表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラヴ・ソルジャー ~悪魔に恋しちゃダメですか?~  作者: 紫龍院 飛鳥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/22

第二十話


【魔王城・軍法会議】


重苦しい鐘の音が、魔王城に響き渡る。


高い天井、黒曜石の床。

魔王軍上層部が一堂に会する――軍法会議。


その中央に立たされていたのは、

漆黒の鎧を外した被告人…ムエルタだった。


「悪魔騎士ムエルタ」


冷え切った声が響く。


「貴様は、灰鱗渓谷の戦闘において命令された前線殲滅を遂行せず、結果として勇者パーティーを取り逃がした」


周囲の視線が突き刺さる。


「さらに――」


水晶盤に、戦闘記録が映し出される。

ルドルフを庇うムエルタの姿。


「敵重戦士を、明確に庇護した疑いがある」


ざわめき。


「……」


ムエルタは、唇を結び、何も言わなかった。


「弁明はあるか?」


一瞬の沈黙。


「……ありません」


その一言に、空気が凍りつく。


「ほう?」

「事実です…私は任務を完全には果たせませんでした」


魔王の視線が細まる。


「理由は?」


ムエルタは、拳を握りしめる。


(言えば……全てが終わる、けど言わなくても……終わる)


「……私の未熟ゆえです」


その言葉に、一人だけ…リオが目を伏せた。

「では判決を言い渡す」


裁定官が告げる。


「悪魔騎士ムエルタを、一時拘束・職務停止とする」

「……」

「最終裁定は、追加調査の後に下される」


錠をかけられ、ムエルタは静かに連行されていった。



・・・・・



一方その頃、勇者パーティーはというと…昨日のことをルドルフに問いただしていた。


「……」


場は沈黙を極める中、漸くラミレスが口火を切る


ラミレスは、真っ直ぐルドルフを見ながら


「お前、俺達に何か隠してるだろ?」

「……」

「昨日の戦場でムエルタが撃たれた瞬間、お前はアイツのことを『ルタさん』って呼んだよな?」

「……っ」

「ありゃ一体どういうことだ?まさか、本当に…」


沈黙を貫いていたルドルフ、そして重々しく口を開いた


「…みんなが想像した通り、悪魔騎士ムエルタは…」

「ルドルフさん!」


と、言いかけた瞬間ハーミアが待ったをかける


「いいんだハーミア、どの道…もう誤魔化すつもりもない」

「ルドルフさん…」

「悪魔騎士ムエルタは、俺の彼女”ルタさん”と同一人物だ」


それを聞いた瞬間ハッとする一同


「…そんな、まさか…ルタちゃんが」

「…なんと」

「……」

「…いつからだよ」

「去年の春くらいから、俺が彼女に一目惚れして…それからずっと付き合ってる」

「去年の春って、ほぼ一年近くじゃねぇか…一目惚れ?何ふざけたことぬかしてんだよ、相手は魔族!ましてや俺らの敵、魔王軍の幹部だぞ!俺らこれまで、そいつら倒す為に頑張ってきたんじゃねぇのかよ!?」


怒りを露にし、ルドルフの胸ぐらを掴み叱責するラミレス


「ラミレスさん!落ち着いてくださいまし!」

「うるせぇ!お前もお前だハーミア!さっきの口ぶりからしてルドのこと知ってたんだろ?なんですぐ言わなかった?」

「そ、それは…」


一瞬だけ言いよどむハーミアだったが、ややあって口を開く…


「私は、ルドルフさんとムエルタさんとの間に確かな絆を見ました…間違いなくお二人は、出会うべくして生まれた存在なのだと…」

「それって、二人が例の”運命の人”同士だったってこと…?」

「はい、確証があったわけではありませんが…」

「…なんだよそれ、ふざけんなよ」


ルドルフから手を離し、力なく椅子に腰かけるラミレス


「おい、ルドルフ(・・・・)…」


いつもの呼び方ではなく真剣な顔つきでルドルフに視線を向けるラミレス


「お前、今日限りパーティーを抜けろ」

「…っ!?」

「ラミレス!?」

「ラミレス殿!?」

「それは、いくらなんでもあんまりでは…」

「いや!こればかりは感化できねぇ!コイツは俺らに隠れて魔王軍の幹部の女なんかと恋愛ごっこしてたんだ!もう信頼もクソもない、とてもじゃねぇけど背中を預けて戦う気にはなれねぇ…」

「…ごっこだと?」


ラミレスの言葉に眉をぴくっと動かして反応するルドルフ


「…俺がどんな気持ちかも知らないで、俺がどれだけ彼女のことを愛してるか知らないで…それを、ごっこ呼ばわりだと?もういっぺん言ってみろオラァ!」


声を荒げてラミレスに詰め寄るルドルフ


「ああ何べんでも言ってやるよ!この脳内花畑の浮かれ野郎!」

「なんだとこの石頭!」


ラミレスを殴るルドルフ、そこから二人殴り合いの喧嘩に発展する


「やったな!」

「そっちこそ!」

「お、お二人ともどうか落ち着いて!暴力はいけませんわ!」

「そうでござる!双方、どうか拳を納めてくだされ…」

「ふぅ、やれやれ…」


そこでリーネはスッと立ち上がり、魔法を詠唱する


「…『ウォータージェット』」


と、喧嘩する二人に思い切り水をぶっかける


「ぶっ!?冷たっ!?」

「な、何しやがんだリーネ!?」

「…二人、熱くなりすぎ…ちょっとは頭冷やしなさい」

「…っ」

「…っ」



…それからは話し合いをする空気ではなくなってしまい、各々の部屋へと戻る



「…ルタさん」


彼女の名前を呟きながらス魔法マホの中の今まで思い出の写真をスワイプしていく

一ヶ月記念での遊園地デート、初めて海に行った時、誕生日での夜…どれもこれもルドルフにとってかけがえのない思い出だった。


(ルタさん、今頃大丈夫だろうか…? そういえば前に行ってたな、もしバレたら最悪”死刑”だってあり得るって…)


最悪の想像ををしてしまい身震いをするルドルフ


(…なんか、急に嫌な胸騒ぎがしてきた気がする)


そう思ったルドルフは一人、”ある決意”を固めた…



・・・・・



【同時刻 魔王城 地下牢】


薄暗い石室。


ムエルタは、囚人服を着せられて鎖につながれ、壁にもたれていた。


(……こうなることは、分かっていた、けど後悔はない…ルドが…生きているなら……)


と、その時


「……ムエルタちゃん」


「……リオ?」


鉄格子の向こうに同期の姿があった。


「会議、聞いてたよ」

「……で?なんか用か?無様な姿を笑いに来たのか」

「まさか」


リオは、静かに首を振る。


「君は…どっちも“選ばなかった”んだね」

「……」

「悪魔騎士としても、完全に裏切ることも」


ムエルタは、目を伏せた。


「……私は、卑怯な女だ」

「違う」


リオは、低く言った。


「君はまだ…決められないだけ(・・・・・・)だ」

「……」

「でもね」


リオは、鉄格子越しに真剣な目を向ける。


「魔王軍は、もう君を信用しない」

「……」

「そして勇者パーティーも、きっと今頃彼を疑い始めている」


沈黙。


「このままだと…」

「……分かってる」


ムエルタは、

目を閉じた。


「どちらかを、選ばなきゃいけないんだろ?」

「……」



…斯くして、無情にも夜は更けていくのだった。





To be continued...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ