秀介の想い
秀介は、散々茶々子のお遊びにつき合わされた。
あやとり、メンコ、おままごとなどである。
秀介は、このような遊びに一切慣れていない。小さいころに近所の女子に付き合わされた程度である。
茶々子は、秀介に手取り足取り遊びの基本を教えていき、かれこれ数時間。
彼女は、秀介のひざ元ですやすやと寝息を立てていた。
「ったく、自由なもんだな」
あきれながらも、娘をほほえましく思う秀介。茶々子が乗っかっているので身動き取りにくい中、散らかっているおもちゃの片づけを始める。
「父上、私がやります」
今まで、ただ沈黙していた満腹が、率先して動き出す。
「ああ、頼む」
感心しながら、お願いする秀介。本当に、よくできた息子である。
さて、これにより、秀介にはやることがなくなってしまった。
何となく、寝ている茶々子の髪をなで始める。
「俺はこの時代で何するべきか、これ見てると忘れてしまうな......」
この時代の人間、満腹がいるのに、ついこう呟いてしまう秀介。
それだけ、今があまりにも日常的な光景なのだ。
「父上」
片づけを終えた満腹が、秀介に声をかける。
「な、なんだ?」
先ほどの独り言を聞かれたと思い、慌てる秀介。
「父上は、母上を愛していらっしゃいますか?」
これは、以前茶々子がしてきた質問である。
「どうだろな......」
とりあえず、独り言の件でなくてホッとする秀介。質問の答えを考え始める。
「まだ、彼女のことはあまり分かっていないんだ。強引に夫婦になったからね」
史実の浅井夫婦も、一応政略結婚である。これで仲が良かったというのだから、素晴らしい話だ。
ただ、秀介は、まだ妻と仲が良いとは思っていない。戦に対する価値観の違いが響いているためである。
「前に茶々子に聞かれた時から頭にこびりついているんだ。俺と彼女の関係はなんなのかって」
「分からない、ということですか?」
「そうなるかな」
満腹の確認に、同意を示す秀介。
「夫婦とは、難しいものなのですね」
と満腹。
「俺たちが難しいだけだよ」
秀介は答える。
「ただ......」
秀介は、まだ話を続ける。
「お前らが望むなら、もう少し仲良くするように努力するけど、どうする?」
そう言って、満腹の目を見る秀介。冗談ではないようだ。
「一度、お二人でのんびりしてはいかがですか? 一緒のお部屋で寝るとか」
真顔で答える満腹。その目は純粋に、二人に仲良くしてほしいだけである。
「戦の前に、妻と相部屋というのは家臣に示しがつかないんだが......」
いくら満腹の提案とはいえ、賛同しかねる秀介。
「戦に連れてきている時点でもう家臣は承諾済みですよ、長政様!」
はい、高虎登場! さっと、ふすまを開ける。
「......長政様」
「......」
隣には、少々顔を赤くした叶と、黙々と新しい武器を作っている発がいた。
「実は、だいぶ前からここにいたのですが、長政様があまりにも楽しそうに茶々子殿と遊んでいらしたので、暫く様子を見ていたのですが......」
一応、盗み聞きの謝罪をする高虎。
「お主、いつも我の話を盗み聞きしてないか?」
日頃の迅速過ぎる登場に、常々疑問に思っていた秀介である。
「主の危機には速さが大事ですので!」
胸を張って答える高虎。ある意味、開き直っている。
「というわけで、今晩は子飼いの方々は私の部屋で寝てもらいます。お二人は、ここでごゆっくり」
高虎、勝手に方針を決めて部屋の中を整理すると、寝ている茶々子を含め三人を抱えて外へと出る。そしてそのまま、ふすまを閉めてしまった。
「......叶、どうしよう?」
「えーと......」
残された、秀介と叶、どうするべきか分からなかった。
すみません! 頭の中で高虎が勝手に歩き出してしまい、なんかラブコメ(?)っぽくなってしまいました。
彼はもう、仮想のミニコーナーでMCになってますし、大変なことになってます。
あ、もしミニコーナー(メルヘヴン情報局やタイガー道場みたいなの)をご要望の方はコメ欄まで。一人でもいたら、やってみようと思います。
里見レイ




