第八話 白蛇
こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。
翌朝。
目が覚めた瞬間、昨夜の出来事が頭をよぎった。
橋の上。
夜風。
「会いたくなった。」
「嫌われたくない。」
そして、自分の口からこぼれた言葉。
――「桜じゃない」。
「……。」
夢ではなかった。
椿は重い身体を起こし、制服に着替える。
朝食の席では父も母も新聞とテレビに目を向けたまま、必要最低限の会話しかしなかった。
「行ってきます。」
「……。」
返事はない。
いつものことだった。
◇
教室へ入ると、桜はもう席に座っていた。
「あ、おはよう。」
昨日までと変わらない笑顔。
椿もいつも通り返事をする。
「……おはよう。」
それだけで終わる。
もう、目を合わせるのが怖かった。
休み時間。
桜はクラスメイトに囲まれ、昨日の失踪騒ぎをまた笑い話にしていた。
「だから起きたら次の日だったんだって!」
「寝すぎ!」
「親めっちゃ怒った?」
「そりゃ怒られたよ。」
教室中が笑う。
誰も疑わない。
昨日までと何も変わらない「桜」がそこにいた。
椿だけが笑えなかった。
◇
昼休み。
購買へ向かう途中、一人で廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「椿。」
振り向く。
桜だった。
「今日、一緒に食べよ。」
「……ごめん。」
思わず断ってしまう。
桜は少しだけ驚いたような顔をしたが、すぐに笑った。
「そっか。また今度。」
その笑顔に胸が痛む。
もし本当に桜なら。
こんな態度を取る自分は最低だ。
でも、身体が勝手に距離を取ってしまう。
◇
放課後。
椿は一人で自転車を走らせていた。
向かう先は決まっている。
山だった。
「……もう一回。」
あの祠を見なければならない。
何もなくてもいい。
自分の思い込みだと分かれば、それで終われる。
山道を登り、洞窟へ入る。
懐中電灯の光だけが暗闇を照らす。
広間へ着くと、祠は昨日と変わらず静かに佇んでいた。
椿は周囲を見回す。
「……。」
何もない。
紙の縄もない。
笑い声もしない。
ただ古い祠があるだけ。
やっぱり、自分の勘違いだったのか。
そう思い、帰ろうとした時だった。
視界の端で、小さな何かが動いた。
さっ。
岩陰へ白い影が滑り込む。
「何?!」
椿は反射的に懐中電灯を向けた。
誰もいない。
いや——。
岩と岩の隙間。
そこから、小さな白い頭がほんの少しだけ覗いていた。
蛇だった。
まだ子どもなのか、細く短い身体。
白い鱗が懐中電灯の光を受けて淡く光る。
「白蛇……。」
村の昔話が頭をよぎる。
その瞬間。
白い蛇と目が合った。
ほんの一瞬だった。
逃げるでもなく、威嚇するでもなく。
その黒い瞳は、まるで——
助けを求めているように見えた。
次の瞬間、小さな白蛇は岩陰へ身を滑らせ、そのまま暗闇の奥へ消えていった。
「待って!」
椿は思わず追いかける。
だが、細い隙間は指ほどの大きさしかない。
懐中電灯で照らしても、その先には暗闇しか広がっていなかった。
「……何だったんだ。」
静まり返った洞窟に、椿の声だけが小さく響いた。
そして気付く。
自分はさっき、あの蛇を見た瞬間に。
怖いではなく、放っておけないと思っていたことに。
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