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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 16話 実力行使

生体機械人形、通称BOT、これらが街中にあふれてから、だいぶ月日が経過した。

農夫の姿をしたものもあれば、騎士やメイドの姿をしたものもおり

鉱山、調理、討伐、様々な場面で活躍する一方、それらを職とする人々は職を失い

一人、また一人と、街から去って行った。

気付けば、街中の人影はすべてBOTではないかと思うほどに。


教会専属ギルドのギルドマスターセリカは、みんなを前に説明した。

「造銭局から正式に、例の企業に査察が入る事になった。だが、例の企業は

査察を拒否しているため、実力行使を行う事になった。

そこで我々に護衛の依頼が入った。査察団と共に例の企業の偽造通貨製造工場に向かう。」

「工場の場所は見つかったのですか。」

「あぁ、先日洗脳したアサシン、コードNo404を経由して場所は特定できた。」

「偽造通貨によるインフレはそれで収まるとしても、BOTがこんなに街中にいては、

収入の道が途絶えてしまう。そちらはなんとかなりませんかね。」

発言したのは、ぶかぶかの服を来た出納係のまーちゃんと呼ばれる女性。


「そちらに関しては、我々には難しいなぁ。商品だからなぁ・・・。

ひとつの案として、クルセイダーギルドが主催する年に一度の祭り、神への祈りが

近々開催される。そちらに参加して、神へ現状の救済を願おうと思う。」

「それって、神から何か反応あるの?」

ういさんは、尋ねた。

「ない。ぶっちゃっけ、何もない。本気で何も起こらない。」

「それって、意味あるの?」

「まぁ気休めだ。神へ文句を垂れるだけの集会になる。」

「祈りの意味なくない?」

「意味はないな。ただな、クルセイダーギルドとは懇意にしており、

もし、例の企業と対決する際には協力してもらう事になっている。」

「さすが、ギルドマスターだ。」


---------------------------------------------------------------------------------

例の企業 会議室にて

「何故、偽造通貨製造工場の場所がばれたのだ。スパイか、それとも裏切りか?」

白いスーツを着込んだ幹部連中が集い、言い争っていた。

「あの工場は、完全自動化されて、BOTしかいない。今更、裏切る奴がいるとは思えないが」

「情報漏洩課!お前らの仕事だ。スパイの可能性を探ってこい。」


「ういっす。造銭局へ謝罪ついでに、私のカードばらまいてきますわ。」

白いスーツの若い男は、そういって出て行った。

「あいつのカードって、なんだ?」

「情報漏洩課のアチカか? あいつの名刺の性能は、

誰とでも仲良くなり、誰にでも情報を垂れ流す・・・だ。」

「あぁ・・・。一歩間違えると、危険なやつだな。」


---------------------------------------------------------------------------------

後日、造銭局の人が教会へやってきた。

「例の企業の幹部がやってきて、偽造通貨は作っていないと頑強に言ってきましたが、

ですが、予定通り、実力行使で向かいます。

ちなみに、例の企業幹部が名刺をばらまいていきましたので、一部、渡しておきますね。」

セリカは、名刺を受け取った。

微量の魔力を感じる・・・。

「まーちゃんを呼んでくれ、鑑定してもらう。」

出納係のまーちゃんがやってきた。

「はいな。鑑定しますよ。これは・・・誰にでも情報を垂れ流すカード

なんだこれ・・・?」

名刺には、情報漏洩課アチカと記載されている。

「このカードは、本来、何かとセットで使うようですが・・・

ただ、単体でも微量な効果はありそうです。」


「まずいな・・・教会が、例の企業を探っていたと、バレたかもしれん。

早めに、他のギルドとの連携を深め、警戒しておくとしよう。」


数日後、偽造通貨製造工場への査察隊が出発した。

造銭局の職員30名、国より任命を受けた調査員20名、そして護衛として

ういさん達、教会専属ギルドのメンバー30名が付き従った。目指すは北方にある工場。


「すでにある程度情報は掴んでいるが、物的証拠を国が入手する事に意味がある。」

ギルドマスターが途中説明を行った。

そして、これから向かう先の地には、特殊な防衛施設があると聞いている。

「どんな?」

「攻撃魔法が一切発動しないらしい。」

「あぁ街中で魔法が発動しないのと、同じ仕組みか。」

「仕組みは違うようなのだが、似たようなものと思って良い。」

「じゃ物理能力で実力行使するわけか。」

「そうだな、純粋な筋肉勝負だ。あ。治癒魔法は使えるらしいから、

ういさんのヒールは有効だぞ?頼りにしている。」

「さぁて、見えて来たぞ。」


工場は荒れ地の上に立ち、周囲は山々が立ち並んでる。

門には、警備兵がいるが、生体機械人形、BOTだ。

「国からの査察だ。中へ入れてもらおうか。」

「ここは、実験棟です。大変危険な場所なため、関係者以外の立ち入りはお断りします。」

「ダメだ。やむを得ない。BOT警備兵を壊して進むとしようか。」


と、その時、背後から黄色い声が聞こえて来た。

「ここだね。」「ここだ、ここだ。」「このおうち?」

全員が振り返ると、園児達・・・じゃない、初心者ギルドの子達だ・・・。

「こんにちはー。」「今日は人が多いですねー。」「大人気ですねー。」


「君達、何をしにここへ?」

「工場見学です。」「ここで偽造通貨の作り方を学べると聞いて。」「通貨の強奪に。」

造銭局の職員や、調査員は目を丸くしていた。何しに来たんだという表情だ。

ういさんもたずねた。

「どうやって、入るつもりなの?」

「あ、ういさん!」「うい先生!」「おひさー!」

「これを使うんですよ・・・。ふふふ。」

背中にしょっているカバンの中身を見せてくれた。

・・・魔物を召喚するアイテムが、ごっそり入っていた。

「あー・・・。」


セリカとういさんは、納得した。

「ちょっと調査隊のみなさんー、一旦、引きますよー。一回、離れます。」

セリカの誘導に従い、一旦、かなり遠くに離れた。

「何故、実力行使で突破しないんだ。」

一部は、強引に行くぞと言っていたものの、

「魔物が来ます。離れていて下さい。」の言葉に、周囲を見渡していた。

「どこに?」

「今から大量に湧きます。」

「ドロボーさん、こっちは離れたから、準備は良いぞー。」

「じゃー、はじめますねー。」


他の子達も、レジャーシートを敷いて、遠くから見守っている。

警備兵の前にいる3人だけが、カバンからアイテムを取り出した。

大量の魔物召喚アイテムを・・・・。

そして、100匹は湧いただろうか?

木の化け物、ミノタウロス、きのこの化け物、もう・・・色々だ。

魔物達は、警備兵に襲い掛かった。

「緊急警報、魔物が工場を襲っている。内部の警備兵は至急迎撃に駆けつけよ。」

警報音が響き渡ると、工場内からワラワラと警備兵のBOTが出て来た。

門の警備兵が倒されると、魔物達は敷地内から駆けつけて来るBOTに襲かかった。

「おー、見込み通りに、魔物は敷地内の警備兵に向かって、流れて行ったな。」

「すげー数だな。」

「筋肉勝負できなかったな。」


しばらくすると、魔物達の群れは、大きな工場の入口から内部へ向かって行った。

工場内で、警備兵と激しく戦っている音が響き渡った。

「そろそろ、我々も動くかね?」

「そうだね。」

すると、再び警報音とアナウンスが流れた。

「工場内部に侵入された。排除不可。機密を守るため、工場を緊急閉鎖し爆破する。

至急外部へ退出せよ。繰り返す、至急外部へ退出せよ。」

「爆破するとか言っているぞ。」

「これはまずいな・・・色々な意味で。離れていよう。」


「警報、繰り返す。侵入者を排除できない。工場は30秒後完全閉鎖される。

1分後に爆破起動装置が発動する。至急退避せよ。」

「あんまり、時間ないな。内部には人間居ないんだよな。」

「すべてBOTだと聞いている。」


工場の各出入口が自動で閉ざされて行き、

やがて、工場は大音響と共に爆発四散した。

「まじで、爆破された・・・・魔法じゃないな、この爆発は。」

初心者ギルドの子達も呆然としていた。

「工場見学が・・・。」「通貨の偽造方法が・・・。」「通貨強奪計画が・・・。」


工場は燃えてしまった。あちこちで小さな爆発も起きているが、

魔法は敷地内では使えないため、魔法による消火活動もできない。


「これは、一旦、引き返すしかない。」

「我々が、強引に突入したとしても、あの結果になったと思うか?」

「なっただろうな。」


我々は、しょぼくれた初心者ギルドの子達と共に、首都へ帰還した。


17話へ続く。


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