ういさんの物語 21話 ビジネス
企業「欲望の導くままに」との戦闘は集結した。
協力したギルドは、首都の教会に集結し、清算を行った。
教会直属ギルドのセリカは、他のギルドへ説明を行った。
「協力感謝する。おかげで、無事ギルドの存続が出来た。誠に感謝する。
さて、先日の説明通り、準備金はすでに各ギルドに渡したと思う。
今回は無事に防衛を果たしたため、協力金として、50万銭×人数分を追加で支払う。」
出納係のまーちゃんが、各ギルドへ協力金を手渡して行く。
「クルセイダーギルド 50万x100名=5000万銭。
裸族ギルド 50万x500名=2億5000万銭。
初心者ギルド 50万x20名=1000万銭。
ほいほいほい。ありがとさんね。」
裸族のギルドマスター インクが感謝を述べた。
「ありがとさんよ。おかげで、裸族ギルドも延命ができたよ。」
「ずいぶんと儲かったくせに。」
「そうでもないさ、ギルド運営とは、資金繰りとの戦いだ。
まぁ今回は、相手の本拠地で破壊した 生体機械人形、BOTの残骸と、
戦利品の武器・防具・アクセサリー類は、それなりの金額で売れた。
だが、あまり良い装備はさせていなかったようだ。BOT本体の方が高額だからな。」
クルセイダーギルドの長も同意した。
「防衛協力させてもらったが、回収したBOTの武器・防具は、安物だった。
精々1品10万の武器・防具、それに魔力を帯びたアクセサリー類を含めても
1体当たり50万銭だろうか。それが500体分だから、計2億5000万銭程の臨時収入だ。」
「儲かってるじゃないか。臨時収入としては、かなり良いんじゃないか。」
「臨時収入としては・・・な。
ただ、本来は魔物討伐で安定収入を確保するのが理想だからな。
討伐そのものがBOTに取って代わられ途絶えてしまうと、財政事情が苦しくてな。
当面のギルド延命には大変助かったがな。」
「財政事情はどこも似たり寄ったりか。」
討伐・警備・いずれの仕事も、BOTが販売されてからというもの、
依頼件数は極端に減ってしまい、ギルドを維持運営していくのは、どこも苦しくなっていた。
セリカは続けた。
「すでに、中小の弱小ギルドは、いくつか解散したとの話は聞いている。
大規模ギルドも維持が苦しく、規模を縮小しているところがいくつもある。」
裸族のギルドマスターインクも同じ意見だった。
「あぁ、うちの知り合いのギルドもいくつか解散したよ。
収入の道が途絶えてしまっては、ギルド員を食わせていけないからな。」
「ギルドは、ビジネスだからなぁ。他の収入の道を探さなければ、いずれ解散も近い。」
「そういえば、敵さんの企業だが、今回かなりの損失が出ている。
もう二度と攻めて来る事はないらしい。」
セリカは、敵の内情を伝えた。
「それはアサシンからの情報か?」
「あぁ、アサシンギルド経由での情報だ。」
「武力というより、銭が勝敗を決める世界だな。」
「平和でいいじゃないか。」
「裸族のギルドメンバーは、戦闘狂が多くてな・・。ははっ。」
セリカは、インクにたずねた。
「そうそう、敵さんの本拠地で、思念体と戦ったそうじゃないか。強かったのだろう?」
「めちゃくちゃ強かった。500対300の戦いで、圧倒されていた。
300の方が、敵さんだ。あの場所が、攻撃スキル禁止区域で助かったよ。
高威力の魔法が使われていたら、どうなっていたかわからん。
幸い、高性能な回復スキルが有効だったため、火力より回復の方がうわまわってな
助かったよ。なんだろうな。死闘ではあったが、汗をかく
気持ちの良いスポーツをやっていた気分だ。すがすがしかった。」
「それは楽しめたようだな。」
「あぁ、あとな。エンペリウムは、破壊できなかった。どの武器をもってしても。」
「聞いている。アサシンからの報告では、神の力を使われていたらしい。」
「神の力・・・本当なのか。」
「神の力は、おおっぴらには使えないらしいのだが、企業の根幹であるエンペリウムにだけは
使われていたらしい。」
「ほぅ・・・、では滅ぼすこともできないのか。やっかいな敵だな。」
インクは初心者ギルドの方に顔を向けた。
「そういえば、あんたのギルドどうなっているんだ? 無敵スキルか何かあるのかい。
あの強力な思念体相手に、遊んでいたよね。」
初心者ギルドのリーダーが反応した。他の子達は、わいわいと遊んでいる。
「無敵・・・そうね。保護されているね。」
「思念体も君たちに興味津々で、狙われていたけど、あの秘密はなんなんだい?」
初心者ギルドのリーダーは胸を張って答えた。
「あの場でも言ったげと、絶大な魔力も、高威力のスキルも、何もかも習得せず
本当に、初々しい初心者にだけ、保護がかかる。そんなアイテムがあります。」
「どんなアイテムなんだい?」
「初心者のペンダントですよ。」
「んー、それ。私も駆け出しの頃、もらったけど・・・そんな効果があったっけ?
今も効果あるのかな。」
「各職業の高威力スキルを習得したりすると、効果も記憶も消えます。」
「き・・・記憶からも消えるの?」
「そうですよ。そういうアイテムなんです。」
「し・・知らなかった。いや、知っていたけど、記憶から消されてしまったのか。」
「他にも発動条件がありますけどね。」
「なるほど、良く分かった。ありがとう。だから、あの場でも緊張感がないのか。」
インクは納得した様子だった。
「そろそろいいかな。」
クルセイダーギルドの長が割って入った。
「来月、わしらクルセイダーギルド主催 神への祈りの会がある。
是非参加してもらえると、うれしい。」
「あぁ、もうそんな時期か、今年も参加するよ。」
セリカは即答した。
「他のギルドのみなさんも神への祈りへ参加を願いたい。そんなに長い催し物ではない。、
揃って、神へ救済を祈ってもらいたい。」
「あーい。」「了解。」「参加しますー。」「行きます。」
方々で参加の意思表明があった。
・・・この神への祈りが、きっかけだったのかもしれない。
後日、世界を震撼させる出来事が起こる。
22話へ続く。




