ういさんの物語 32話 ういさんきこりになる。
ういさん達は、西方にある魔物が作ったとされる塔を駆け登っていた。
25階の魔王は、現在南方の地に巣食っている魔王とは違った。
バフォとか言う、山羊の悪魔だった。
強力な魔物ではあったものの、今のういさん達には、相手ではなかった。
途中、幾度かの休憩を挟みつつ、すでに99階だ。
塔とは言っても、人間の作る塔とは違い、植物が生い茂り
魔物が生活する仕組みを備えた不思議な塔だった。
数多くの魔物がいたが、駆け登る4人を止める事は出来なかった。
やがて、最上階に着いた。
「まさか登頂できるとは思わなかった。」
ういさんが、感嘆の声をあげた。
「余裕だとは思った。」
シェリーさんは余裕だ。
「最上階は何があるのかなー。お宝でもあると良いのだが・・・。」
最上階は、外壁のところどころが、開け放たれ、外が見渡せた。
高い・・・。
フロアを一周したが、屋上へ行く階段は見当たらない。
「やれやれ、人間が、ここまで魔物の巣窟をめちゃくちゃにするとは。
化け猫帝国から逃れ、せっかくここを安住の地としていたのに・・・。」
どこからか声がする。
「どこだ・・・。」
ういさんは周囲を見渡した。
「壁だ・・・壁がしゃべっている。」
見ると、緑に覆われた壁の一部が声を出していた。
「お前は誰だ。ここのボスか?」
「ボス?違う。私は樹木の魔物。かつて、化け猫帝国の横暴に耐えかねて、
この地へ逃げて来た魔物達を保護するために、私が住処を提供したのだよ。
つまり、今お前達が登って来たのは、私の体だ。」
「この巨大な塔、そのものがお前というわけだな。」
「そうだ。」
「ここにお宝はないのか?」
「何を言ってるのだ。まったく。これでは、化け猫どもと同じではないか。」
そういうと魔法を唱えた。
「ワイドリザレクション!」
「何をした?」
シェリーさんがたずねた。
「ここに住む魔物達をすべて復活させた。やれやれ、膨大な魔力を消費してしまったわい。」
「倒して来た魔物を、すべて復活させたのか・・・。」
「お前らのようなものは、ここにはいらん。出ていけ。」
「ワイドディメンションドア!」
強制テレポートの魔法だ。
最上階のフロア全体が光り輝き、ういさん達は、地上に転送された。
「地上に戻されたのか・・・やれやれ、ここまでか。」シェリーさんは残念がっていた。
「帰ろうか。」ミノさんが肩を叩いて来た。
「あぁ、そうそう、最上階で外を見た時に、見えたか?」
「何が?」
「この塔とそっくりな塔が、他にも見えたんだ。」
「まじか。」
つまり、この塔を形作っている樹木の魔物は、他にもある・・・と。
「良い情報だ。次回は、そちらを攻略して行こう。」
シェリーさんは不敵な笑みを浮かべた。
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数日後、ういさん達は、別の巨大な塔の前に居た。
「食料、水、おやつ、準備ok!!!」
ういさんが元気に確認をした。
「まず、この塔そのものが、樹木の化け物だという事がわかった。そこでだ。」
シェリーさんは、カートから、斧を4本取り出した。
「植物系の魔物に対して、1000%攻撃能力が向上するエンチャントが施された
この斧を使用して切り倒す。」
「いつのまに、そんな武器を手に入れていたのだ・・・。」
ういさんは驚いたが、うしろの2人は、当然だという顔をしている。
「いつものアレね。」「あぁ、いつものことだ。」
「いくぞ。」
4人は、揃って斧を振り下ろした。
ずずーんと、地響きがすると共に、巨大な塔の壁に切り込みが入った。
「まだまだー!俺達はきこりだ!」
再び、4人は、揃って斧を振り下ろした。
ずずーんと、地響きがすると共に、巨大な塔の壁の切り込みは深くなった。
だが・・・。
「ヒール!」
どこからか声が聞こえたと思ったら、回復魔法により、壁の切り込みは修復されてしまった。
「なんだと・・・!」
シェリーさんは驚愕した。回復されては切り倒せない。
「こいつは一筋縄ではいきませんな。」「いきませんな。」
ミノさんとコビさんは、お互いにうなずきあっていた。
「ういさん、頼んだ!」
シェリーさんが何を頼んだのかは理解した。ういさんは治癒魔法を発動した。
「マイナスヒール!」
ずずーんと、地響きがすると共に、巨大な塔の壁に再び切り込みが入った。
「合わせ技で行ってみよう。」
シェリーさんの号令と共に、ういさんがマイナスヒールを
他の三人が斧で壁に切り込みを入れて行った。
ずずーんと、地響きがすると、今度は塔の上の方から声が聞こえた。
「我が塔を破壊しようとするものがいる。契約に従い、魔物達よ。
我が塔を侵略するものを排除せよ。」
すると、塔の巨大な入口から、ワラワラと魔物が大量に出て来た。
「塔を登る手間が省けて、助かるわ。」
シェリーさんは、塔の入口へ向けて大量に大魔法を唱えた。
「ロードオブヴァーミリオン!」
出て来る魔物達は、次々と消滅していった。
何体消滅させたかわからないが、5分ほど、大魔法を展開させていたころ
塔の上層から、巨体な魔物が飛び降りて来た。
ずずーん。と、地響きと共に巨大な鎌を持った3体の山羊の悪魔が巨体をあらわした。
「む。」「囲まれたか。」
コビさんとミノさんが山羊の悪魔に相対した。
シェリーさんは号令を下す。
「コビさん、ミノさん、ういさん、3体を抱えろ。要領は昨日と同じだ。」
「了解」「了解」「ういっす。」
「金剛!」「金剛!」「金剛!」
3人は、同時に防御スキル金剛を発動し、それぞれ山羊の悪魔と対峙した。
すると、3体の山羊の悪魔は、同時に魔法を唱えた。
「ロードオブヴァーミリオン!」
「ほう、私と同じ魔法を使うのか、いいだろう。勝負だ。」
そういうと、シェリーさんも同じ魔法を唱えた。
「ロードオブヴァーミリオン!」
まばゆい稲光が10分程続いただろうか?
あたり一面、焼き焦げ、悪魔の姿は消え去っていた。
「はーっはっはっはっ!私に勝とうなんざ、1000万年早いわ!」
シェリーさんは勝利宣言をした。
「この人の魔力、一体、どうなってんだ?」
ういさんは、素朴な疑問を口にした。
「魔力?すべては銭の力だよ。銭の力こそ、世界最強!はーはっはっは!」
「さぁ、きこりの再開だ!」
「きこり~は、木を切る~♪おりゃー。」「マイナスヒール!」
3人は再び、斧を振り下ろし、ういさんはマイナスヒールを放った。
ずずーんと、地響きがすると共に、巨大な塔の壁に再び切り込みが入った。
「ぐおぉぉぉぉ。」
塔の上層から叫び声が聞こえた。
「ぐぬぬぬ・・・人間め・・・、ストーンスキン!」
塔は、鉄壁となる魔法を唱えた。
斧を振り下ろしたが、石を叩くような音が響き、まったく切れなくなった。
「ストーンスキンを使われた。これでは斧で伐採できない。」
ミノさんが言う。
「ストーンスキンは、石のように硬くなるスキル、だが、反面
魔法は非常に良く効くようになる。つまり・・・。」
シェリーさんが解説した。
「ロードオブヴァーミリオン!」「メテオストーム!」
シェリーさんとミノさんが同時に魔法を唱えた。
コビさんとういさんは魔法系を習得していないため、塔が燃える様子を眺めていた。
「ぐおぉぉぉぉ。」
再び、塔の上層から叫び声が聞こえた。
「ランドプロテクター!」
ロードオブヴァーミリオンなどの大魔法を封じる魔法だ。
地面に白い魔法陣が敷かれ、魔法陣を介した大魔法が使用できなくなる。
「ありゃ、攻撃手段が絶たれてしまったぞ。」
ミノさんが困惑していた。
「うーん、困ったな。今日のところは、引き上げるか。」
「そうだな。」「そうしよう。」
「おやつでも食べながら、攻略を練り直すとしよう。」
ういさんたちは、一旦、引き返すことにした。
荒れ地に、仮設のキャンプを張り、4人は今後の検討をした。
「ギルドを作ろうと思う。」
シェリーさんは、そう言うとカートから巨大な鉱石エンペリウムを取り出した。
「どんなギルドを?」
「きこりギルドだ。」
「まじっすか。」「まじで?」「正気か?」
「やはり、すみやかに攻略するには、ギルドを結成した方が早い。
ギルドスキルも習得してみたいしな!」
そう言うが早いか、シェリーさんはエンペリウムに対して魔法を使った。
「ギルド結成!」
33話へ続く。




