ういさんの物語 23話 予言の日
予言の日がやってきた。
早朝から、教会のギルド専用フロアへギルド全員が揃った。
予言の日、何が起きるのか、皆、戦々恐々としていた。
「何がはじまるというのだろうか。」「食料品や回復アイテム等は十分揃えてある。」
「武器・防具・魔法のアイテム類も予備含めて大丈夫だ。」
ういさんは、ひとつ買い忘れていた。
「あ・・・、3日前に、バナナ食べ尽くしてしまって、買い足していない!」
「ういさん、大丈夫だ。芋なら、ものすごい量を購入してある。そちらを食べてくれ。」
クルセイダーのムーンフィッシュが一昨日、芋を大量購入していたのだ。
「いや、バナナでなければ・・・。」
ういさんが、話しかけたその時、突然、全員の姿が一瞬消えたように見えた。
そして、再び、全員の姿が現れたように見えた。
・・・ただ、何かがおかしい。
まず、ギルドメンバーの配置がおかしい。
そもそも、私は一番前の席に居たはずが、今は、バナナの前に居る。
3日前に、食べつくしたはずのバナナの前に・・・だ。
「昨日、大量に買った芋がない。」
ムーンフィッシュはうろたえた。
「おかしいよ。昨日売ったはずの、鞭が手元にあるの!」
教会の歌姫モーラもあわてて叫んだ。
「何が起きているんだ!」
みんな、違和感に気づき、騒ぎ始めた。そして・・・わかった。
セリカは、みんなを前に発言した。
「わかった事は・・・予言の日から、3日前の日に戻っている。
そう、ギルド解散を告知した日だ。その日に戻っている。」
ムーンフィッシュは疑問を呈した。
「3日前の日に、時間が巻き戻っているということは、
・・・もう、神の予言は実行されたのか?」
「一旦、外へ出て、確認しよう。」
みんな一斉に外で出て、街の様子を確認した。
まず、セリカが気付いた。
「街がおかしい。この違和感は・・・BOTがいない!」
「生体機械人形か。確かに、あれだけたくさんいたのに、街に1体もみかけない。
天罰は、生体機械人形に下ったのか?」
クルセイダーのムーンフィッシュは同意したものの、さらに何かに気づいた。
「魔法がおかしい。」
教会の歌姫モーラもスキルを試してみた。
「スキルが発動しません。主要スキル全部。え・・・これも・・・。」
「スキルが発動しないだと・・・。」
セリカもいくつか魔法を試してみた。
「どうしてしまったのか。発動条件が変わったというのか・・・。」
セリカはギルドメンバー全員に指示を飛ばした。
「各自変化を調査してまわれ、街の外には行くな。
昼までに教会へ戻り、情報をまとめよう。」
ギルドメンバー総出で、異変を調査してまわった。
ういさんは、バナナを食べながら街の変化を見てまわった。
ういさんも、色々確認した。
「ヒール!」
街をうろつく猫が瀕死になった。
「これは有効だな。ほら白ポーション入りのミルクだ。飲むんだ。」
猫は必至の形相で回復剤入りのミルクを飲みつくした。
「速度増加!」
「これも大丈夫か、となると、高位の魔法スキルがダメになったんだな。」
「飯屋に、調理BOTがいなくなって閉店してる・・・うまかったのにな・・。」
「床屋も、散髪BOTがいなくなって閉店・・・と、軒並み閉店しているな。」
「街の警備BOTもいない、やりたい放題できるな。」
ういさんも街中で色々と調査してまわった。
・・・あれから2時間程度経っただろうか。
「そろそろ昼だ。知り得た情報を持ち帰ろう。」
そう思った時・・・
ういさんは、ギルド内のバナナの前に居た。
ギルド内にメンバー全員が揃っている。
朝見た、3日前に戻った時の光景だ。
私は、バナナを食べきったはずなのに、またバナナが目の前にある・・・。
増えるバナナ・・・。
ギルドのみんなは、固まっていた。思考が止まってしまったようだった。
歌姫モーラは、呆然と語った。
「わ・・・・私は魔法の調査をしていたの・・。なのに、」
クルセイダーのムーンフィッシュは、さらに深刻だった。
「芋を再び大量購入して教会内に運び込んだのだ。100人分はある量だ。
それなのに、買ったはずの、芋が・・・・ない。」
セリカも驚いた表情だった。
「また、戻ったのか?3日前の朝に・・・。どうなっているのだ。
何度も繰り返すのかこれは・・・。」
「預言者は、街にいた?」
「わからん、予言者を探せ。予言者が現れた時は、広場にいたはずだ。」
ギルドメンバーは、全員広場へ向かった。
街の住民も異変に気付き、広場へ集まってきた。
予言者は、・・・居た。
「よくぞあつまった人間達。神の一つ目の仕事は、終わった。
今日は、もう時間が巻き戻ることはない。・・・また来る。」
それだけ言い残すと、消え去ってしまった。
セリカはギルドメンバーに確認した。
「魔法は、スキルはどうなった?」
「発動しました。」「大丈夫です。」「今までと同じです。」
「それは良かった。天変地異は不明だが、どうやら天罰はBOTに下った模様だ。
街に、1体のBOTも見えない。・・・あの敵対した企業はどうなっただろうか。」
ムーンフィッシュもつぶやいた。
「しかし、街の人口がこんなに減っていたとはね。
BOTがいた数だけ、人が増えたように見えていたが、錯覚だったか。」
歌姫モーラも同意した。
「こんな大きな異変にも関わらず、広場に集まった人が少ないですよね。
以前は、もっともっとたくさんの人々が南の広場に集まっていたのに・・・。」
「それだけ、BOTの影響が大きかったのだろう。
この変化に、街は、社会は、適応できるのだろうか、いや、適応していかなければならない。」
セリカは自らを励ますように語った。
その日を境にして、インフレは少しずつだが、収まっていった。
だが、一旦、街を離れた人々は、街には戻ってこなかった。
ギルドの解散は、中止となり、ギルドメンバーに、再び笑顔が戻ってきた。
ムーンフィッシュはつぶやいた。
「また、芋を買い出しに行かなければならないのか。何度目だよ・・・。」
ういさんも同じくつぶやいた。
「もう、バナナ食べ放題期間は終わりか。もう少し楽しみたかったんだがな・・・。」
24話へ続く。




