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第四話 違和感

こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。

 その日の放課後。

「椿、帰ろう。」

 いつも通りだった。

 教室の後ろから聞こえる声も。

 肩に鞄を掛けた立ち姿も。

 何一つ変わらない。

「……うん。」

 椿は席を立つ。

 昨日、一晩中村中を騒がせた本人とは思えないほど、桜は普段通りだった。

 先生にも友達にも謝り、笑われ、からかわれ、それで終わった。

「秘密基地で寝るとか、小学生かよ。」

「俺もそう思った。」

 桜は照れくさそうに笑う。

「もう二度とやらない。」

 教室に笑いが広がる。

 その笑顔を見ているうちに、椿まで「本当に寝ていただけだったのかもしれない」と思い始めていた。

 もしかしたら、自分が考えすぎていたのかもしれない。

 あの洞窟で聞いた音も。

 紙が裂けたことも。

 全部偶然だったのかもしれない。

 二人は昇降口を出て、自転車へ向かった。

「今日もコンビニ行こ。」

 夏の日差しがアスファルトを照らす。

 自転車を漕ぎながら、桜はいつも通り他愛ない話をしていた。

 クラスメイトのこと。

 新しく始まるゲームのこと。

 先生のものまね。

 話の内容も、笑い方も、声も、何も変わらない。

 コンビニへ着く。

 自動ドアが開き、冷たい空気が流れ出した。

「生き返る……。」

 桜が言う。

 昨日も、その前も聞いた言葉。

 椿は小さく笑った。

「毎回それ。」

「だって暑いじゃん。」

 アイス売り場へ向かう。

 桜はケースを眺め、

「今日は冒険しようかな」

 と言って腕を組む。

 そして少し悩んでから、

「……やっぱこれ。」

 いつものソーダ味を手に取った。

 ――同じだ。

 本当に、同じ。

 会計を済ませ、店を出る。

 橋へ向かって歩く。

 何も変わらない。

 何も、おかしくない。

 そう思った、その時だった。

 桜が、何気なく椿の横へ並ぶ。

 肩が触れそうなほど近い。

 椿は一歩だけ外側へずれた。

 すると桜も、何事もなかったように同じだけ距離を詰める。

 偶然か。

 そう思い、もう一度だけ離れる。

 また近付く。

 ……

 近い。

 椿は思わず桜を見る。

「どうした?」

 桜は不思議そうに首を傾げた。

「……いや。」

 気のせいだ。

 歩道は狭い。

 並んで歩けば、これくらいの距離になることもある。

 そう自分に言い聞かせる。

 橋へ着く。

 二人はいつもの堤防へ腰を下ろした。

 川の流れる音。

 蝉の声。

 吹き抜ける風。

 景色は昨日までと変わらない。

 桜はアイスを食べながら笑う。

「そういやさ。」

「ん?」

「また秘密基地、行きたいな。」

 椿の手が止まる。

「……もう行かなくていいんじゃない?」

「え?」

「なんとなく。」

 桜は少しだけ黙り、

「そっか。」

 と笑った。

 それだけだった。

 それだけなのに。

 胸の奥がざわつく。

 桜なら。

 本当の桜なら、こんなにあっさり引き下がらない。

 「えー、なんでだよ。」

 「怖くなった?」

 「一回だけ!」

 きっと、そんなふうに笑いながら食い下がってくる。

 それなのに。

 今の桜は、一歩引くのが早すぎた。

 ほんの些細な違い。

 誰も気付かない。

 気付くはずもない。

 それでも椿の胸には、小さな棘のように引っ掛かった。

 ――何かがおかしい。

帰り道。

 二人は自転車を押しながら橋を渡っていた。

 川面を渡る風が、昼間より少しだけ涼しい。

「そういえば。」

 桜が口を開く。

「今日の英語、当てられてたじゃん。」

「ああ。」

「寝てただろ。」

「バレた?」

「それでも正解してんだもんな。俺には無理。」

 そんな他愛ない会話。

 何もおかしくない。

 何も——。

 桜が笑う。

 椿もつられて笑い返そうとして、その動きが止まった。

 ……違う。

 笑い方じゃない。

 声でもない。

 もっと曖昧で、説明のできない何か。

 昔から桜は、人と話す時、相手の目を見て笑う癖がある。

 それは今も変わらない。

 変わらない、はずなのに。

 今の視線は——。

「椿?」

 名前を呼ばれる。

「どうした?」

「……いや。」

 見すぎだ。

 昨日から考えすぎているだけだ。

 自分で自分に言い聞かせる。

 だが、その日の違和感は、それで終わらなかった。

 住宅街へ入る。

 道幅が少し狭くなるため、二人は自然と縦に並んで歩いた。

 先を歩くのは桜。

 その背中を見ていた椿は、ふと気付く。

 左足。

 右足。

 左足。

 右足。

 一定のリズム。

 それ自体は普通だ。

 けれど、交差点で立ち止まった時。

 信号が青に変わる。

 桜は何気なく、一歩目を踏み出した。

 右足だった。

 椿の視線が止まる。

 ……右?

 そんなことを考えた自分に、すぐ呆れる。

 利き足なんて、その時々で変わる。

 毎回同じ足から歩き出す人間なんているわけがない。

 それなのに。

 脳のどこかが、しつこく囁く。

 桜は左足から歩き始めることが多い。

 昔、運動会のリレーで。

 階段を上る時も。

 駅の改札を抜ける時も。

 信号が変わった時も。

 理由なんてない。

 ただ、椿はそれを知っていた。

「……俺。」

 思わず苦笑する。

「気持ち悪いな。」

「何が?」

 桜が振り返る。

「独り言。」

「変な椿。」

 そう言って笑う。

 その笑顔は、やっぱり桜だった。

 少なくとも、見た目は。

 だからこそ、自分の方がおかしいような気がしてくる。

 家の分かれ道へ着く。

「じゃあまた明日。」

「ああ。」

 桜は自転車にまたがる。

 その時。

 前髪が少しだけ目に掛かった。

 椿は無意識に、その次の動作を待っていた。

 桜は昔から、髪が邪魔になると右手で軽くかき上げる。

 癖だった。

 けれど。

 桜はそのまま何もせず、自転車を漕ぎ出した。

 風で髪が揺れても、

 視界に掛かったままでも、

 気にする様子がない。

「……。」

 小さな違和感。

 一つだけなら、偶然で済む。

 距離感。

 秘密基地への反応。

 一歩目の足。

 髪をかき上げる癖。

 どれも取るに足らないことばかり。

 けれど、それらが胸の中で静かに積み重なっていく。

 椿は夕焼けの中を走り去る桜の背中を見つめた。

 そして初めて、心の奥底で言葉にならない考えが形を持ち始める。

 ——違う。

 その一言を。

 椿は、まだ口にできずにいた。

基本的には、1週間以内に更新する予定です。

すこしでも気に入りましたら⭐をしてくださるとモチベになります!

お盆は毎日更新する予定です。あと早く読んで欲しくなってしまったので朝と昼更新にします。

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