第二回、包囲網会議
少しずつ少しずつ。
「はいはい、皆様いらっしゃいませー。我が城、小谷城へようこそー」
あれから数日後。秀介は気の抜けた口調で包囲網メンバーを迎える。
「長政様、もう少し真面目にお願いします!」
隣で秀介を叱る高虎。右手に急須、左手にお皿と準備で大忙しの中でも抜かりないコメントだ。
「紹介しマース。我専属の何でも屋、藤堂高虎でーす! 会議は我に代わってこの人が進めマース!」
「井田、じゃなくて浅井殿!? ど、どうしたのその落胆振り!!?」
秀介の向かいで真っ先に疑問をぶつける秀介の親友、朝倉義景役の伊藤誠二。若干だが、顔から血の気が引いている。
「子飼いの少女を信長に殺されたと城内の使用人から聞いたよ。結構可愛がっていたらしいし、こんな時に会議をお願いした俺たちが悪い気がするけどさ」
説明をしたのは下原太一。今日は四天王の少女たちをこの場に連れて来ていない。
「け、けど。直接話さないと何も決まらないじゃない! 手紙じゃこの人数で決定できないってば」
足利義昭役の四谷雪が積極論を唱える。今回の会議も、彼女が発起人だ。
「浅井はしばらく内政に注力する。度重なる遠征で何も得ることができず、民も疲れているのでな」
秀介が意見をする。言っている内容はまともだが、暗い口調のせいで消極的に聞こえてしまう。
「私も長政様と同意見です。二度にわたる織田との戦により、浅井家は破産の可能性が出てきました」
高虎、今度は秀介の意見を補強する。手元には人数分のお茶とお菓子が整っている。
「武田はしばらく、松平打倒に専念したいな。武田には海がなくて、塩確保には松平を滅ぼすのが近道だから。もちろん、その後織田征伐に参加するぞ」
「朝倉は、一応物資は十分だよ。けど、うちだけじゃ織田の相手は無理かな」
「井田、じゃなくて浅井。なんとかならない?」
太一、誠二の意見を聞き、再び秀介に出陣をお願いする雪。名ばかりの将軍である足利に戦力がないことは、この場の誰もが分かりきっている話だ。
「朝倉殿、三月待たれよ。その頃には再度数万の兵を動員できるはずだ。貴殿も内政に注力しなされ」
改まった口調で進言する秀介。その目は冷たく光っている。
「う、うん。分かった」
誠二には、こう答えることしかできない。
「まあ、各自最善を尽くすしかないな。一度皆が顔を合わせられたこと自体はいいと思うけど」
早くも結論めいたことを言う太一。さっさと出された菓子を平らげ、帰る気満々だ。
「で、でもさあ......」
それでも雪は速攻戦術を取りたがっている。
「それでは、今日の会議はこの辺で......」
秀介が閉めの言葉を口にしたその時だった。
「父上! 一大事でございます! 北部の村に物の怪の集団が出現し、民を襲っているとのこと!!!」
満腹が勢い良くふすまを開けて伝達する。
「なんだと!? 領主からの援軍要請人数は?」
秒速で顔つきを戦士にする秀介。
「父上の氷の技が必要とのことです! 至急ご出陣を!!!」
「あれは偶然の産物なんだけどなあ。とりあえず、得体の知れないものだとは分かった。すぐ行く! 数百の軍勢と俺の武具を用意しろ、満腹!!!」
「はい! 不謹慎ながら、少し久々に活気のある父上を見れて私は嬉しいです!!!」
そう答えてすばやく準備に向かう満腹。
「......ったく、俺はもう父上じゃないっつーの」
若干寂しげな表情をして会議部屋を後にする秀介。
彼の脳内は、複雑な感情が蠢いていた。
次かその次あたり、戦闘シーンになると思います。秀介が出した氷の特殊能力は、再臨するか不明です。
里見レイ




