第二話 山の奥 後編
こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。
「……あ。」
桜が思わず声を漏らした。
「触るな。」
椿は反射的に言った。自分でも驚くほど強い声だった。桜が肩をびくりと震わせる。
「いや、触るつもりじゃ……。」
言いかけて、口を閉じる。二人とも、その紙を見つめていた。薄く黄ばんだ和紙。墨で書かれた文字はほとんど読めない。だが、ただ古い紙というだけでは説明のつかない異様さがあった。見ているだけで胸がざわつく。目を逸らしたくなる。
「帰ろう。」
椿はもう一度言った。
今度は桜も素直に頷く。
「……そうだな。」
二人は祠に背を向けた。その瞬間だった。
――ぴし。
何かが軋むような、小さな音。二人とも足を止める。
「今……。」
「聞こえた。」
洞窟は再び静まり返る。何もない。聞き間違いか。そう思った次の瞬間。
――ぴし。
今度はさっきより、少しだけ近い。椿はゆっくりと振り返った。祠は変わらずそこにある。だが、その土台に巻き付いていた白い紙の縄に、一筋の亀裂が走っていた。
「……。」
言葉が出ない。細い亀裂は、生き物のようにゆっくりと広がっていく。紙が裂ける乾いた音だけが、洞窟中へ響いた。
ぱき。
ぱき、ぱき。
「まずい。」
椿は桜の腕を掴んだ。
走れ!」
「え、お、おい!」
理由を説明する時間はない。本能が叫んでいた。ここにいてはいけない。二人は入口へ向かって駆け出した。足音が洞窟に反響する。後ろから、紙が破れる音が次々と聞こえた。
――ぱん。
一本。
――ぱん。
また一本。
まるで何本もの糸が順番に切れていくような音。
「椿!」
「止まるな!」
懐中電灯の光が激しく揺れる。
一本道を夢中で走る。
こんなに長かっただろうか。
さっき来た道なのに、出口が見えない。
呼吸が乱れる。
胸が苦しい。
それでも足を止める気にはなれなかった。
その時。
背後から、何かが笑った気がした。
子どものような、大人のような、男のような、女のような。
年齢も性別も分からない、不自然な笑い声。
「……ふふ。」
ほんの一瞬。
それだけだった。
椿は振り返らない。
振り返ったら、何かを見てしまう。
そんな確信だけがあった。
やがて前方に光が見える。
洞窟の出口。
二人は転がるように外へ飛び出した。
「はぁ……っ!」
熱気が一気に身体を包む。
さっきまで聞こえなかった蝉の声が、耳をつんざくほど響いていた。
洞窟を振り返る。
入口は静かだった。
何事もなかったように、黒い穴が口を開けているだけ。
「……なんだったんだ。」
桜が息を整えながら呟く。
「崩れかけたのかな。」
椿は答えなかった。
胸の鼓動だけが異様に速い。
もう一度洞窟を見る。
暗闇の奥は何も見えない。
けれど、そのさらに奥――祠のあった場所から。
誰かに見られているような感覚だけが、いつまでも消えなかった。
基本的には、1週間以内に更新する予定です。
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