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第十話 返せ

こちらは文をAIを使い、構成、キャラクター設定、舞台設定、話の原文、セリフの1部を私が作成しています。

「やっと、気付いてくれた。」

 その言葉を聞いた瞬間。

 椿の手から力が抜けた。

 胸ぐらを掴んでいた指が震える。

「……。」

 目の前にいるのは、桜の顔だった。

 何度も笑い合った親友の顔。

 何度も喧嘩して、何度も仲直りした親友の声。

 それなのに。

 その中から聞こえてくる言葉だけが、どうしようもなく異質だった。

「お前……。」

 椿はゆっくりと一歩下がる。

「誰なんだ。」

 桜は少し考えるように首を傾げた。

「誰、か。」

 その問いが面白かったのか、小さく笑う。

「難しいな。」

「答えろ。」

「俺は俺だよ。」

「ふざけるな!」

 椿の声が橋に響く。

 川面を渡る鳥が、一斉に飛び立った。

「桜を返せ!」

 桜?は黙って椿を見つめていた。

 怒りもない。

 焦りもない。

 ただ、その瞳だけが静かだった。

「返したくない。」

 あまりにも自然な口調だった。

 まるで、「今日は帰りたくない」とでも言うような軽さで。

 椿は息を呑む。

「……何。」

「返したくない。」

 もう一度、同じ言葉を繰り返す。

「やっと会えたんだから。」

「会えた……?」

「うん。」

 桜?は微笑む。

「ずっと会いたかった。」

「何を言ってる。」

「椿に。」

 椿の背中を冷たい汗が流れる。

「俺は、ずっと椿の隣にいたかった。」

「……。」

「でも。」

 桜?は自分の胸へ手を当てた。

「この身体じゃないと、隣にはいられなかった。」

 意味が分からない。

 いや。

 分かりたくなかった。

「お前……。」

 椿の声が掠れる。

「桜を、どうした。」

 その質問にだけ。

 初めて桜?の表情が曇った。

 ほんの一瞬。

 それは罪悪感にも見えた。

 だが、次の瞬間には消えていた。

「知らない。」

「嘘だ!」

「本当に知らない。」

 桜?は静かに首を振る。

「気付いたら、ここにいた。」

「……。」

「俺が目を開けた時には。」

 そう言って、自分の身体を見下ろす。

「もう、この身体だった。」

 椿は何も言えなかった。

 嘘をついているようには見えない。

 それが逆に恐ろしい。

「だから。」

 桜?は一歩だけ近付く。

「俺も探してる。」

 椿の呼吸が止まる。

「……何を。」

「この身体の、本当の持ち主。」

 橋の上を風が吹き抜ける。

 川の音だけが、やけに大きく聞こえた。

「もし見つかったら。」

 桜?は少しだけ笑う。

「返さないといけないんだろうな。」

 その笑顔はどこか寂しそうだった。

 けれど。

 次に続いた言葉は、その表情をすべて塗り潰した。

「でも。」

 椿の目を真っ直ぐ見つめる。

「返したくない。」

「……。」

「俺は、この身体じゃないと。」

 桜?はゆっくりと手を伸ばす。

 椿の頬に触れようとして。

 椿は反射的にその手を払いのけた。

 乾いた音が夜の橋に響く。

 桜?は驚いたように自分の手を見る。

 そして。

 悲しそうに笑った。

「やっぱり。」

「……。」

「嫌われちゃった。」

 その一言で、椿は確信する。

 目の前の存在は、人間ではない。

 人の心は分かっても、人と人との距離だけは決して理解できない。

 だから、こんなにも真っ直ぐで。

 こんなにも歪んでいる。

 椿はゆっくりと後ずさる。

「もう……。」

 震える声で言った。

「二度と桜の顔で笑うな。」

 その言葉を残し、椿は自転車へ飛び乗る。

 ペダルを踏み込む。

 もう振り返らない。

 振り返れば、きっとまたあの笑顔を見てしまうから。

 一人残された桜?は、遠ざかる椿の背中を静かに見つめていた。

 そして、誰にも聞こえないほど小さな声で呟く。

「……ごめん。」

 その謝罪が、誰に向けられたものだったのか。

 椿は知ることなく、夜の闇へ消えていった。

基本的には、1週間以内に更新する予定です。

すこしでも気に入りましたら⭐をしてくださるとモチベになります!

お盆は毎日更新する予定です

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