第二十三話 朝の違和感
こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。
翌朝。
椿は目覚ましが鳴るより少し早く目を覚ました。
窓の外では蝉が騒がしく鳴いている。
いつもと同じ朝。
なのに、胸の奥だけが落ち着かなかった。
昨夜は何度も夢を見た。
山道。
暗い洞窟。
白い蛇。
伸ばした手が届く寸前で、闇の奥へ消えていく後ろ姿。
「……。」
椿は顔を洗いながら鏡を見る。
寝不足なのか、目の下にうっすらと隈ができていた。
◇
教室へ入ると、クラスメイトの笑い声が飛び交っていた。
「おはよう。」
あちこちから挨拶が聞こえる。
その中に。
「椿、おはよう!」
聞き慣れた声が混ざる。
桜?だった。
昨日までと変わらない笑顔。
椿は一瞬だけ立ち止まる。
「……おはよう。」
短く返す。
桜?は机へ頬杖をつきながら笑った。
「眠そう。」
「そうか?」
「昨日ちゃんと帰れた?」
「帰れた。」
「ならよかった。」
その言葉に、椿は胸がざわつく。
――ならよかった。
昨日、自分を無理やり洞窟から連れ出した本人が言う言葉ではない。
椿は何も返さず席へ座った。
◇
一時間目が終わる。
休み時間になると、桜?はいつものように友達へ囲まれていた。
「昨日さー。」
「またゲームしてたの?」
「うん。」
笑い声が上がる。
その輪の中には、昨日の出来事を知る者は誰もいない。
椿だけだった。
あの洞窟で見た蛇の瞳も。
白い蛇も。
全部、自分一人だけの記憶。
「……。」
その時だった。
廊下の向こうから、担任の教師が慌てた様子で教室へ入ってきた。
「みんな、少し静かに。」
教室が静まり返る。
教師は出席簿を机へ置き、少し困ったような表情で口を開いた。
「今朝、山へ入っていた猟師さんたちから連絡があった。」
椿の心臓が強く鳴る。
「昨日までいた蛇が、急に一匹も見つからなくなったらしい。」
教室がざわつく。
「え?」
「全部いなくなったの?」
「そんなことある?」
教師は苦笑しながら肩をすくめた。
「詳しいことは分からないけどな。だからといって危険じゃなくなったわけじゃない。しばらくは山へ近付かないように。」
それだけ言うと、教師は職員室へ戻っていった。
教室ではすぐに別の話題が始まる。
けれど。
椿だけは動けなかった。
昨日までいた蛇が。
急に一匹もいなくなった。
「……。」
椿はゆっくりと顔を上げる。
教室の反対側。
桜?と目が合った。
桜?はいつものように笑って、小さく手を振る。
その笑顔は、昨日までと何も変わらない。
なのに。
椿は思わず拳を強く握り締めた。
遅かったのかもしれない。
そんな最悪の予感だけが、胸の奥で静かに膨らみ始めていた。
ホームルームが終わると同時に、椿は席を立った。
「椿。」
後ろから桜?が呼ぶ。
振り返らない。
鞄を肩に掛け、そのまま教室を出る。
「待ってよ。」
足音が近付く。
肩を並べるように歩いてきた。
「今日も山?」
椿は無言のまま廊下を歩く。
「……返事くらいしてよ。」
その声には困ったような響きが混じっていた。
「もう山には入れない。」
椿はようやく口を開く。
「猟師がいる。」
「うん。」
桜?は素直に頷く。
「だから今日は諦めよ。」
「諦めない。」
即答だった。
「椿。」
「絶対に。」
立ち止まり、桜?をまっすぐ見る。
「絶対に諦めない。」
その強い視線に、桜?は少しだけ目を伏せた。
「……そっか。」
それ以上は何も言わない。
◇
放課後。
椿は山とは反対方向へ自転車を走らせていた。
向かったのは、村の外れにある農道だった。
山へ入れないなら。
山を回ればいい。
どこかに獣道があるかもしれない。
誰も知らない入口があるかもしれない。
炎天下の中、自転車を降りて歩く。
草むらをかき分け、小道を一つ一つ確かめていく。
一時間。
二時間。
何も見つからない。
汗が制服へ張り付く。
「……ない。」
息を切らしながら呟く。
どこへ行っても、山へ続く道は柵やロープで塞がれていた。
猟師たちが見回っている姿も見える。
椿は木陰へ腰を下ろした。
喉が渇く。
持ってきたペットボトルの水は、もう半分以上なくなっていた。
「桜……。」
名前を呼んでも、返事はない。
風だけが草を揺らしている。
その時。
ポケットの中でスマートフォンが震えた。
画面を見る。
送り主は、桜?だった。
『熱中症になるよ。』
続けて、もう一件。
『今日は帰った方がいい。』
椿は画面を見つめる。
返信はしない。
しばらくすると、さらに通知が来る。
『倒れたら探せなくなるよ。』
その文章を読んだ瞬間。
椿の指が止まった。
「……。」
その言葉だけは、正しかった。
今ここで倒れれば、本当に終わってしまう。
椿はスマートフォンをしまい、ゆっくり立ち上がる。
「今日は……。」
悔しさで唇を噛む。
「今日は、帰る。」
敗北ではない。
諦めたわけでもない。
ただ、明日も探すために帰るだけだ。
そう自分に言い聞かせながら、自転車へまたがる。
夕焼けが山を赤く染めていた。
その山の、誰も知らない奥深くで。
一匹の小さな白蛇が、冷たい岩陰に身を寄せたまま、じっと村の方角を見つめていた。
基本的には、1週間以内に更新する予定です。
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