第二十六話 白い影
こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。
翌日。
放課後のチャイムが鳴る。
椿は教科書を鞄へしまうと、何も言わず教室を出た。
「椿。」
後ろから桜?が追い掛けてくる。
「今日。」
少し息を弾ませながら笑う。
「山、行けるみたい。」
椿が足を止めた。
「猟師は?」
「午前中で終わったって。」
「先生が言ってた。」
椿は数秒考え、小さく頷く。
「……行く。」
◇
二人は自転車を押しながら山道を登っていた。
昨日まであった規制用のロープは外されている。
森は静かだった。
蝉の鳴き声だけが頭上から降り注いでいる。
「久しぶりだね。」
桜?が笑う。
椿は返事をしない。
ただ、足早に洞窟へ向かう。
◇
祠へ着くと、椿はすぐ岩壁の隙間へ歩み寄った。
「桜。」
小さく呼ぶ。
返事はない。
しゃがみ込み、昨日まで白い蛇がいた場所を見つめる。
「……いない。」
胸が締め付けられる。
やっぱり。
もっと奥へ行ってしまったのか。
その時だった。
かさっ。
草が揺れる音。
椿が勢いよく振り返る。
岩陰から、小さな白い蛇が姿を現した。
「……!」
昨日見た蛇とよく似ている。
体の大きさも。
白い鱗も。
一見しただけでは区別がつかない。
蛇は椿をじっと見つめている。
椿は息を殺しながら、ゆっくり近付いた。
「桜……?」
白い蛇は逃げない。
ただ、その場で頭を少しだけ持ち上げる。
椿は胸が熱くなる。
「やっと……。」
一歩。
また一歩。
距離を縮める。
その様子を少し離れた場所から見ていた桜?は、何も言わない。
ただ静かに、椿の背中を見つめていた。
蛇はゆっくりと向きを変え、洞窟のさらに奥へ向かって這い始める。
「待って!」
椿は思わず後を追う。
「桜!」
蛇は立ち止まり、また少しだけ進む。
まるで。
「こっちへ来て」と誘うように。
椿は迷わずその後を追った。
細い通路へ足を踏み入れる。
岩壁が迫り、光が届きにくくなる。
その時。
後ろにいた桜?の口元が、ほんのわずかに緩んだ。
椿からは見えない、小さな笑み。
次の瞬間には、それも消えていた。
「椿。」
いつもの穏やかな声で呼び掛ける。
「気を付けて。足元、滑るから。」
椿は振り返らない。
「ああ。」
短く返事をして、白い蛇だけを見つめ続ける。
洞窟の奥へ。
さらに奥へ。
白い影は、一定の距離を保ったまま静かに進んでいく。
椿は気付いていなかった。
その蛇が、昨日自分と目を合わせたあの一匹とは、どこかほんの少しだけ違うことに。
そして。
本物の白い蛇は、そのさらに奥の暗闇で身を潜めたまま、椿へ届かないように必死に身をよじっていたことにも。
◇
白い蛇は、洞窟のさらに奥へ進んでいく。
椿は息を切らしながら、その後を追った。
「待って……!」
蛇は振り返ることなく、一定の距離を保ったまま進む。
やがて、小さな広場のような場所へ出た。
頭上の岩の隙間から細い光が差し込み、地面だけをぼんやりと照らしている。
白い蛇は、その中央で止まった。
「……?」
椿は辺りを見回す。
その瞬間だった。
「……これ。」
思わず声が漏れる。
地面に散らばった木の枝。
小さな木の実。
枯れ葉。
それらが並べられ、一つの文字を形作っていた。
『オレ サクラ』
椿の呼吸が止まる。
「桜……。」
震える声が漏れた。
蛇では言葉は話せない。
だから。
だから必死に伝えようとしたのだと、椿は思った。
「やっぱり……。」
膝をつき、その文字を見つめる。
「やっぱり、お前なんだな……。」
胸の奥から、熱いものが込み上げてくる。
生きていた。
本当に生きていた。
姿は変わってしまっても。
ちゃんとここにいる。
椿は震える手をゆっくりと伸ばした。
「待ってろ。」
掠れた声で言う。
「絶対、元に戻すから。」
白い蛇は静かに椿を見つめていた。
その黒い瞳は何も語らない。
ただ、小さく頭を動かしたように見えた。
椿はそれを「頷いた」のだと思った。
少し離れた場所では、桜?がその様子を黙って見つめていた。
「……見つかった?」
穏やかな声。
椿は勢いよく振り返る。
「見ろ!」
指差す。
「桜だ!」
桜?は地面の文字へ視線を落とした。
驚いたように目を見開く。
「え……。」
数歩近付き、しゃがみ込む。
「『オレサクラ』……?」
息を呑み、白い蛇を見る。
「これ……。」
困惑したように呟く。
「誰が作ったんだろう。」
椿は首を振る。
「桜しかいない。」
「だって。」
文字を見つめる。
「助けを求めてる。」
桜?は何も言わない。
ただ、どこか複雑そうな表情で白い蛇を見つめていた。
その表情は一瞬だけだった。
すぐに、いつもの困ったような笑みに戻る。
「……そうかもしれないね。」
小さく頷く。
その声は、ひどく優しかった。
けれど。
椿が文字へ視線を戻した、そのほんの一瞬だけ。
桜?の口元には。
誰にも気付かれないほど、小さな笑みが浮かんでいた。
桜?は木の枝で作られた文字を見つめたまま、しばらく黙っていた。
やがて、困ったように笑う。
「……じゃあさ。」
椿が顔を上げる。
桜?は白い蛇へ視線を向けた。
「河川敷で世話する?」
「……え?」
「家には連れて帰れないでしょ。」
穏やかな口調だった。
「蛇だし。」
桜?は肩をすくめる。
「椿の家、門限も厳しいし。」
椿は白い蛇を見つめる。
確かに、その通りだった。
家へ連れて帰ることはできない。
「だから。」
桜?は少しだけ笑う。
「河川敷なら誰も来ない時間あるし。水もある。餌も探せるかもしれない。」
椿は考え込む。
それは現実的な提案だった。
「……でも。」
桜?は少し寂しそうに目を伏せる。
「俺のことは信用してないみたいだし。」
苦笑しながら続ける。
「俺が預かるって言っても、椿は嫌でしょ?」
椿は即答しなかった。
沈黙が、そのまま答えになっていた。
桜?は小さく笑う。
「ほら。やっぱり。」
「……悪い。」
椿はぽつりと呟く。
「いや。」
桜?は首を横に振った。
「悪くないよ。信用してないのは正しいし。」
その言葉には責める色はなかった。
むしろ、どこか納得したような響きだった。
桜?はしゃがみ込み、白い蛇を見つめる。
「じゃあ。」
ゆっくり立ち上がる。
「河川敷に小さい隠れ場所でも作ろうか。石とか流木とか集めれば、少しは安心できるかも。」
椿は白い蛇へ視線を落とす。
「……そうだな。」
自分の目の届く場所なら。
毎日会いに行ける。
守ることもできる。
そう考えた椿は、小さく頷いた。
「今日のうちに作ろう。」
その言葉を聞いた桜?は、安心したように微笑む。
「うん。」
その笑顔の奥に、誰にも見えない安堵が宿っていることを。
椿はまだ知らなかった。
基本的には、1週間以内に更新する予定です。
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