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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 20話 最強対無敵

ギルド裸族は、企業「欲望の導くままに」の本社最上階へ突入した。

そこは大きなフロアで、中央に、禍々しいオーラを漂わせる宝石「エンペリウム」が

設置されていた。これを破壊する事で、勝敗は決するはず・・・。


だが・・・

「族長、思念体が来た。警戒してください。」

「思念体?」

突如通信が入った。思念体は強力な魔物の一種だ。

「一旦戻る。」

セリカは地上へ戻った。


外へ出ると、思念体が居た。一体だ。精霊使いのエレメンタルマスターだ。

「敵意はない。このように精霊は連れていない。」

確かに、手ぶらで、何も精霊は召喚していない。だが、油断はできない。

「実は、さっき、天使を降臨させているところを・・・いや、会話しているところを見た。

どうやって、実現させているのか知りたいんだ。是非とも。」


どうやら、天使の降臨に興味があるらしい。

「あぁ、初心者ギルドの連中だな。私達ではない。・・・あいつら、どこへ行った?」

「5階の食堂で、飯食ってます。」

「あいつら・・・緊張感がまったくないな。」


「5階に居るそうだが・・・。今は見ての通り、この施設の攻略中だ。

あとにしてもらえるか?」

「5階か・・・行かせてもらうか。何、邪魔はしないよ。」

「待て、何度も言うように、今は戦闘中だ。侵入するようなら、敵とみなす。」

「・・・。わかった。ここで待たせてもらおう。」


一時間程待った後、初心者ギルドの連中が降りて来た。

「あぁ~おなかいっぱい。」「パフェうま~!」「来て正解だったね。」

こいつら、絶対遊びに来ただろう・・・。


「お待ちしていた。思念体、緑のエレマスだ。先程天使を使役していたのを見た。

是非、その神髄を教えて欲しい。」

「天使?」「一緒に遊ぶ?」「お!思念体だね。」「魔物だね。」「幽霊さんなの?」

初心者ギルドのリーダーが前へ進み、説明した。

「なんで魔物がここに?まぁ敵対しないのなら、いいけど。

天使ね・・・、他の魔法と同じで、いくつかの条件を達成していないと呼び出せないよ。

その条件はいくつかあるんだけど。」

エレマスは、身を乗り出して聞き入った。


「まず、全部のスキルを捨てて、何もない初心者に戻ったら、教えてあげるよ。」

「はっ?」

「それが条件!」

「教える気がないのか?」

「いや、それが発動条件・・・。」

「ふざけるな!」

激怒し始めた。


まずい・・・。周囲の裸族ギルドの面々は、すでに戦闘態勢に入った。


--------------------------------------------------------------------

そのやりとりを、アチカは離れた建物の屋上から見守っていた。

「あいつ・・・。一人で行って、大丈夫か? 天使を使役したいからって・・・。」


すると、そこに複数の人がやってきた。

「げっ!社長・・・それに、幹部達・・・。なんでここに。」

「おー。アチカ君、ここからの眺めが良いと聞いてやってきたのだよ。」

神に連なると言われている社長は、白のスーツを着ており、他の幹部と同じ服装だ。

だが、他の幹部と違い、妙なオーラを放つ壮年の男だ。


「社長、本社は、制圧されてしまいましたよ。いいんですか?」

「あー、心配しているのだね。アチカ君。大丈夫。

 本社の建物の素材、ほとんど研究室の実験体だから。またいつでも自動補充できるよ。」

「いえ、エンペリウムを破壊されては、まずいのでは?」

「あー、エンペリウムね。うんうん。本来は壊されたら終わりだがね。

ちょっと神の力を使って、汚染したのだよ。だからね、絶対に破壊する事は出来ない。」

「神の力・・・。」

「まぁ普段行使しては、まずいのだがな。心臓部くらいは固めないとな。」


社長は続けた。

「それにしたって、BOTは弱いな。相手が最強のギルドとは言え、弱すぎないか?

ここまで弱いとは、想定外だよ。」

「ひとつ、質問しても良いでしょうか。」

「なんだね?アチカ君 君は優秀だからね。質問を許そう。」

「あいつら、思念体は、どこから来るんですか?」


「思念体? 召喚された者達の事かね?」

「そうです。どこから召喚されるのですか。」

「プールだよ。プール。君は知らないかもしれないが、このような世界は、他にも複数存在する。」

「え・・・他にも?」

「それらの世界で死んだ者達は、我々がプールと呼んでいるところへストックされる。

そして、召喚されると、そのプールの中から呼び出されるのだよ。

呼び出される際には、記憶その他がリセットされて、呼び出されるのだ。

不具合で、たまに記憶が残る事もあるようだが。」

「他にも、ここと同じような世界があるのですか?」

「そうだとも。ちなみに、我々の住んでいるこの世界は(混沌:カオス)と呼ばれている。」

「混沌・・・。」

「おっ、状況に変化があったようだぞ。質問はここまでだ。」


--------------------------------------------------------------------

「族長・・・だめだ。あのエンペリウム、まったく壊せない・・・。

あれ?族長達、外で何してるんだ。」


裸族の面々は、BOTを排除し終えて、外に集まりつつあった。

「思念体・・・?」


「もう一度言う、天使を使役する方法を教えろ。」

先程と態度が違う。

「なんか怒ってるよ。」「なんかした?」「さぁ?」「魔物だからじゃない?」

初心者ギルドの面々は、やわらかなレジャーシートを敷いて、くつろいでいる。

「ばなな食べる?」「さっき食堂でパフェ食べたからいらない。」「ジュースは?」


初心者ギルドのリーダーが、両手を広げて説明していた。

「しつこいなぁ。だからさ、魔法とかスキルとかすべて捨て去って、その職業なんだっけ

・・・エレメンタルマスターの称号も消し去って、初心者に戻れば教えてあげるさ。」

「捨てられるわけがないだろう!」

「望めば、初心者に戻してあげるさ。」

「なんだと・・・戻す?」

「戻りますか? 初々しい頃の初心者に・・・。スキルも魔法も何もかも使えなくなり、

魔力さえ失い、本当に何もできない初心者へ戻して上げますよ。」

「・・・本気で言っているのか。・・・いや、捨てられるわけがないだろう。

私はこの世で最強の精霊使い、エレメンタルマスター!

お前を連れ帰り、天使を使役する方法を吐き出させて見せる。」


「そこまでだな。」

インクが介入した。

「思念体さん、見てたが、本当のようだぞ? うちのギルドは、初心者ギルドとは

あまり関係はないのだが、もし、暴れるようなら、裸族が相手になるぞ。」


「お姉さん素敵!。」「きゃーお姉さんかっこいい!」「惚れた。」「惚れる~。」

黄色い声援が聞こえた。


「サモンサーペンス、ディルビオ、アルドール、プロセラ、テレモトゥス!」

緑のエレマスは精霊召喚魔法を唱えた。

土・火・水・風・毒の5属性の精霊が同時に召喚された。

「一気に5精霊召喚? そんなことが出来るのか・・・さすがだな。

最強を名乗るだけの事はあるな。」

インクは、相手を褒め称えた。

「だが、ここでは攻撃魔法は封印されている。精霊を呼び出したところで

せいぜい回復魔法か、移動魔法くらいしか使えないぞ?」


緑のエレマスは、さらに精霊を呼び出そうとして、気が変わった。

「せっかくだ。我々の仲間も紹介しよう。戦闘したがっていた連中もいたのでな。

ギルドスキル!緊急召喚!」


瓦礫と化した本社棟前の広場に、突然、思念体が100体・・

いや、300体近くはいるだろうか。いきなり、召喚された。

これには裸族の猛者も、驚いた。

「数が多すぎる。」「こいつは狂ってやがる・・・。」「やべぇな、こりゃ。」


思念体の一人 アークメイジが、緑のエレマスに話しかけた。

「どうした?いきなり呼び出して、ここで戦闘か?いよいよ我々も動くのか?」

「狙いは、あそこで、ふてぶてしい態度で寝転がっている連中だ。、連れ帰り

天使を召喚する方法を吐き出させる。」

「なるほど、なるほど。・・・で、その間に立つ、邪魔な人間を排除するというわけか。」

「その通りだ。」


裸族側も臨戦態勢だ。

「族長、こいつはやべぇですぜ。一応BOTは排除したとはいえ、こいつらは想定してなかった。」

「同意です。思念体と言えば、強敵です。魔法が封じられているとはいえ、

実力はあなどれません。」

「あと、初心者ギルドに守ってもらう意思が見えない。なんで寝てんだ、こいつら。」


「おなかいっぱいで、眠い。」「むにゃむにゃ。」「戦闘楽しそう。」

インクは、初心者ギルドのリーダーに声をかけた。

「・・・ゴミさんと言ったっけか。あんた狙われてるが、大丈夫か?」

「気遣いありがとう。心配無用だ。寝転んでいる連中も、まったく心配無用だ。」

「はっ、そういうことか。」

インクは、笑顔に変わった。

「よーし、みんなよく聞け、初心者ギルドの子達は、守る必要なし。

おもいっきり、暴れてよし。」

「いいのか。」「あら、そうなの?」「よし、気合入れて行くか。」「応援よろしくね。」


「じゃあ、そろそろ肉弾戦をはじめようか・・・。」

思念体も、人間も、お互い狂気に満ちた笑顔に変わり、両者は激しく衝突した。


「インティミディト!」「ディメンションドア!」

思念体のアビスチェイサーが飛び込み、初心者ギルドの子達に、

拉致スキルを駆使したが・・・不発に終わった。

「効かない・・・?」「フルストリップ!」


「いやーん。」「脱がされるー。」「きゃー。」

黄色い歓声があがるが、やはりスキルは不発に終わった。

「ダメか・・・。」思念体のアビスチェイサーは去って行った。


次に、風の精霊プロセラがやってきて、初心者ギルドの一人を捕まえようとしたが、

何もできず、戻って行った。

同じように、思念体のインペリアルガードや、アークメイジも来て、

捕まえようとしたが、やはり、何もできずに、戦闘に戻って行った。


「楽しいね!」「大迫力だね!」「ワクワクしちゃうね!」

初心者ギルドの連中は、戦闘を楽しく観戦していた。


「楽しそうだな!さぁ天使降臨の法則を教えてもらうぞ。」

 緑のエレマスが、突如、初心者達の背後に現れた。

そして、一人を捕まえようと腕を差し出したが・・・つかめない。

「なに・・・?どうなっている。ここに居るのに、腕を差し伸ばしても触れない。

蜃気楼か、幻覚でも見ているのか・・・私は・・・。」


「おー、ここにいたか。」

インクが追いかけて来た。

「ははっ、苦労しているようだな。緑のエレマスと言ったか。どうだ?捕まえられそうか。」


「どうなっている。まったく触れもしない。捕まえられない。

 本当に、人間なのか? ここに存在する者なのか?」

「それは、うちもわからないなぁ。」

「あはは。」「お姉さん頑張れ。」「ぐーぐー。」「むにゃむにゃ、う~ん?」


「くそっ、これでは・・・これでは・・・。寝てるだけなのに、何故、捕まえられないのだ。」

緑のエレマスは絶望しかけていた。

「残念だったなぁ。」

インクも心から同意した。


エレマスは、思念体全員へ指示を飛ばした。

「ダメだ。肝心のターゲットが何かしら保護がかかっているようで、奪えない。

時間の無駄だ。今回は断念し、撤退する。」

「あれ、帰っちゃうの?」「おつかれさま」「よくがんばりました。」「またねー。」


思念体達は、次々と姿を消して行った。

「被害状況は?」インクは即座に状況確認を行った。

「被害なし」「肉弾戦のダメージより、回復魔法の効果の方が上でした。」

「なるほどな。」


インクは全員を集めた。

「ご苦労だった。いい汗をかいたと思う。5階の食堂がまだ利用できるとの情報だ。

毒味は、初心者ギルドがすでに実施済みだ。敵地だが、飯食って帰るぞ。」

「ういっす。」「飯だー。」「食うぞー。」「あいあいさー。」「族長かっこいいっす。」

「族長、6階に、大浴場があるっす。お背中流します!」

「よーし、みんな食事が終わったら、風呂入って帰るぞ。」

「着替えがないっす。」

「俺たちのギルド名を言ってみろ。」「裸族っす。」

「よーし、みんな全裸で帰るぞ!」

「うぃーっす!」「了解です!」「あいあいさー。」


こうして、裸族と初心者ギルドの子達は、飯食って風呂入って帰って行った。


--------------------------------------------------------------------

「やれやれ、茶番は終わったか。」

遠くから見ていた企業の幹部連中は、一息ついた。

「いいんですか?これからどうするんですか?」

幹部連中にアチカはたずねた。

「半年分の収益が吹っ飛んだな。」「あぁ戦闘行為ほど、無益なものはない。」

「本社棟は、研究所から実験体を再生産して元通りに出来る。」


「そもそもなんで教会連中と戦いを・・・?」

アチカは続けてたずねた。

「企業の秘密を盗み取ろうとした相手には、しっかりとした対応をせねばならない。」

「ただ、そのために、こんなに金額がかかるとはな・・・損失がでかすぎる。」

「これ以上、こんな茶番は出来ない。我々の目的は戦争ではないからな。」

社長は言った。

「その通りだ。最終ゴールは近い。茶番をやっている場合ではない。

 本社を元に戻し、最終目的に向けて、突き進むぞ。」


幹部達は去って行った。


21話へ続く。

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