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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第五章 神の息吹。

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第四十話 火の神。

 ガーネットでは火の神を信仰している。

 火山の麓に位置しているという事もあるが、鍛冶を主な生業にしているのも関係あるらしい。


 火の神様がおわすのは凝った石造りの神殿だ。

 真っ白な大理石のような石に細部まで彫った、まるで芸術作品のような像が神殿の奥にあった。

 これが火の神様か。

 サナ達にはあまり似ていないな。

 私は像に向かってぺこりと頭を下げた。


「相田つかさです。幸運の女神様に言われて来ました」


 ……あれ? 反応がない。

 聞こえてないのか?


「相田つかさです!」


「ええい、大声を出すでない!」


 像の中から、美しい女性の姿をした火の神様が抜け出してきた。

 黒い髪を切り揃え、素晴らしい細工の宝飾品を身につけている。

 ……クレオパトラみたいな感じだな。


「少しくらい待てぬのか、お主!」


「すみません。聞こえていないのかと思って……」


 はぁ、と火の神様はため息をついた。


「本殿の像の前で、聞き逃すわけがあるまいて」


 ……つまり、ほかの場所にある神殿からだと聞き逃す事もあるという事だな。

 まぁ、自分が守護している国が最優先なのは当たり前か。


「まぁ、よい。まずは礼を言おう」


 ふっ、と火の神様は笑ってみせた。

 うーん、クールビューティー。


「噴火を防いでもろうて助かった」


「あ、いいえ」


「それと」


 ごほん、とわざとらしく咳き込むと、火の神様は言葉を続けた。


「我が遠き息子と娘の命も救ってもらった」


 サナとナルシの事か。


「二人は友達なので、当然の事をしたまでです」


 私は笑顔で答えた。


「う、うむ。その、あれだ、いつでも頼れと言うておるのだが、あやつら、滅多に神殿にも顔を出さん」


「……」


「友達と言うたな。あの子らは、わらわの事を何かお主に話したか?」


「…………」


「その、最近はどうしておる? 前は使いを出してたずねておったのだが、依頼の邪魔だとか言われて追い返されたのじゃ」


「……………………」


「地下迷宮で閉じ込められた時くらい、わらわを頼ればいいものを。お主もそう思うであろう?」


 なるほど。

 サナ達が寄り付かない理由が分かったな。

 火の神様、面倒くさい……。




「それで、サナが泣き出してしもうての」


「アー、ソウデスカ」


「ナルシが一人で行くと言ってきかんのだ」


「アー、ソウデスカ」


 ……いつまで続くんだ、これ。

 やっと、サナ達がナロクに引き取られるところまでいったけど。

 もしかして、火の神様は暇をもて余しているのか?


「それが、また可愛くての」


 いや、ただの親バカか。

 まぁ、猫達の事を思えば私も気持ちは分かるが。


 とにかく話が長い!

 そういや、伝承では千二百年くらい前に火の神様と人間の男が恋に落ちたとかいう話だったな。

 火の神様、まさか千年以上さかのぼって話す気じゃないだろうな……?


 ぐーっ、と私のお腹が鳴った。

 そういや、ご飯まだだった。


「おお、すまぬ。長々と話してしもうたようじゃな」


 お、やっと終わるか?


「何か、食べる物を持ってこさせよう」


「……」


 まだ話す気だ、この人! じゃなくて、神様!!


「よければ、泊まっていくがよい」


「…………」


 やっぱり、千二百年分話す気だ!!

 うーむ、どうにかして逃げ出さないと。

 ひょこっと、キャットハウスからよつばが出てきた。


「にあん!」


 あー、怒っているな、これは。

 いつものご飯の時間はとっくに過ぎている。


「よつば、戻っていなさい」


「ほう、これがよつばか。ナルシがもふもふだと珍しくたくさん話してくれての」


 にこにこしながら火の神様が言った。

 よつばはしばらくの間火の神様の顔をじぃっと見ていたが、くりんと首を傾げてみせた。


「にぁぁぁん?」


 ん? 何だ、今の妙に甘ったれた声は?

 火の神様は、よつばを見つめたまま蕩けたような表情を浮かべている。


「そうだの。そろそろ帰らねばならぬな……」


 話し方もどこか夢見心地というか、ぼんやりしているようだった。


「……」


 これは多分アレだな、うん。

 こっそりとよつばのスキルを確認する。


 よつば 〈魅了〉 相手を魅了して操る。


 ですよねー、としか言いようがない。

 しかし、神様まで魅了するとはさすがはよつばだ。

 いや、でも、元々持っていたようなものか。

 猫はみんな〈魅了〉スキルを持っているよな、うん。

 

「帰る前に、わらわの加護を授けよう」


「……え?」


 いや、待って!

 すでに〈精霊の加護〉持ちのくぅに、火の神様の加護までついたらエラい事になる!

 世界が燃えつきる!!


「心配せずともよい。お主や猫達に、魔法が効きにくくなるだけじゃ」


 つまり魔法耐性がつくという事か。

 それなら、ありがたく受け取ろう。

 くぅ以外は魔法耐性なかったし。


「それと、これを持っていくがよい」


 そう言って火の神様が取り出したのは赤く光る結晶だった。


「炎水晶ですか?」


「魔炎石じゃ」


 初めて聞いたな。


「それ一つで国が買えるぞ?」


 受け取った私に、火の神様は悪戯っぽく笑ってみせた。


「……は?」


「まぁ、あれじゃ。サナとナルシを救ってくれた礼じゃ」


 そう言った火の神様が、本当に優しそうに笑ったので断りきれなかった。

 少し面倒くさいけど、火の神様はサナ達が大事でたまらないのだろう。


「ありがとうございます」


「ナロクの所に行って、武器と合成してもらうがよい」


 並みの鍛冶師では扱いが難しいらしい。

 ……でも、私の武器ってナイフと草刈り鎌くらいなんだけど。


 んー?

 草刈り鎌に火属性をつけたら、雑草の根まで焼ききれるから意外といいかも?

 いや、でも、それってもはや武器じゃないような……。

 まぁ、いいか。


「ありがとうございました」


「うむ。また来るがよい」


 ものすごくヒマな時にまたお邪魔しますね?


 ナロクの所に向かう前にスキルを確認する。


〈火の神の加護」〉魔法耐性。


 うん、私にも猫達にもついているな。

 元々、魔法耐性を持っていたくぅは〈魔法無効〉になっていた。

 ますます魔王に近づいているな……。

 その内、最終形態とかありそうだ。

 ……くぅだと冗談で終わらなさそうなところが怖い。


 カンカンと金属を叩く音が聞こえてきた。

 ここがナロクの工房か。


「こんにちは」


 中に入ると、むわっとするような暑さだ。


「おぅ、お前さんはサナ達の友達の……」


 チャビの暴走で若返ったナロクには、ここ百年ほどの記憶がない。

 どういうわけかサナ達の事だけは覚えていたが、私に二人の捜索を依頼した記憶はなかった。


「《猫の冒険者》じゃな!」


 うん、微妙に違う。

 相変わらずだ。


「魔炎石との合成をお願いしたいんですが」


「ほぅ、魔炎石か」


 珍しいものを持ってきたな、とナロクは目を輝かせた。


「よし、引き受けた」


 ところで、とナロクは私の顔を見た。


「サナ達には最近会ったか? 怪我なんぞ、しとらんかったか?」


「……」


「冒険者として売れてきたせいか、あまり帰って来んのじゃよ。まぁ、サナ達なら大丈夫じゃとは思っているんじゃが」


 ……ここにもいたか。


「よつば、〈魅了〉!」





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