↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
坂本

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/153

とある一夜の駆け引きの話

少し、毛色変わるかもしれません。

 戦国時代に、夜更かしという言葉はほとんどない。灯りにお金がとてもかかるし、朝が午前四時くらいから始まるからだ。

 そういうことで、日が沈んで間もなく、秀介は布団に入った。

 いつもなら、そのまま爆睡なのだが、今回ばかりはそうはいかない。なぜなら


「起きてますか、秀介様?」


「ああ、まだな......」


 秀介より右に一メートルのところで女子が寝ている、厳密にいうと寝ようとしているからである。

 「年齢=恋人いない歴」の秀介にとって、この状況は、戦の最中より緊張する。思えば、夫婦として一カ月少々過ごしたわけだが、今までこのようなことは無かったのだ。


「......秀介様、起きてますか?」


「ああ」


 一体、このやり取りを何往復したのだろう。これでは、いつまでたっても寝付けないではないか。

 明日は織田との大規模戦闘の日である。ここで大将が寝不足というわけにはいかない。

 秀介は必死に対策を練り上げ、ついに根本的なことを思い出した。


「仕方ないな、ってか元からこうすれば良かった」


 ここで、彼はある決断をする。


 突然、むくっと起き上がる秀介。一度、布団からはい出る。


「しゅ、秀介様!!?」


 大きく動揺する叶。まあ、無理もない。二人とも、年頃なのだから。


「よっこいせ!」


 秀介、そのまま叶に覆いかぶさる......のではなく自分の布団をずらし始める。

 ズズズズズズ......

 部屋の隅っこに布団を動かし、


「それじゃ、おやすみ」


と再び布団に潜り込む。

 元々、二人の布団が隣り合わせだったのは、勝手に高虎が設置したからである。それが原因で眠れないのなら、布団を離せばいいだけなのだ。


「あ、えーと......」


 叶、なんと言えばいいのかわからない。まあ、「変なことされると思った」というわけではないが、「心拍数が上がった」なんて言えないだろう。


「しゅ、秀介様?」


 叶、小声ながらもまた秀介に声をかける。


「......」


 返事は、ない。


「もう少し、近くで」


 今度は、叶が布団からはい出る。


「秀介様?」


 また声をかける。返事なし。


「狸寝入りじゃない、よね?」


 一人の女性として、警戒心をまだ弱めない叶。さらに近寄り、先ほどより音量を上げる。


「秀介様ー?」


 返事は、全く来ない。


「ならば、寝顔、また見ようかな......」


 そう呟き、大胆に秀介の顔を覗き込む叶。


「......やっぱり、かわいい」


 そう言って、にんまりする叶。

 以前、見たときと、まんま変わらない寝顔に満足する。


「私も寝ーよお」


 こうして、叶は布団に戻る。そんなことを、秀介は知る由もなかった。本当に、即爆睡したのである。

なんと申しましょうか、甘くない甘さを出したつもりです。不器用や鈍感というより、理性的な思考ゆえに、秀介は叶を微妙に振り回します。ま、不器用なのは確かですけど。

里見レイ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。