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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 31話 釣りの餌

ういさんは、世界最高の職位と言っていた「超初心者」という

謎の職位になった仲間達と合流した。

先程のシェリーと名乗る女性から、仲間を紹介された。

「こちらミノさん、ミノタウロスくらい強い。こちらコビさん、斧が得意。」

どちらも屈強そうな男性だ。どちらも、超初心者に希望して成ったとの事だ。

ミノさんと呼ばれた者は、豪奢な兜と飾りで、武装しており、

コビさんと呼ばれた方は、動く羽のついた丸帽子にメガネをしており、

両者ともに、後ろに漆黒の大剣を背負っていた。


「超初心者って良いの?」

ういさんが疑問を呈した。

「めちゃくちゃ良い。」

いかつい感じのミノさんと呼ばれた男が反応した。

「素晴らしい職位だ。」

斧使いと呼ばれた、筋肉ムキムキのコビさんも同じ反応だった。


シェリーさんが解説した。

「これよりはるか西方の地にある 100階層あると噂される

巨大な魔物の巣窟へ挑戦する。3人とも、魔物を釣る餌になるように。」

「なんだって?」

「餌だ。餌。フロアの隅々まで走り回り、魔物をすべて釣って来るんだ。

逃げ遅れたら、即、死だ。心してかかれ。」

「マジか。」


そばで、仁王立ちしているミノさんとコビさんは、顔を縦に振った。

「我々はおいしい餌だ。」「我々はおいしい。」

ニュアンスがおかしいが、餌役を期待されていた。恐ろしい。なんなんだこのパーティーは。


「では向かう。」

シェリーさん達3人と、ういさんは、西方の地へ向かった。

荒れ地で、山道で、砂漠地帯で、魔物が出没したが、すべて瞬殺だった。

食料および飲料は、カートに山のように積み込み、数ヶ月は行けそうな量があった。


そして、無人の地を進む事、数十日、目的地に到着した。

「場所をスキルで記憶しておくように。街へ帰還できるようにするのは基本中の基本だ。」

4人とも、スキルで場所を記憶した。これでワープポータルで往復が可能だ。


目の前には、植物に覆われた巨大な塔が立っていた。

周囲は、荒れ地で、ところどころに草は生えているが、人の気配はない。

時折、昆虫型の魔物が徘徊していたが、すべて退治済みだ。

「この巨大な塔は、はるか昔、化け猫帝国時代に魔物が築いたとされる魔物の塔だ。

我々の試練の場にふさわしい。ふふふ。」

シェリーさんは不敵な笑みを浮かべていた。

「やべぇ人達と関わってしまったようだ。」

ういさんは後悔したが、今となってはもう遅い。前に進むだけだ。

ういさんは決心し、塔の中へ突入した。


スキルで周囲を明るく照らし、ういさん、ミノさん、コビさんの3人は、

塔の1階フロアを縦横無尽に走り回った。

部屋で区切られているわけではなく、植物で生い茂ったフロアで見渡しやすい。

あちらこちらから、魔物が引き寄せられるようについてくる。

後ろから追ってくるのは、昆虫型のカブトムシのような魔物が30体程だろうか・・・。

速度増加の魔法をかけているため、魔物より走るのは速いので、追いつかれる心配はないが。

「走るのを止めたら、死ぬ。やばい。」

やがて、魔物の数は増え、途中、ミノさんコビさんとも合流した。

追って来る魔物の数は、もう、わからない。100体くらいか?


そして、入口で待機しているシェリーさんの元へ走って行った。

「ロードオブヴァーミリオン!」

稲光が走ったと思ったら、魔物は一瞬のうちに消滅した。

おそろしい威力の魔法だ。


「いいね、いいね!おいしいそうに走っていたよ。その調子だ。」

シェリーさんが褒めている。

生きた心地がしない。私は何をやっているのだ・・・

ういさんは、疲れて、地べたに座りつつ、そう思った。


「さぁ次は2階だ。」

ただ、待っていただけのシェリーさんは元気に声をかけた。

筋肉ムキムキマンのコビさんと、マッスルなミノさんは元気だが、

ういさんは、きつい。無理。

「ありゃ、ういさん、もう疲れちゃったの?ダメダメ!

100階まで駆け抜けるよー!」

「無理っすー!」


「じゃあ、2階はシェリーと一緒に見てて。」

塔の2階へ駆け上がると、ミノさんとコビさんが、すぐにフロア中を走り始めた。

今度は木の魔物を100匹くらい引き連れて、2階の入り口へやってきた。

「あ、こいつら魔法反射持ちだ。魔法なし!なし!物理で対処して。」

シェリーさんが叫んだ。

「えっ今更?」

ういさんはびっくりした。どうするんだ。


すると、ミノさんとコビさんが二人同時に、防御スキル金剛を使用した。

「金剛!」「金剛!」

魔物の群れがミノさんとコビさんに襲い掛かるが、二人はびくともしない。

ミノさんは剣で、コビさんは斧で、魔物を次から次に血祭りにあげて行った。

「ういさんも、これくらいできるはずだよ?」

シェリーさんが優しく微笑んだ。

「・・・そうだっけか?」

ういさんは疑問を呈した。

「金剛!」ういさんもスキルを使い、魔物の群れに飛び込んでみた。

あぁ、行ける。行ける。これは痛くない。

ういさんも鈍器で、木の魔物を叩き潰して行った。


そうこうして、5階まで進んだ。

「確か、ここには魔物のボスが居る。」コビさんが、そうつぶやいた。

「あぁ、終わった。」ミノさんがそうつぶやいた。

「えっ、いつのまに?」ういさんは驚いた。

「次は、ういさんがやってみよう。」シェリーさんが、そうささやいた。

「何を?」

「壁」

「壁?」


「すべての魔物の前に立ちはだかり、魔物を一切逃がさない。

まさに、壁となるのだ。さっきのミノさんがお手本を見せていたように。」

「いや、見てない。」ういさんは、いつも即答だ。

「ミノさん、もう一回だ。」

「マジっすか。」


「ここから先は、ボスラッシュだ。」シェリーさんは宣言した。

「なんで、わかるの?」ういさんは疑問を呈した。

「マニュアルに書いてあるだろ?」

「えっ?どこのマニュアルだよ。」

「ほら、ここ。超初心者マニュアルの巻末付録。」シェリーさんは優しく教えてくれた。

「なんつーとこに・・・。」


「これ、すっげー役に立つから。予習復習は必須だよ。」

コビさんも、横から教えてくれた。

「これ、自動書記機能付きなんだ。倒した魔物の詳細データが自動で書き込まれるし

スキルで調べた魔物の情報も自動で書き込まれる。

さらに、複写した時も綺麗に自動レイアウトしてくれる。」

「すごいな・・・これ誰が、作ったんだろ。」

巻末を良く読んでみた。


著者:魔術師ギルド一同、製本:プロンテラ教会製本所

「なにー!うちの教会が作ってたのか!知らなかった。」


「ところでさ、思ったんだけど、すごい強いじゃない?どのへんが超初心者なの?」

「えっ?かよわいでしょ?」シェリーさんは即答した。

「誰が?」

「私達、かよわいわよ?」

「魔物を一掃してるのに?」

「かよわいでしょ?」


「うんうん。かよわいよな。」「かよわい。おれら。」

屈強な肉体のミノさんと、コビさんもお互いにかよわいと言っていた。

「かよわいの定義がわからなくなってきたよ。」

ういさんの本音だ。


「街に戻ったら、かよわい乙女だ!」

シェリーさんは宣言した。

「おれらもかよわい男の子だ!」「かよわい男子」

ミノさんと、コビさんも同意した


「さ、このへんで休憩終わり、次の階へ行くぞ。」

シェリーさんは、ういさんを押して先へ進んで行った。

いつのまにか、次は25階だ。

「さっき、言ったように、次はういさん壁ね。」

「お、おう!」

「練習だよ練習。マニュアル良く読んどいてね。」

「じゃ、行こうか、次、魔王だから・・・。」

「えっ?」


32話へ続く。



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