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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 27話 発掘調査

次の日は、エナミッシュがいた場所とは異なる地点から調査を開始した。

山岳地帯に、新たな遺跡と思われる遺構を発見した。

地下深く続く、広大な入口がある地下構造物だ。


調査団の一行は感嘆した。

「この地点は、これまで例の企業の研究機関が設置してあった場所だ。

構造物に隠れて、見逃していた場所だが、まさかこんな遺跡があったとは・・。」

相談の結果、地下1階の構造を、2時間程かけて調査する事に決まった。

調査隊は、入口付近に20名程を残し、先に進んだ。

規模は大きく、昔の都市の遺構のようだったようだ。

ただし、個々の家と思われる造形物は丸型でサイズが小さく、人間のものとは思えない。

採取した遺物からは毛が大量に見つかった。


調査団の一行は、早々に結論が出たようだった。

「これは、はるか昔に世界を支配していた猫型生物の都市の跡地だ。」

「人間が辺境の地に追いやられ、魔物を食い荒らし、世界の覇権を握っていた

強大な化け猫種族の都市の跡だ。ここにもあったとは・・・。」

ういさんは突っ込みを入れた。

「化け猫が世界を支配していたのか?」

「知らないのかね。はるか昔、高等かつ狂暴な種族である猫型生物ドラム族、

その一派に化け猫という種族が居た。それは強大な勢力を誇り、

人間は都市を追われ、魔物は餌にされ、生きとし生けるものはすべて

猫の遊び道具か、餌として扱われた。そんな時代があったのだ。

現在、魔王が陣取っている南方、海岸沿いの遺跡も、化け猫族の都市国家の跡地だ。」

「へぇ~さすが調査団の先生達は、もの知りだいねぇ。」

ういさんは感心した。


「ちなみに、なんでその化け猫たちは衰退してしまったんだい?」

「それは謎に包まれている。説は諸説あり。化け猫同士の争いが激化して滅んだ説と、

神の恩恵を失った説、人間と魔物の連合軍に敗れた説がある。」

「ふーん。」

「ただ、ひとつあやしい伝承があってね。将来、これら猫型生物が再び復活し、

猫が世界を席巻する。そんな伝承が残されているのだよ。」

「恐ろしいことだな。そうならない事を祈るぜ。」


-------------------------------------------------------------------------

その頃、魔王達は、南の遺跡に陣取って、勢力を拡大させようとしていた。

「魔王様、この遺跡の地下構造を調査していた魔物達が戻ってまいりました。」

「よし、報告させろ。」


入って来たのは、もぐら型の魔物。

「発掘調査は、順調ですが、とてつもなく、広大な空間を発見しました。

ただ、その空間はクリスタルのようなもので全体が覆われており、

破壊・侵入する事は出来ませんでした。

そして、扉と思われるものがひとつあったのですが、その前に、

猫型の化け物が一体封印されており、開錠する事はできませんでした。」


「この遺跡の地下に、そんなものが埋もれていたのか?

次から次に、様々な事が起きるな。よし、行ってみよう。」

幹部達を率いて、魔王は地下深くへ進んで行った。

なるほど、透明なクリスタルで覆われた空間のようなものがある。

そして、扉の前に一体の化け猫が居る。

だが、封印されているようで、硬い上に、動かない。


「ふむ。猫は、・・・硬いな。毛並みも硬く、動きもしない。確かに封印されている感じだ。

この封印は、以前どこかで見た覚えがあるな・・・どこだったか・・・。」

「時の魔法です。」

発言したのは、先日召喚されたばかりの狼の魔物「CUTIE」だ。

「俺は、召喚される前、研究所にいた。その時、耳にした覚えがある。

 これは禁忌の魔法、時の魔法です。」

「時の魔法は、神しか使えないものではなかったか。」

「はい、神の魔法です。つまり、神が封印したものと思います。」


「神・・・また、神か・・・。地上に介入しすぎではないか?」

すると、扉の方から声が聞こえた。

「立ち去れ、魔物ども、ここは聖なる化け猫帝国の首都。

餌である魔物が、勝手に入って良い場所ではない。」

「誰だ。」

「この聖なる首都を守護する化け猫の1匹、封印された化け猫の思念だ。

だが、今は封印され、動けない。無念だ・・・。」

「どうやれば、封印が解けるのだ。」

「餌ごときに封印は解けない。」


「ふむ。会話は出来るのだな。十分だ。ひとつ聞きたい。どうして封印されているのだ。」

「・・・。」

「何か答えろ。」

「・・・お前達、魔物は、我々化け猫族の餌だ。餌に、何か答える必要はない。」

「またたびを用意しろ。」

「・・・よし、答えてやろうにゃん。」

「急に態度が変わったな。」

「またたびを捧げろにゃん、捧げたら、ひとつ質問に答えてやろうにゃん。」

「調子が狂うな、おい、きのこ、こいつの思念から、聞き出せるだけ、情報を引き出せ。」

「かしこまりました。」

そういうと、魔王は、地下を去って行った。

「思念体というのは、人間種族だけの化け物だと思っていたが、違うのか。

化け猫族も思念体というものになれるのか・・・。

もしかしたら、ここに我々魔王軍強化のきっかけがあるかもしれん。

よし、連れ去った人間の研究者と合わせ、強化の研究をさせてみよう。」

魔王は、不敵な笑顔を見せた。


-------------------------------------------------------------------------

ういさんたちの調査団は経過報告のため、首都へ帰還した。

王城の大広間で、調査団が一堂に集まり、途中経過の報告を行った。


会議を先導するのは、調査団団長の初老の男性

「現在判明している事を集約した。北方担当から順次報告をお願いする。」

「はい、北方担当調査団です。すでに例の企業は消滅。

跡地から昔の化け猫帝国時代の都市の遺構を発見しました。

陸地および山岳地帯が増加しており、生物も多様な種類のものが増加、

また、別の古代の遺跡では、思念体と思われる魔物が巣食っている。注意されたし。」

「東方担当調査団です。海上に100階建てと思われる高層の塔を発見しました。

過去の資料を元に読み解くと、化け猫帝国時代に、魔物が東方へ逃れ建築した。

エンドレスタワーの類似品と思われます。」

「南方担当調査団です。南の遺跡に巣食う魔王軍は、勢力を拡大。

魔物が狂暴化しており、日々強化されている事を目の当たりにしています。

今まで縦横無尽に魔物を蹴散らしていたギルド裸族が、

苦戦を強いられるようになってきました。

南国パラダイスの地では、初心者ギルド達が根城にしてしまいました。」

「最後のは、どうでも良い報告だな。」

「西方担当調査団です。西方は、砂漠地帯、山岳地帯、森林地帯、荒れ地など、

広大な範囲で変化が起きており、調査しきれず、生物も多様です。

なお、古代の要塞跡地に変化はなく、魔物にも変化はありません。

新規の遺跡も多数発見されており、継続調査中です。」

会議は長々と続いていた。


ういさん達は、ギルド裸族の人々とも合流した。

「お久しぶり!」「元気だった?」「魔王軍が強くなったと聞いたぞ。」

セリカが質問を投げると、インクが代表して説明した。

「魔王軍は、以前に比べてはるかに強化されてきた。

今までは、取るに足らない魔物だったが、各段に強くなっている。

研究員を拉致して、日々魔物の強化に取り組んでいると聞いていたが、

その成果が出ているのかもしれない。危険度は高い。気を引き締めなければならない。」

「被害は出ているのか?」

「今のところ大きな被害が出る前に撤退している。調査が目的だからな。

ただ、1対1の勝負では勝てない魔物が多くなってきた。まずい状況だ。」

「なるほどな。」

「我々も日々の鍛錬だけでなく、装備、魔法、エンチャントなど、

多方面にわたり、強化に力を入れる必要がある。

特に、例の企業が消滅した後、武器や防具の強化手段が貧弱となってしまった事は大きい。」

「何か良いアイディアはあるのかインク?」

「今のところはない、それはセリカの方が詳しいんじゃないか?」

「うちも調査で留守にしていたからな、あまりその手の情報は疎い。

ただ、逃げて来た4名の研究者達が優秀だったので、魔導研究所を作ってもらう事になった。」

「魔導研究所?」

「あぁ魔導学の研究所だ。例の企業でも覚醒研究やエンチャント、魔法力強化の実験を

していたそうだ。実戦で役立てられるように要請している。」

「信頼できるのか?」

「すでに洗脳済みだ。なんら問題ない。」

「ははっ、それは安心だな。」


28話へ続く。

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