ういさんの物語 12話 初心者ギルド
先日、生体機械人形、通称「BOT」の残骸を売り払った金額に驚いたういさんは、
初心者ギルドに近づいた。
「ういさん!」「あ!うい先生!」「こんにちはー!」
初心者ギルド・・・、かわいい幼稚園児のような姿をしたものが多く在籍
遠足と称して、ダンジョン奥深くにピクニックへ行き、訪れる討伐隊やBOTに
大量の魔物を引き連れて襲わせ、全滅させ、装備品を回収して、街で売りさばく凶悪集団。
と、以前、ギルドマスターから教わった。
ういさんは、初心者ギルドの拠点と呼ばれる建物へ近づいた。
「やっと来てくれましたね。歓迎しますよ。」
迎えてくれたのは、サンタクロースの衣装に身を包んだ優しい笑顔の女性
「今度、また、遠足?・・・BOTを壊しに行く時があったら、声をかけてもらえないかなと。
BOTが蔓延した事で、ギルドでの稼ぎがなくなりつつあり、稼ぎ場所を探していたんだ。
教会では、おおっぴらには出来ないのでね。」
「毎週定期的にやってますので、是非来てください。」
「最近はあれですか・・・BOTが多くて、討伐依頼がないのですね。」
「うん、ポーション販売などもあるが、あれは薄利多売で、あまり儲からないし
BOTはポーションを買わないし、需要が減っているんだ。」
「そうなのですか、大変ですね。じゃあ、せっかくですし、練習しに行きますか。」
「え?」
「何故、ういさんを招待したか、理解できると思います。」
ういさんは、サンタ衣装の初心者さんに、近くのダンジョンへ連れていかれた。
「そういえば、お名前は?」
「ドロボーです。」
「ど・・・、ドロボーさんですね。」
「このダンジョン、聖職者の亡霊が出没して、討伐された魔物がすぐに復活するのですよ。」
「思念体ってやつかな。」
「詳しい事は知りませんが、それで魔物が復活するたびに、毎度BOTさんがやってきては、
魔物を討伐していくのです。」
「ほら、今日も奥で、戦っている。」
見ると、ダンジョンの奥深くで、きのこの化け物が数体と、生体機械人形BOT数体が戦っている。
BOTの方が強くて優勢だ。
「ここは是非、ういさんの治癒魔法でBOTを助けて上げてください。」
「あぁ、そういうことね。ヒール!ヒール!」
BOTは反応した。
「治癒魔法感謝・・・す・・・」「ありが・・・。」
ヒールをかけられたBOTは、すぐに機能停止して、、きのこの化け物に倒されていった。
「ね!びっくりする程、簡単でしょ?」
「きのこの化け物が残ったんだけど・・・。」
「あぁそんなのはね。」
そういうとドロボーは、瞬く間に、きのこの化け物を倒して行った。
「強い・・・。」
「BOTには記録保持機能があって、直接攻撃して破壊してしまうと、
攻撃したことが、後々、ばれてしまうらしいの。
だから、魔物をぶつけたり、マイナスヒールで瀕死にさせて壊すことで
安全にBOTを破壊できるの。・・・ね? ういさんが最適なの、わかってもらえたでしょ。」
「おぉ・・・。理解した。」
「次に、これ。壊れたBOTは重いので、装備品をひっぺがして持って帰りましょう。」
「お、この剣、強そうだな。」
「この盾なんて、すっごい高く売れそう。」
「魔力が込められたアクセサリーだ。これは・・・いける。」
「こんなにたくさん、二人じゃ持って行けないわね。今度カート持ってこなくちゃ。」
2人は戦利品を街へ持って行き、売却した。
かなりの利益を上げられた。「これはうまい。うますぎる。」ういさんは感動した。
「ところで、ういさんは、どうやってマイナスヒールを実現させているのですか?」
「企業秘密。と言いたいけれど、解説すると、3つの条件をクリアする必要がある。」
「3つ?」
「そう、レベル、ステータス、アイテム、いずれの条件もさらに細かく3つの条件がある。
ヒール発動の方程式を紐解いていき、どのような条件でヒールが発動するのかを
研究した学術書を読み解いた結果だよ。」
「へえぇぇぇ・・・頭良いんですね。」
「いや、その弊害で知能指数は・・・。いまは、マイナスに振り切っている。」
「マイナスに!?どーやってるんだろう?」
「ひとつだけ種明かしするとね、エンチャントってあるでしょ。
武器や装備品に魔法の力を付与するもの。あれの力を借りて、呪いを付与したんだよ。」
「えっ、呪いの装備をしているの?」
「そう、本来は筋力を上げたり、魔力を上げたりするエンチャントが一般的だけど、
私は、それらを下げるエンチャント、いわゆるマイナスエンチャントしているんだ。」
「それを装備すれば、私もマイナスヒールを撃てるの?」
「それは、無理かな? さっき言った方程式に組み込んで計算してみないと、
ただ単に、回復性能が低いだけの治癒魔法になる。」
「なるほどねー。難しいのですねー。ではそろそろ幼稚園に戻りましょう。」
「幼稚園だったのか・・。」
拠点に戻った。
「ういさんおかえりー。」「うい先生どうだったー?」「おっかー。」「どうでしたー?」
出迎えてくれた。
「さすが、保護者さんですよーって感じでした。一発で仕留めてた。すごいよねー。」
「まだ、BOTの残骸がダンジョン内に残ってるかも。持ち切れなかったし。」
「あぁじゃあ、私達で回収してきますよー。近くのですよね。」
「そうそう。」
「じゃあ、お散歩がてら、行ってきますー。」
「そういうと、数名が、がやがやと出て行った。」
「ところで聞きたいんだけどさ・・・。」ういさんはたずねた。
「なんでしょうか。」
「初心者ギルドの子達って、みんな強い?」
「みんな、かよわいです。」
「なんで、魔物数十体連れてて、死なないの?」
「企業秘密ですよー。ういさんと同じ。でも、私もひとつだけ種明かししますね。
アイテムです。ういさんにも差し上げた。初心者のペンダント。それです。
でも、それだけでは、何の効果も発動しません。ふふふ。」
「む・・・これか・・・。これが何をどうやったら、あんな無敵のような効果に・・・。」
「初心者の特権ですよ。ふふふ。」
「もしかして、ギルドスキルってやつか?」
「ギルドスキル? いえ、違いますよー。私達のギルドスキルは、まったくの別物です。」
ギルドスキル、この世界には様々なギルドが存在するが、ギルドメンバーと協力することで
発動できる究極のスキルがある。
教会専属ギルドでは、「洗脳」がそれにあたる。
他にも、ギルドメンバーを招集するスキルなどがあると、以前、教わった。
「まぁいいか、今日は帰ろう。」
「お疲れ様です。また来てくださいね。」
「うん、稼ぎがいいから、また来るよ。」
ういさんは、帰路へ着いた。
13話へ続く。




