謀略の戦闘
三郎は本来、物凄いおどけた性格で人を怒ることは滅多になかった。どちらかというと、不快な感情は全て恐怖に変わっていたからだ。
しかし、それは以前の三郎である。
今の三郎は、怒りが体を支配していた。
「戸谷を、死んでも、侮辱する気か......」
速水陸のやり方。それは人を死んでも人として扱っていなかった。
死んでいた華香は、陸にまるで雑巾のように投げられ、空いている瞼を閉じてもらってすらいない。
そして何より、陸は華香が死んでいることを喜んでいるかのように笑っているのだ。
「ここは、現実なんだぞ。死人を、ぞんざいに、扱うことは、許されない......」
三郎、すでに話すことに精神を割けないでいる。精神は、肉体強化に回されているのだ。
「ふ、死んだら人は丸太と同じ。どう扱っても構わないだろ?」
陸、あくまで態度を直そうとしない。それが当然だと言わんばかりの振舞いだ。
「殺してやる......」
三郎、ついに目から完全に光が消える。姉川の時と同様、狂戦士となったのだ。
「速水!お前、わざと挑発して黒木君を!」
二人のやり取りを見ていた歩、陸の目的を見抜く。
「ふっ、こうすりゃ何人掛りでも殺さなけりゃいけなくなるだろ?」
陸の笑みはさらに強くなる。目的の遂行に向けて事が進んでいることに満足しているのだろう。
「しゃーねーな、此畜生!」
竜牙が戦闘態勢に入る。三郎が暴れだした今、これが最善の策といえるだろう。
「......中山さん、ごめん」
諦めの表情で、歩も刀を構える。
「さ、やつを殺すぞ!!!」
満面の笑みで包丁を握る陸。
「アアアアアアアアアアアア!!!」
三郎が突撃を開始したのは、それとほぼ同時だった。
「炎の中で静かに眠りやがれ!!!」
竜牙が渾身の力を込めて、火に包まれた超長槍をぶつける。
「ガア!!!」
三郎、斧を前に出して受け流す。彼の力は、姉川とは比べ物にならないくらい強くなっていた。
「峰打ちで動きを止めれば!!!」
歩、素早く三郎の裏に回り刀を反転させて叩き込む。
「アア!!!」
三郎、後ろに目があるかのような素早さで歩の太刀をかわす。全体的な身体能力が上がっているのだ。
「ちっ、て速水! お前もテレポート使って応戦しろ!」
一旦三郎と間合いをとった竜牙、何もしないでいる陸を責める。
「悪い、俺は井田に首元やられて本気を出せないんだ。ある程度そっちでやってくれ」
ニヤニヤしながら聞き流す陸。
「ったく、ちゃんと隙を突いてくれよ!」
竜牙、再び突撃開始。
三郎VS歩・竜牙の力は、ほぼ互角。戦いは終わりを見せようとしない。
その戦いの様子を見ながら、陸は包丁をクルクル回して笑っていた。
陸がどんどんワルになっていきます。秀介は、次辺り出せればと思います(汗)。
里見レイ




