表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/26

第二十三話 朝の違和感

こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。

 翌朝。

 椿は目覚ましが鳴るより少し早く目を覚ました。

 窓の外では蝉が騒がしく鳴いている。

 いつもと同じ朝。

 なのに、胸の奥だけが落ち着かなかった。

 昨夜は何度も夢を見た。

 山道。

 暗い洞窟。

 白い蛇。

 伸ばした手が届く寸前で、闇の奥へ消えていく後ろ姿。

「……。」

 椿は顔を洗いながら鏡を見る。

 寝不足なのか、目の下にうっすらと隈ができていた。

     ◇

 教室へ入ると、クラスメイトの笑い声が飛び交っていた。

「おはよう。」

 あちこちから挨拶が聞こえる。

 その中に。

「椿、おはよう!」

 聞き慣れた声が混ざる。

 桜?だった。

 昨日までと変わらない笑顔。

 椿は一瞬だけ立ち止まる。

「……おはよう。」

 短く返す。

 桜?は机へ頬杖をつきながら笑った。

「眠そう。」

「そうか?」

「昨日ちゃんと帰れた?」

「帰れた。」

「ならよかった。」

 その言葉に、椿は胸がざわつく。

 ――ならよかった。

 昨日、自分を無理やり洞窟から連れ出した本人が言う言葉ではない。

 椿は何も返さず席へ座った。

     ◇

 一時間目が終わる。

 休み時間になると、桜?はいつものように友達へ囲まれていた。

「昨日さー。」

「またゲームしてたの?」

「うん。」

 笑い声が上がる。

 その輪の中には、昨日の出来事を知る者は誰もいない。

 椿だけだった。

 あの洞窟で見た蛇の瞳も。

 白い蛇も。

 全部、自分一人だけの記憶。

「……。」

 その時だった。

 廊下の向こうから、担任の教師が慌てた様子で教室へ入ってきた。

「みんな、少し静かに。」

 教室が静まり返る。

 教師は出席簿を机へ置き、少し困ったような表情で口を開いた。

「今朝、山へ入っていた猟師さんたちから連絡があった。」

 椿の心臓が強く鳴る。

「昨日までいた蛇が、急に一匹も見つからなくなったらしい。」

 教室がざわつく。

「え?」

「全部いなくなったの?」

「そんなことある?」

 教師は苦笑しながら肩をすくめた。

「詳しいことは分からないけどな。だからといって危険じゃなくなったわけじゃない。しばらくは山へ近付かないように。」

 それだけ言うと、教師は職員室へ戻っていった。

 教室ではすぐに別の話題が始まる。

 けれど。

 椿だけは動けなかった。

 昨日までいた蛇が。

 急に一匹もいなくなった。

「……。」

 椿はゆっくりと顔を上げる。

 教室の反対側。

 桜?と目が合った。

 桜?はいつものように笑って、小さく手を振る。

 その笑顔は、昨日までと何も変わらない。

 なのに。

 椿は思わず拳を強く握り締めた。

 遅かったのかもしれない。

 そんな最悪の予感だけが、胸の奥で静かに膨らみ始めていた。

 ホームルームが終わると同時に、椿は席を立った。

「椿。」

 後ろから桜?が呼ぶ。

 振り返らない。

 鞄を肩に掛け、そのまま教室を出る。

「待ってよ。」

 足音が近付く。

 肩を並べるように歩いてきた。

「今日も山?」

 椿は無言のまま廊下を歩く。

「……返事くらいしてよ。」

 その声には困ったような響きが混じっていた。

「もう山には入れない。」

 椿はようやく口を開く。

「猟師がいる。」

「うん。」

 桜?は素直に頷く。

「だから今日は諦めよ。」

「諦めない。」

 即答だった。

「椿。」

「絶対に。」

 立ち止まり、桜?をまっすぐ見る。

「絶対に諦めない。」

 その強い視線に、桜?は少しだけ目を伏せた。

「……そっか。」

 それ以上は何も言わない。

     ◇

 放課後。

 椿は山とは反対方向へ自転車を走らせていた。

 向かったのは、村の外れにある農道だった。

 山へ入れないなら。

 山を回ればいい。

 どこかに獣道があるかもしれない。

 誰も知らない入口があるかもしれない。

 炎天下の中、自転車を降りて歩く。

 草むらをかき分け、小道を一つ一つ確かめていく。

 一時間。

 二時間。

 何も見つからない。

 汗が制服へ張り付く。

「……ない。」

 息を切らしながら呟く。

 どこへ行っても、山へ続く道は柵やロープで塞がれていた。

 猟師たちが見回っている姿も見える。

 椿は木陰へ腰を下ろした。

 喉が渇く。

 持ってきたペットボトルの水は、もう半分以上なくなっていた。

「桜……。」

 名前を呼んでも、返事はない。

 風だけが草を揺らしている。

 その時。

 ポケットの中でスマートフォンが震えた。

 画面を見る。

 送り主は、桜?だった。

『熱中症になるよ。』

 続けて、もう一件。

『今日は帰った方がいい。』

 椿は画面を見つめる。

 返信はしない。

 しばらくすると、さらに通知が来る。

『倒れたら探せなくなるよ。』

 その文章を読んだ瞬間。

 椿の指が止まった。

「……。」

 その言葉だけは、正しかった。

 今ここで倒れれば、本当に終わってしまう。

 椿はスマートフォンをしまい、ゆっくり立ち上がる。

「今日は……。」

 悔しさで唇を噛む。

「今日は、帰る。」

 敗北ではない。

 諦めたわけでもない。

 ただ、明日も探すために帰るだけだ。

 そう自分に言い聞かせながら、自転車へまたがる。

 夕焼けが山を赤く染めていた。

 その山の、誰も知らない奥深くで。

 一匹の小さな白蛇が、冷たい岩陰に身を寄せたまま、じっと村の方角を見つめていた。

基本的には、1週間以内に更新する予定です。

すこしでも気に入りましたら⭐をしてくださるとモチベになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ