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第二十一話 錯覚

こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。

「……一回だけだ。」

 そう言ってコントローラーを受け取った。

 桜?の表情がぱっと明るくなる。

「ほんと?」

「ああ。」

「やった。」

 その笑顔を見て、椿の胸が少しだけ痛んだ。

     ◇

 二人でレースを始める。

「うわ、また赤こうら!」

 桜?が声を上げる。

「椿、それ反則!」

「実力だ。」

「絶対狙った!」

「偶然。」

「嘘だ!」

 思わず椿の口元が緩む。

「笑った。」

 桜?が嬉しそうに言う。

「今、笑った。」

「……うるさい。」

「やっぱり笑うと椿の方がいい。」

「ゲームに集中しろ。」

「はいはい。」

 そう言って笑いながらアクセルを踏み込む。

 気付けば。

 二人は夢中になっていた。

「そこショートカットするな!」

「間に合った。」

「ずるい!」

「下手なだけだろ。」

「もう一回!」

「負けず嫌い。」

「椿にだけは言われたくない!」

 気付けば、何度も交わしてきたような言い合いをしていた。

 笑い声が部屋へ響く。

 時計の針だけが静かに進んでいく。

 ほんの少しだけ。

 本当に、ほんの少しだけ。

 椿は錯覚した。

 ――戻った。

 あの日常へ。

 放課後、コンビニへ寄って。

 川で話して。

 どちらかの家でゲームをして。

 くだらないことで笑い合っていた頃へ。

 何も起きていない世界へ。

 その錯覚は、あまりにも自然で。

 あまりにも心地よかった。

 レースが終わる。

 画面には椿が一位、桜?が二位と表示されていた。

「あー、また負けた!」

 桜?は悔しそうに笑う。

「次こそ勝つ。」

 その言葉を聞いた瞬間。

 椿の笑みが、すっと消えた。

 違う。

 今、笑っていた相手は。

 桜じゃない。

 コントローラーを持つ手に力が入る。

 楽しかった。

 間違いなく楽しかった。

 だからこそ、自分が許せなかった。

 もし、このまま過ごしてしまったら。

 本物の桜を忘れてしまう日が来るんじゃないか。

 その考えが、椿の胸を鋭く締め付けた。

――ピピピッ、ピピピッ。

 突然、電子音が部屋に鳴り響いた。

 椿も桜?も同時に顔を上げる。

 桜?は机の上に置いてあったスマホを手に取り、画面を見るなり目を丸くした。

「やば。」

 慌ててアラームを止める。

「もうこんな時間?」

 壁の時計を見る。

 門限まで、もうほとんど時間がなかった。

 桜?は申し訳なさそうに頭を掻く。

「ごめんね。」

「ゲーム、夢中になっちゃってた。」

 椿は時計を見つめたまま、小さく息を吐く。

 さっきまで時間を忘れていた自分が、少しだけ情けなかった。

「急ご。」

 桜?は立ち上がり、部屋の電気を消す。

 二人は階段を下り、玄関へ向かった。

 靴を履き終えた椿がドアへ手を掛ける。

 外はすっかり薄暗くなっていた。

「送ろうか?」

「いい。」

「そっか。」

 桜?は無理に食い下がらず、小さく笑う。

「気を付けて帰って。」

 椿は頷くだけで、外へ出ようとした。

 その背中へ、明るい声が飛んでくる。

「じゃあね!」

 椿の足が一瞬だけ止まる。

「また明日!」

 いつもの笑顔。

 いつもの声。

 そして最後に。

「学校で!!」

 その一言だけが、妙に弾んで聞こえた。

 椿は振り返らない。

「……ああ。」

 短く返事をして、自転車へまたがる。

 ペダルを踏み込む。

 家へ向かう夜道は静かだった。

 風が頬を撫でる。

 さっきまで部屋で聞いていた笑い声が、まだ耳の奥に残っていた。

 楽しかった。

 認めたくないほど、楽しかった。

 だからこそ。

 椿はハンドルを握る手に力を込める。

「違う。」

 小さく呟く。

「あれは桜じゃない。」

 何度も自分に言い聞かせる。

 忘れるな。

 惑わされるな。

 あの部屋で笑っていた相手は。

 親友の身体を奪った怪異なのだから。

基本的には、1週間以内に更新する予定です。

すこしでも気に入りましたら⭐をしてくださるとモチベになります!

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