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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第六章 消えた村。

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第四十六話 防衛戦。

「来たな、《竜殺し》!」


 翌朝、ターコイズのギルドに顔を出すとギルドマスターが駆け寄ってきた。


「……その呼び方はやめてください」


「そんな事より、あんたに特急依頼を頼みたい」


 特急依頼。

 特別緊急依頼の略称で、非常事態にギルドや国などから出される依頼の事だ。


「調査に行った連中から報告があった」


 ターコイズにいる冒険者をフル稼働させて、ギルドは事に当たっていた。

 初級の冒険者達はほかの国や都市のギルドへの連絡係。

 中級の冒険者は調査地とターコイズのギルド間の伝達を担当している。

 それ以上の冒険者は調査及び魔物の対応だ。


「村二つと、町が一つ霧に囲まれているらしい」


「町……?」


 今まで報告があったのは小さな村だけだ。


「ああ、まだ開発途中でギルドもないような所だがな」


 それと、とギルドマスターは言葉を続けた。


「村にしても、今までとは規模が違う。もっと大きな村だ」


「……」


 つまり、魔物が襲ってきた場合、被害者の数も増えるという事か。


「あんたには先行している冒険者の援護を頼みたい」


 いくら腕のたつ冒険者であっても、おそらく数の多さには手こずるだろう。

 しかも、町の人達を守りながらだ。


「その三ヶ所でいいんですか?」


「ほかは今いる連中で対応できるはずだ」


「分かりました。特急依頼、引き受けました」


「頼む」


 霧が出た時期を確認し、町を優先する事にした。

 村の方は私達が行くまで持ちこたえられるだろう。


「キング、〈空間転移〉」


 キングがぱちりと目を閉じると、微妙な浮遊感と共に私達は移動した。


 町の周囲からはすでに霧は消えていて、空も大地も魔物で埋め尽くされていた。


「弓、もっと射て!」

「怪我人を下がらせろ!」

「踏ん張れ! 通すな!!」

「治癒師、いったん休め!」

「まだいけます!」


 冒険者達と、おそらくは町の住民達が死に物狂いで魔物と戦っていた。


「チャビ、〈回復〉!」


 チャビがごろごろとのどを鳴らし始めた。

 私達に気付いた冒険者が大声で叫ぶ。


「《竜殺し》が来たぞ! もう大丈夫だ!!」


 みんなの目に生気が戻った。


「押し戻せ!」

「じゃんじゃん射て!」

「前線復帰します!」


 《竜殺し》という呼ばれ方は苦手だが、こういう時は役に立つようだ。


「りゅうたろう、ドラゴンちゃんと空から攻撃!」


 大きくなったりゅうたろうがドラゴンちゃんの背中にひらりと飛び乗った。


「行くよ、みんな!」


 りゅうたろうがドラゴンちゃんとのコンビネーションで空の魔物と戦っている。


「キング、〈影魔法〉で拘束!」


「にゃう!」


「おこん、〈引っ掻き〉! やられないでよ!」


「にゃん!」


 バカを言うな、とばかりに鳴くと、魔物の間をすり抜けながらおこんが引っ掻いて回った。


「よし、今だ!」

「射て!」


 拘束と麻痺で動けなくなった魔物達に、冒険者が攻撃を仕掛けた。

 大型の魔物が勢いよくこちらに突っ込んでくる。


「福助、〈風の盾〉!」


「にゃ!」


 風の精霊と契約した福助は魔力をコントロール出来るようになっていた。

 もちろん、出力ではない。常に全力なのが福助だ。

〈風魔法〉の形を自在に操れるようになったのだ。

 強烈な風が薄い盾のような形になり、突っ込んできた魔物をはね飛ばした。


「みんな、下がって!」


 私の言葉に、一緒に戦っていた冒険者達が一斉に後ろに下がった。


「くぅ!」


「あぉぉぉ!」


 火をまとった岩が魔物達の頭上から降り注ぐ。

 瀕死の状態になった魔物達に、冒険者が止めを刺していく。

 だいぶ数が減ってきた。

 もう少しだ。


「にぁぁぁん?」


 よつばがくりんと首を傾げて、甘ったれた声で鳴いた。

〈魅了〉された魔物が同士討ちを始める。

 ……えげつないな。


 植物系と思われる魔物が鋭い刺のある触手を伸ばしてきた。

 植物相手なら任せろ!

 草刈りレベルMAXまで極めたからな!

 鍛冶師のナロクに魔炎石と合成してもらった草刈り鎌を手に取った。

 張り切りすぎたナロクにより、すでに草刈り鎌のサイズではなくなっていたが。

 紅く燃えるような刃を持つ大鎌を振るい、触手を切り落とす。

 切った所から魔物が燃え上がっていく。


 りゅうたろうが空の魔物を仕留め終わったようだ。

 低空で飛ぶドラゴンちゃんからひらりと飛び降りて、地上の魔物達を蹴散らす。


「あと少しだ!」

「頑張れ!」

「射てぇー!!」


 冒険者達も町の住民も、みんな必死で戦っていた。


 そして。


 ようやく終わった頃には、みんな立っていられないほどに疲れはてていた。

 いや、うちの猫達だけは元気だが……。


「チャビ、〈回復〉をお願い……」


 チャビがごろごろとのどを鳴らし始めた。


「せり、〈気配察知〉」


 せりはぴくぴくとひげを動かしていたが、やがてぴしっと胸を張った。

 魔物は全滅させられたようだ。


 一度、猫達をキャットハウスに入れ、おやつと水を出して軽い休憩を取らせる。

 私も軽い食事を済ませた。

 よし、次だ。


「キング、〈空間転移〉!」






「おう、お疲れさん」


 ターコイズに戻ると、ギルドマスターがにかっと笑って出迎えてくれた。


「町と村、全て無事に終わりました」


 多少の怪我人は出たが、それ以上の犠牲は出さずにすんだ。

 チャビの〈回復〉でその怪我人も今は完治している。


「ただ、後始末が……」


 私は顔をしかめながら言った。

 退治した魔物がそのままの状態で放置されている。

 残っている冒険者達は万が一に備えて警戒に当たっているし、町や村の人達は復興に忙しい。


「ああ、その辺の事は街の代表者とも話し合っている」


 もはや、ギルドだけでは対処しきれないと判断したらしい。


「それと、ほかの国や街とも連携を取る方向で進んでいる」


 それはいいのだが。


「それ、私に言っていい話ですか?」


 そういう話はお偉いさん達の話し合いがある程度進んでから、現場に知らされるのが普通だと思うが。


「あながち、あんたに関係ない話でもないからな」


「?」


「みんな、《竜殺し》に来てほしいのさ」


 なるほど。

 私達はフリーで冒険者をやっている。

 特定のどこかに所属しているわけではなく、今回もたまたまターコイズにいただけだ。

 騎士団や自警団に、プラスの戦力として欲しいわけか。


「王族や貴族の専属に、って話も出ているらしいぞ」


「……」


 私の顔を見て、ギルドマスターはがははと笑った。


「そういう顔をすると思ったぜ」


 いや、だって、何で一番安全な所にいる連中を守らないといけないんだよ。


「これから、どうする?」


 正直なところ、うちもずっといてほしいがな、とギルドマスターは言った。


「……」


 ターコイズには大陸一の規模を誇るギルドがある。

 冒険者の数もほかの国や都市よりは多いはずだ。

 ギルドマスターや職員さん達も頼りになる。


「戦力の足りなさそうな所に行こうかと」


「妥当だな」


 さて、どこから回るか。


「じゃあ、神様の加護がない所から行ってやれ」


 神様の本殿がある国や街は、ほかよりも強力な結界が張られている。

 国によって違うが、神様を守るための組織もあるらしい。

 なら、ある程度は自分達で防げるはずだ。


「でなきゃ、争い事が苦手な神様の所か」


 そういえば農耕神様は苦手だと言っていた。

 ただ、今は女神様の加護もある。

 多分、女神様も苦手だろうけど、結界は得意だと言っていたし、何かあればスマホに連絡をよこすだろう。


 んー?


 火の神様の所は大丈夫だろう。

 ドワーフ達は技術力だけではなく、戦闘力も高い。

 港町のほとんどは海神様を信仰している。

 クラーケンみたいなのが、多分うち以外にもいるはずだ。


 ……とすると、真珠国か。

 まだ、御神体は神様になっていない。

 お稲荷さんも戦うのが得意そうには思えない。

 まずは、様子を見に行ってみるか。




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