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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
坂本

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35/153

家族集合

「市、長政だ。入るぞ」


「どうぞ」


 ふすまを開け、中へと入る秀介。後から、満腹も続く。

 部屋の中には、妻役の叶、子飼いの茶々子と発が座っていた。


「父上ー!」


「だめだ」


「......」


 茶々子はすぐさま秀介に甘えようと飛びつくが、名前のわりにめちゃくちゃ運動神経のいい満腹にあっさり取り押さえられる。

 一連の動作に、あきれ顔の発。


「どうした、急に? 何かあったのか?」


 秀介は、自分を父と慕う三人を横目に尋ねる。

 しばらく考えたが、なぜ妻が今、秀介を呼び出したか見当がつかないのだ。


「この戦、信長が出陣しているとは本当ですか?」


 秀介が座るやすぐに質問を開始する叶。その目はいつになく真剣だ。


「らしいな。織田の有名所はみな来ているようだ」


 先ほど得た情報を伝える秀介。以前はそんなことしなかったが、彼女の真剣さに折れて、提供することが増えた。まあ、その真剣さが自分と以前ほど対立しないと感じたこともあるのだが。


「もしかしたら、信長は本当に私の兄かもしれないと思ったんです!」


 ずいっと前に出て、顔を近づけてくる叶。急だったので、ドギマギする秀介。


「なぜ分かんだよ? 姉川で見かけたのか?」


 秀介、何をもとにそう考えているのか分からない。


「いえ、なんか感じたんです、お兄ちゃんのオーラを!」


「お前、そんなキャラだったの......?」


 なんか、いきなり不思議ちゃんになった叶に、とりあえず突っ込む秀介。


「あ、いや、そんなものでなくて......」


 秀介の発言に、慌てて元の叶に戻る。まだ彼女には、秀介に話していない秘密が多いようだ。


「そういえば、お兄ちゃんの名前は?」


 秀介は叶の名字をまだ知らない。彼女の身近な人物についての心当たりは若干あるが、確証はない。

 よて、そんなよく分からない兄の話をされても困るのだ。


「あ、いや、まだ秘密です」


 静まり返る叶。結局、秀介は話の意図を掴めなかった。


「お兄! もういいのでは!? 母上のよくわからないような話が終わったようですぞ!!」


 叶の隣で、満腹に取り押さえられたままの茶々子が、ここぞで暴れだす。


「正直、私も母上の話が理解できない。父上もその様だし、もういいかもしれませんな」


 これには同意する満腹、ようやく茶々子を放す。


「父上ー!!!」


 今度こそとばかりに秀介に思いっきり飛びつく茶々子。しっかりと受け止める秀介。やはり、彼には父親としての素質があるのかもしれない。なお、彼はまだ十七歳である。


「すみません。織田軍の情報が知りたかっただけなものでして......」


 話が打ち切りになり、謝罪する叶。知りたかったのはそれだけなのだが、つい色々口走ってしまったようだ。


「母上、散歩行きたい」


 と、ここで発。叶の袖を引っ張りおねだり。


「え? あーうん。ちょっとだけですよ」


 すっかり母の顔に戻った叶。発を連れて部屋の外へと向かう。


「では、父上は茶々子と遊びましょー!!」


 秀介の腕の中でじゃれ始める茶々子。


「父上に迷惑かけてはいかんからな、明日出陣なのを忘れるなよ」


 一人、正座で茶々子に注意する満腹。


 さて、浅井の家族団らんは、もう少し続く。


すみません! 戦闘シーンはあと二話くらい先になりそうです!!!

里見レイ

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