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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
坂本

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42/153

坂本決戦、開幕

 坂本の南、宇佐山城の北に位置するこの平野にて、浅井軍およそ三万九千・・・・と織田軍三万八千が対峙している。

 ずいぶん前から陣を張っている浅井軍に対し、織田軍はつい先ほど到着したばかりだ。


「満腹、合図のほら貝を吹け!!」


「はい、父上!!」


 ブオーーーーーー!!!

 起用にほら貝を吹く満腹。高虎に教えられてから数日で習得した技だ。


「全軍、突撃!!!」


 槍を構え、一気に駆け出す秀介。各部隊もそれに続く。

 織田軍は迎撃態勢をすでにとっており、槍を上下に構えている。


「弓隊! 槍衾やりぶすまを崩せ!!」


 秀介の指示に従い、織田の槍隊に矢の雨が降り注ぐ。

 浅井の弓隊は、ついこの間増強された部隊、大半を義勇兵が占めている。

 放てばいいだけという手軽さから、素人でもそれなりに扱うことができ、設備の金もかかりにくいことが利点である。

 秀介がすぐに義勇兵を動員できたのも、「槍より弓」という古い戦国の風習を適応したためである。


「それ、一気に崩しにかかれ!!!」


 織田の槍隊が動揺したところで、浅井は槍と騎馬で攻撃を開始。彼らは、根っからの足軽衆であり、戦慣れしている。

 近接戦では、やはり経験値がものをいうのだ。

 浅井の猛攻に、織田の第一陣はあっさりと崩れる。まあ、指揮官が有力家臣ではないのだろう。


「よーし、一気に叩き潰せー!!!」


 そう言って、部隊に突撃を再び命令する秀介。その後、


「速水! いるのは分かっているんだ!! さっさと出てこい!!!」


と叫ぶ。


「でまかせかどうか分からないけど、仕留め損ねた獲物はちゃんと狩らないとね」


 秀介の目の前に霧が現れ、消えたと思えばそこにいるのは包丁を持った少年。

 他でもない、竹中半兵衛役の速水陸である。

 周りが喧噪の中、二人の間には重々しい沈黙が流れていた......



「始まったようね」


 浅井の陣の後方部で、叶は喧騒を確認する。


「発、母と一緒に行きますか?」


 満腹と茶々子は秀介のもとにいるが、この次女だけは叶のそばを離れようとしなかった。


「行く」


 間を置かずに答える発。そう言いながらいいながらも、手元を動かし続けている。


「じゃあ、確かめに行きましょう。お兄ちゃんがいるかどうか......」


 叶はこっそりと陣を抜け出す。そばに高虎がいないから楽勝である。

 彼女の戦いは、今始まった。




「前田利家ー! この遠藤直経と勝負しろー!!」


 精一杯の声を出して戦場を馬で駆け巡る三郎。彼をこの場で倒さなければ、浅井軍に甚大な被害が出ることになるだろう。


「はっはっは! 槍の又左、いざ参る!!」


 三郎の前に悠々と現れる超長槍使い、前田利家役の石山竜牙。その殺気は前回以上だ。


「狂戦士! ここがお前の墓場だ! 念仏を唱え果理奈への貢ぎ物を用意しておくのだな!!」


 妹のことを口にする竜牙。すでに槍の穂先からは熱気を感じる。


「......」


 三郎、静かに精神を集中させる。彼の演技力がここで確かめられるのだ。


 姉川での一騎打ちが、今、再演されようとしている。


 さあ、坂本決戦、開幕だ。

ようやく始まりました、坂本決戦。丁寧に書いていこうと思います。

里見レイ

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