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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 10話 BOT1

世界支配を企み、神々の追放を計画する企業「欲望の導くままに」は、

高性能な生体機械化人形 通称「BOT」を製作・販売し、瞬く間に世界中に広まった。

やがて、この企業による世界的な影響が各所に現れる事となった。

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ギルドマスターセリカから招集があった。

「機械化人形、通称BOTが、巷にあふれてから、物価の値上がりが激しい。

本来なら、BOTにより、生産が効率化され、物の値段が下がるはずが、

逆に値段が上がっている。おかしい。何かが狂っている気がする。」


「BOTが人間の代わりに、様々な作業を行うようになった事で、街の人々は、逆に仕事を失っていった。

仕事を失った人々は、街での就労を諦め、地方の開墾作業へ向かったと言われている。」

赤髪の女性クルセイダー、ムーンフィッシュも同意した。

「確かに。街に、機械化人形、BOTは増えたが、人の姿は減ったような気がする。」


ギルドマスターセリカは、続けた。

「そして、ここに物価の高騰が重なった。住民の不満は、かなり高い。

暴動すら起きてもおかしくない状況になりつつある。」

ういさんも同意した。

「バナナの値段が、2年前の10倍だ。芋も、10倍になった。やってられん。」


「教会としては、このまま放置しておくわけにもいかない。

そしてこれらの元凶は、急成長企業「欲望の導くままに」が絡んでいると睨んでいる。

そのため、数か月前からアサシンギルド経由で、調査を依頼しておいた。

その結果が届いたので、報告しようと思う。」


「アサシンギルドのアマティアスからの報告書だ。長いが、要点を抜粋して説明する。」

-------------------------------------------------------------------------------

世界支配を企み、神々の追放を計画する企業「欲望の導くままに」

創設者は神の系譜に連なると言われ、元人間の魔物「思念体」と手を組み、

様々な生体実験、新素材の開発、伝説の武具の製作を行った。

研究は、やがて、高性能な機械化人形 通称「BOT」を製作・販売するに至った。


報告書は続く。


研究センターは、生体実験により開発された生きた扉、動く壁、しゃべる柱の他、

意思を持つ魔剣の開発、自走するムカデなど、奇妙かつ摩訶不思議な、

まさに、魔界への入口と言っても差し支えない環境になりつつある。


だが、真の目的は「BOT」の大量生産・販売にある。

そのため、偽造通貨を大量発行し、その資金を元に複数の工場を建設した。

建設の労働力は人ではなく「BOT」で補い、資材も「BOT」で調達しているようだ。


偽造通貨の影響で、世界は、非常に高いインフレが続くが、

大量生産された「高性能なBOT」は廉価販売され、

鉱山での採掘、魔物の討伐、製造、調理、清掃など様々な場面で活用されるようになって行った。


もはや、街中どこを見回しても「BOT」だらけになってきた。

これが、この企業の計画遂行の結果・・・だと言える。

その余波は、社会に深刻な影響を与えている。


報告書は、そこで終わった。

-----------------------------------------------------------------------------

セリカは、報告書を読み終えた。


「信じられない事ばかりだな。

つまり値上がりの元凶は、通貨を偽造していたこの企業が原因って訳だな。」


「生きた扉ってなんだよ。え・・・魔剣も生産してんの?」

「話が大きすぎて、何がなんだか・・。」

「この話って本当の事なの?」

「偽造通貨の証拠を入手してはいないのだろう?製造工場などが判明すればいいが、

アサシンギルドからの報告には書いてないのか。」

「そこまでは調べられていないらしい。また、数ヶ月の調査を経て、

この企業のセキュリティレベルがさらに上がってしまったらしい。

さらなる調査依頼は、困難を極めると言っていた。」

「一旦、国に報告じゃないか? 私達の手に余る話だ。」

「あぁ、すでに造銭局には通達してある。だが、偽銭工場の場所が特定できないと

調査もできない。あとは国に任せるしかないな。」


「とりあえず、殴り込みに行けばいいんじゃないか。」

ういさんは思った事をそのまま口にした。


「ういさんは面白いな。そんな単純な話ではないさ。

もうアサシンギルドによる潜入調査は困難らしいから、もう正面から行くしかない。」

「正面から?こんにちはって?」


「そう、我々にしかできない事がある。みんなで行ってみようじゃないか。」

「え?何をするの?」

「決まってるじゃないか!私達はプロンテラ教会だよ?布教活動に行くのさ。」

「あぁ、そうだった。」


何故かギルドマスターセリカはノリノリだった。

セリカを筆頭に、30名程の教会直属ギルドメンバーは、北にあるという

巨大研究所へ向かった。

「布教たって、うちら戦闘がメインのメンバーですよ? 布教活動なんてやったことないよ。」

「マスターがやるんでしょ? うちも知らない。」

研究所が見えてきた・・・そんな頃、木の上から足元に短剣が投げられ、土に刺さった。


「なんだ?」

「そこまでだ。教会関係者諸君、ここから先は某企業の秘密研究所だ。関係者以外は立ち入り禁止だ。

そのまま帰りなさい。」

見上げると、木の上に、一人の男が立っていた。漆黒の衣をまとったアサシンに見える。


どこかで聞いた声だな・・・セリカはふと疑問を覚えた。

木の上の男は、飛び降り、こちらに向かってきた。

「BOT相手も飽きてきたので、ちょっとこちらに寄ったまでなんだが・・・。何の用だ?」


「布教活動だよー。」ういさんが胸を張って言った。

「布教? ここの連中はそんなものには興味を示さないと思うが・・・。」


「その声・・・お前、コードNo 404 ノットファウンドじゃないか?」

セリカが呼びかけた。

「何? 俺を知っているというのか。何者だ。」


「そのマスクを取って、素顔を見せてくれ。その声、立ち姿、コードNo404だろ。お前。」

「・・・何者だ。」

「セリカだ。元アサシンギルドの・・・覚えていないのか。

アマティアスと共に私の部下で、アサシンギルド内で1,2を争う猛者だったろ、お前。

いつの頃からか、消息不明になったから、殺されたものだと思っていたが・・・。

ここに雇われたのか。」


「そうか、俺は コードNo404 というのか。」

「覚えていないのか? ・・・ん?よく見ると半透明、・・・人間をやめたのか?」

「あぁ、おれはもう人間じゃない。そして、昔の記憶は、覚えていないんだ。」

「なるほど、そういうことか。で、もうアサシンギルドには戻らないのか。」

「今はもう、思念体組織の一員として活動している。そしてこの企業と提携を結んでいる。

今更、裏切るような真似はできない。」

「そうか、残念だ。昔のよしみだ・・・知ってる事を教えてもらえないか?」

「断る。」

「そうか。・・・。」


沈黙が流れた。


セリカは一歩前へ進んだ。

「せっかくの機会だ。思念体の実力を知っておきたい。」

「やるのか。いいぞ。旧知の仲だったとしても、私は手加減しないぞ。」


両者とも動かなかった。


先に動いたのは、セリカだった。

「ギルドスキル!洗脳!」


あたり一面が光り輝いた。やわらかく暖かい光が天から差し込まれた。

初手から禁じ手だ。ギルド員が複数いないと発動できない究極のスキル。

布教活動って・・・まさか、これだったのか。


「うあぁぁあぁ!」

アサシンが苦しんでいる。

「抵抗値が高いな。一般人には成功率95%の究極スキルだと言うのに。

おまえら、手伝え、洗脳を実現するには、優しく暖かい言葉や支援魔法などが有効だ。」

「ここは寒いです。暖かい毛布を用意してありますよ。」

「さぁ、一緒に教会に加入しましょう。」「あなたの味方は私達だけ、けっして裏切りませんよ。」

「一緒に、暖かいうどん食おうぜ。」「支援魔法!ブレッシング!」


「あと、一押しだ。」「回復魔法は効果ありますか?」

「攻撃魔法はダメだが、回復なら・・・・ういさんやれ!」

「ヒール!」


アサシンはがっくりと膝を落とし、うつむいた。

「よし、成功だ。あぶなかった。失敗していたら、恐らく全員やられていた。」


「洗脳受けると、どうなるのです?」

「そうだな。普段と変わらない。ただし・・・我々に絶対の忠誠を尽くす。」

「絶対?」

「あぁ、コードNo404 この研究所の秘密を、可能な限り調査してくれるか。」

「了解した。連絡手段は?」

「アサシンギルドのアマティアスへ暗号通信で送れ。」

「承知した。調査期間は?」

「そうだな、まずは、一ヶ月だ。」

「わかった。では以後の定期報告はアマティアスへ送る。」

「よろしく頼む。」


そして、我々はアサシンと別れ、帰路についた。

「いやー、いい手駒が手に入った。」

「今日はもういいんですね。布教活動は。」

「あぁ、もう十分だ。しかし、まさか人間をやめているとはな・・・。予想外だった。」


11話へ続く。

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