のいる部屋に転がり込んできたのは茶々子だ。手には一枚の紙がある。
「ち、父上からの早馬でご、ざいます。お読み、ください、ま、せ......」
そのままうつ伏せになり動かなくなった茶々子。ぜんまいがほどけ切ったからくり人形のようだ。
「あ、井田、じゃなくて浅井殿の! さっそく読もう!!」
誠二が真っ先に反応して茶々子から手紙を取る。
「えーと、『お三方、至急領内に戻られよ。恐らく織田が貴殿らの領内にも軍を差し向けているはずだ。浅井領の話は浅井が処理する。ご心配なさらず、各自の務めを果たされよ。長政』......さすが、冷静だね。僕の親友は、本当に」
誠二はホッとしたような呆れたような表情で手紙を読み終えた。
「よーし、そうと決まれば速攻帰国よ! あんたたちも急ぎなさい!!」
雪は秒速で立ち上がり手荷物を従者に投げつける。
「へいへい。ま、こっちは露子たちが何とかしていると思うけどねえ」
「よ、四谷さん。置手紙どうしようか? 一応彼に連絡くらいは......」
「か、え、る、わ、よ!」
雪は誠二の首根っこをつかんで引きずろうとする。が、彼女は腕力がなく、誠二がストッパーとして働いたため雪自身がつまずいてこける。
「やれやれ。よくこの面子で今までやって来たものだ。井田さんには、もう少し負担かけないようにしないとなあ」
太一は落ち着いて帰り支度を進めながらこう呟く。
彼らの戦いは、これからが本番だ。
ギャグにしたかったわけではないのですが、秀介と違い意識が未だに現代よりなのでギャグっぽくなってしまいました。この三人の中では、太一が一番シリアスなんですが、どうもその味を出し切れていない気がします。今後彼にスポットを当てる時、意識を強くしていきます。
里見レイ




