ういさんの物語 17話 GvG開戦
この世界では、組織間の闘争が認められている。ギルド対ギルドの戦い。
通称GvGと呼ばれており、場所と日時を指定し申請する事で、組織間の争いが認められていた。
ただし、過去10年でも、数えるほどしか発生していない。
理由は簡単だ。街中では、魔法をはじめとした攻撃スキルは封印されており、
一切使用できないため、派手な争いには至らない。
だが・・・。
教会に、普段見慣れない連中が集まっていた。
教会専属ギルドのギルドマスターセリカは、みんなを前に発言した。
「我々プロンテラ教会が、例の企業を探っている事がバレた。
インフレによる物価高騰の原因も、BOTによりみんなの仕事が奪われるようになったのも、
武器や防具の性能が良くなったのも、飯屋の飯がうまくなったのも、
すべて、例の企業の仕業だ。」
「あの企業の開発力は、過去を振り返っても類を見ないほどに、おかしい。
調査では、神に繋がるものが、糸を引いているとの報告もあった。」
「神なんて、ほんとに居るのか?見たこともないぞ。」
質問したのは、国内最大勢力のギルド、裸族を率いる、インク。
セリカとは子弟の間柄だ。
「プロンテラ教会は、近いうちに、例の企業に狙われる可能性がある。
その場合には、助太刀を頼みたい。」
「わかった。こちらも何かしら情報が入った場合、すぐに連携を取る。」
集まったのは、セリカと関係の深い、様々な外部ギルドの幹部達、
クルセイダーギルド、裸族ギルド、アサシンギルド、初心者ギルドなど
複数のギルドが集まっていた。
「国に正式に闘争の申請があるかもしれない。申請があった場合には、
こちらもカウンターで相手の本拠地を狙う。」
その時、アサシンの一人が入って来た。元セリカの部下、アマティアスだ。
「正式に闘争の申請がされた。確実な情報だ。」
「早いな・・・。」
「あぁ、手駒が一人、相手方にいるので、情報は筒抜けだ。」
「いつだ?」
「期日は、2週間後、教会を襲う。申請された組織名は二つ。
欲望の導くままに と、赤のシーサーペント。」
「赤のシーサーペント? 魔王討伐時に全滅したギルドじゃないか。何故・・・。」
「蘇生したのか?」
「思念体として生まれ変わったらしい。ギルドメンバーと共に。」
「そんなことがありえるのか?信じられん。」
「ギルドメンバー全員蘇ったのか?あそこは少数精鋭だったはずだが・・・。」
「どうして復活できたんだ?」
全滅したギルドが復活し、さらに、敵対した事に、みんな、驚きを隠せなかった。
そう、共に魔王討伐時に参戦したメンバーなのだ。
「事実・・・と受け止めよう。今から作成会議に移りたい。構わないか。」
「いいとも。」
「攻めて来る主力は、生体機械人形、戦闘用BOTと予想される。教会制圧に来るだろう。
防衛側としては、クルセイダーギルドに防衛協力をお願いしたい。」
「了解した。」
「カウンターで、相手の本拠地を攻め落とすのは、裸族に頼みたい。」
「任せておけ。うちが地上最強のギルドだという事を理解させてやろう。」
「頼もしいな。・・・アサシンギルドには、引き続き諜報活動をお願いしたい。」
「わかった?」
「今は情報が欲しい。どの程度の戦力が来るのか予想がつかないのでな。」
「わかった。逐次連絡をしよう。」
「初心者ギルドは・・・任せる。」
「ういっすー。」「どうする?」「見学したい?」「おれ、攻め側ね。」「私見守り側。」
まったく、まとまりがない・・・戦力になるのか?
ある程度の方向性が決まり、その日は解散となった。
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数日後・・・攻めて来る戦力の情報が届いた。
セリカは、クルセイダーギルドと打ち合わせを行った。
「アサシンギルドから情報が届いた。
強化された戦闘用BOTが10体来る、こいつらは危険だという話だ。
他に戦闘用BOTが500体投入される。ナイト型で両手剣で統一されているとの事だ。
そして最も危険なのが、赤のシーサーペントギルド、7名全員が来る。
特にリーダーのユメトピアスは精鋭中の精鋭だ。噂では、魔王と1対1で渡り合ったと聞く。」
「はぁ?あの古代の魔王と一人で戦ったのか?どんだけ強いんだよ。」
クルセイダーギルドの長は、銀色に輝くフルプレートメイルに身を包んだ、
ただのおっさんだ。ただし、付き合いは長く信頼は出来る。
「敵は、南の広場から一気に攻め上がるつもりらしい。
クルセイダーギルドの方々には、教会前の広場で防衛を固めて欲しい。」
「了解した。」
続けてセリカは説明した。
「裸族ギルドには、直接アサシンギルドから連絡が行く。
あちらはあちらで独自に動く予定だ。こちらは口を差し挟まない。」
「わかった。クルセイダーギルドは総数100名で広場を固める。
戦闘用BOTなら、問題なく対処できるはずだ。
問題は、赤のシーサーペントと強化された戦闘用BOTだな。」
「回復剤は、教会で大量に製造してあるから、好きなだけ持って行ってくれ。
教会側は総勢36名だ。非戦闘職は戦闘には加わらないよう退避させている。」
「よし、では、当日、また会おう。」
セリカとクルセイダーギルドは、固い握手を交わした。
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戦闘当日・・・予定時刻10:00ピッタリに、
大量の戦闘用BOTが首都南門を抜け、駆け上がって来た。
全員、赤色のマントをなびかせ、ナイトの衣装に身を包み、両手剣で統一されていた。
先頭を進むのは、強化されたBOTと思われる10体。未知の力を持つとされる。
最後に、赤のシーサーペントギルドの7名がやって来た。半透明の思念体だ。
リーダーのユメトピアスはオーラをまとっており、他とは違う。異様な雰囲気だ。
教会前の大広場で、両陣営は激突した。
広場で防衛を担当するのは、クルセイダーギルドの精鋭100名
防衛特化の者が多く、BOT陣営の攻撃を完璧に防ぎ、戦いは有利に展開していた。
楽勝かと思われたその時・・・ユメトピアスが到着した。
「エンチャントブレイド!」「コンセントレイション!」「ヴィゴール!」
自己バフと呼ばれるスキルを詠唱し、突撃してきた。
攻撃スキルが街中で封印されているにも関わらず、圧倒的な武力に、
クルセイダーギルドの精鋭達は、一人、また一人と吹き飛ばされていった。
「なんという強さだ。魔王と一騎打ちするだけの実力はある・・・まずいぞ。」
すると、教会内から声が聞こえた。セリカの声だ。
「ユメトピアスとは、まともに戦うな。教会内に招き入れて構わない。」
クルセイダー達は教会への道をあけ、ユメトピアスとその仲間達は一直線に
教会内へ突入した。
クルセイダーらは、残りのBOT達を相手にした。
ユメトピアスとそのギルドメンバーは、教会内に突入した。
「ようこそ、プロンテラ教会へ。」
薄暗い教会内から、不気味な声が聞こえた・・・。
18話へ続く。




