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ラヴ・ソルジャー ~悪魔に恋しちゃダメですか?~  作者: 紫龍院 飛鳥


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第二十三話


魔族領・魔王城 城門前


門の前には門番の兵士二名


「はぁ、暇だなぁ…」

「あーそれな、見張りの仕事なんて何もなきゃホント暇でしょうがないな…」

「ふぁ、交代まで後一時間…長いなぁ」


緊張感も欠片もない会話、だが数秒後…彼らはそんな吞気な会話をしていた自分に後悔することとなるのだった…。


「なぁ、おいあれ…」

「んん?」

「誰かこっちに向かって歩いてきやしないか?」

「馬鹿な、ここは天下の魔王城だぜ?一体誰が…」


と、そこへ現れたのは大剣を背負ったフルプレートアーマーの大男

計り知れない殺気を帯びながらゆっくりと着実に城門へ近づいている。


「おい、あれってまさか…噂の」

「ああ、間違いない…重戦士ルドルフ!?」

「おい、すぐに知らせろ!」

「分かった!」


片方は城の中へ走り、もう片方は槍を構えてルドルフに突きつける


「い、一体何の目的だ重戦士ルドルフ!これ以上来てみろ!これより先へ来れば宣戦布告とみなし…」

「…けろ」

「えっ?」

「道を、開けろぉ!!」


大声を張り上げて威圧するルドルフ、するとその時…



”カン!カン!カン!”



城中に警告を知らせる鐘の音鳴り響き中から続々と兵士達が集まってくる


「侵入者だ!」

「各員は城門前へ!」

「急げ急げ!」


多くの兵士が集まりルドルフの周りを取り囲む


「さぁ観念しろ!命が惜しくば大人しく投降を…」

「どけ、お前らに用はない…」

「な、何?」

「どけって言ってんだ三下どもがぁ!!」


大剣を抜き、力任せに振り回し兵士達を蹴散らす


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ひ、怯むな!相手はたった一人だ!数で押し潰せ!」


一斉に攻めかかるもルドルフはものともせずにバッタバッタと蹴散らしていく


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「な、なんだこの馬鹿力…」

「人間のそれとは思えん…」


必死に剣を振るうルドルフ


(考えるな、止まるな…とにかく前へ進め!)


兵士達を蹴散らし城内へ入り込む




警鐘が鳴り止まない、兵士達はルドルフを迎え撃つ為に続々向かっていく


「単騎侵入だと!?」


「一体なぜここまで…」


混乱の中、命令が飛ぶ。


「彼奴の目的は恐らく投獄中の罪人ムエルタだ!絶対に地下牢に行かせるな!」

「はっ!」

「フン、地下か…なら話は早い」

「なっ、何をするつもりだ貴様!」

「はぁぁぁ!!」


と、ルドルフは剣で床を思い切り突き立てて割る、それを何度も繰り返してとうとう力ずくで床を破壊した。


「なっ!?馬鹿な!」

「お、落ちる!うわぁー!!」



・・・・・



【魔王城 BF1 備蓄倉庫】



「イテテ…流石に無茶がすぎたか」

「き、貴様ぁ!なんてことを!」

「さて、後何回降りれば地下牢にたどり着くかな?」



一心不乱に地下牢を目指すルドルフしかし、そこへ…


「待ちな、侵入者!」

「っ!?」

「ケヒヒヒ!四天王補佐ガロモン参上!ここから先へはいかせねぇ!」

「ガ、ガロモン様だ!」

「ついに幹部が動いたぞ!」

「どけ、邪魔だ犬っころ!」

「誰が犬っころだテメェ!ふざけた野郎だ、食ってやる!ガァウ!」


牙を剥き襲い掛かるガロモン、だが…


「失せろ!」


ルドルフにたった一太刀で斬り伏せられて即、退場…


「ガ、ガロモン様が一撃で…」

「ダメだ、もう俺らなんかが敵う相手じゃねぇ!」

「フン、情けないそれでも汝ら誇り高き魔王軍か?」


と、現れたくじらのような大男


「あ、あなたは!四天王 レヴィアタン様!」

「ふむ、随分好き勝手暴れてくれたようであるなぁ人間…目的はなんだ?最早ただ我々に喧嘩を売りにきた為とは言うまい…」

「地下牢はどこだ?」

「地下牢?ふむ、なるほど…さては汝、あの大罪人の元へ行こうとしておるのか?フッフッフッ、これは傑作!囚われの姫君を救出に来た白馬の王子様ということですか…これは面白い」

「言え、地下牢はどこだ?」

「フン、そう問われて易々と教えて差し上げるほど我輩は親切ではないのだよ…だから今ここで死に給え!」

「フゥ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


挑みかかるルドルフ、必死の攻防戦の末に漸くレヴィアタンを倒す


「ハァ、ハァ、ハァ…」

「がっ、バ、馬鹿な…四天王たる我輩が、こんな、こんな人間一人に…ガクっ」


気を失うレヴィアタン


「チッ…仕方ない、他を探そう」


するとそこへ…



”パチパチパチパチ”



「ん?」

「いやぁ、相変わらず人間離れした実力をお持ちのようで…」


拍手とともに現れたのはレヴィアタン軍 補佐官 ディアブール


「丁度いい、地下牢の場所を言え」

「…断ると言ったら?」

「…力ずくで聞くまで」

「やれやれ、仕方がありませんね」


指をぱちんと鳴らすディアブール、すると魔方陣からモンスターの大群が召喚される

ケルベロス、オークキング、エンシェントドラゴン、ヒドラ…などなど、伝説級の危険なモンスターが勢ぞろい


「召喚士の格はどれほど多くの魔獣を同時に操ることができることにあります…私程度であれば、このくらいは雑作もございません」

「…っ」

「流石に怖気づきましたかね?」

「何の、俺の邪魔をするなら…容赦しない!」

「…世迷言を、ではお行きなさい!我がしもべ達よ!」


一斉に襲い掛かるモンスター軍団、ルドルフは果敢に立ち向かう



数分後、満身創痍になりながらも全てのモンスターを倒しきったルドルフ


「な、なんてことだ…あなた、本当に人間ですか?」

「…ハァ、ハァ、地下牢の場所は、どこだ?」

「…ひ、ひぃ!」


尻尾を撒いて不様な走り方で転がるように逃げ去るディアブール


「あ、待て!ぐっ、急がないと…」


するとその時、どこからともなく伸びてきた糸のようなものに全身を絡めとられる


「な、これは…」

「オーッホッホッホッホ!」


現れたのは四天王アラクネ


「歓迎するわよ、重戦士の坊や…」

「ぐ、と、取れない…」

「無駄よ、私の糸は簡単に切れる代物じゃないもの…ドラゴン十頭吊るしても大丈夫!オーッホッホッホッホ!!」

「ぐぅ、くぅ…」

「さぁ、観念して大人しく…」

「ふんっ…」


と、力ずくで糸を引きちぎろうとするルドルフ


「無駄だと言ったはずよ、諦めて大人しくしなさ…」

「嫌だ…」

「何ですって?」

「俺は、諦めない!うらぁぁぁぁぁぁ!!」


するとその時だった…



”ブチ、ブチブチブチ!ブッチィ!”



「なっ!?ドラゴン十頭分の重さだって耐えられる私の糸が!人間なんかの腕力で…」

「…今の俺は、誰にも止められないぞ!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ひ、ひぃっ!!」


と、瞬く間にアラクネを打ち倒し先へ進む


「ハァ、ハァ、急ごう…ハァ、ハァ」



・・・・・



満身創痍で体力も限界に近づく中、漸く地下牢のフロアへたどり着いたルドルフ


「漸く来たな侵入者!待っていたぞ!パオパオパオ!」


待ち構えるは四天王ベヒーモスとその部下達


「フン、ボロボロだな…そんな身体でまだ抗うか?」

「決まってる、必ず…助ける!」

「フン、人間にしては見上げた根性だな…流石はここまで来るだけのことはある…だがそれもこれまで!某が自ら貴様を倒してくれる!」

「……っ」

「フフ、某を恨むでないぞ…恨むなら、自らの運の悪さを恨むがいい!パオーン!!」

「……っ!!」


最後の力を振り絞り戦うルドルフ、だがここでもルドルフは一切臆することなく勝利を収める


「パ、パオ…て、敵ながら、天晴れ、パオ」


全身は血だらけ、身体中の骨という骨はもう何本も折れている…それでも構わずルドルフは前進するだけ…それは何故か?彼の中に何ものにも代えがたいゆるぎない信念があるからである。



【地下牢 入口】


巨大な鉄扉。


何重にもロックがかけられ開けることは困難…しかしルドルフはそれでも力ずくで開錠し扉を開ける


「…ハァ、ハァ、ルタさん」


一つ一つ房を見て周る、そして一番最奥の独房についに囚われのムエルタを発見した。



「……ル、ド?」


声が、震える。

ルドルフは、笑おうとしたがうまく、笑えなかった。


「……ごめん」


それでも、言った。


「遅くなった」


一歩近づき鉄格子に、手をかける。


「馬鹿っ……なんで……なんで来たんだ……!」


ルドルフは、答えなかった。

ただ、息を整え、剣を握り直す…そして



”バキィン!”



鉄格子を思い切り叩き斬る


「…迎えにきた、一緒に行こう」


そっと手を差し伸べる、それに対しムエルタは涙ながらにその手をとり


「…うんっ」





To be continued...



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