表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第四章 地下迷宮。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/50

第三十話 指名依頼。

「指名依頼が入って……って、露骨に嫌な顔をしないで下さい」


 だって、どうせ、どこかの金持ちの護衛とか、うちの猫達をもふりたい、とかの依頼だろ。

 私の表情を見たギルドのお姉さんはため息をついた。


「お気持ちは分かりますけど」


 最近、意味のない指名依頼が多くてうんざりする。

 フラーの件でうっかりまた知名度が上がってしまったせいだ。


 あの小さな町で英雄扱いされるのが気恥ずかしくて、オパール王国の首都に拠点を移したのもまずかった。

 貴族や金持ち連中がうちの猫達に興味津々なのだ。

 中には高値で買い取るとかぬかしやがったやつもいたが、くぅが一声鳴いたら真っ青になってガタガタ震えながら謝罪してきた。


「でも、今回は少し違うみたいですよ」


 んー?

 本当に困っているって言うなら、依頼を受けてもいいけど。


「サナさんとナルシさんという方は、お知り合いですか?」


「!」


 一緒にキャラバンの護衛をした兄妹だ。


「見せて!」


 慌てて依頼書を受け取った。


『指名依頼 《猫を連れた冒険者》

 内容 サナとナルシ戻らず。捜索されたし

 依頼主 鍛冶職人ナロク

 場所 火山都市ガーネット』

 

 ……戻らないって、どこから?

 ナロクさんって人は知らないけど、サナ達の知り合いなのか?

 ガーネットは確かドワーフ達が住んでいる都市だ。


「……」


 サナ達は普段は護衛の依頼は受けないと言っていた。

 なら、討伐依頼か、探索か……。

 考え込んでいる私に、ギルドのお姉さんが確認してきた。


「どうなさいますか?」


 決まっている。


「この依頼、引き受けました」






「キング、〈空間転移〉。目的地は、火山都市ガーネット」


 キングがぱちりと目を閉じ、微妙な浮遊感と共に私達は移動した。


 火山都市ガーネット。

 休火山の麓にある都市で、主にドワーフ達が住んでいる。

 ドワーフ達の造る武器や防具、魔道具の売買と、炎鉱石と言われる鉱石の輸出が主な産業だ。


「とりあえず、ギルドに行かないと」


 街の中心部に、ギルドや商店、鍜治屋などが立ち並んでいる。

 ギルドに入ると。


「ええい、《猫の冒険者》はまだ来んのか!」


 あー、うん。ちょっと違う。


「ナロク、無理言うんじゃねぇよ。向こうさんは、大陸で一、二を争う冒険者だぞ?」


 ……そうだったの!?

 いつの間に、そんな事に……。


「うるさい! サナ達が友達だと言っておったんじゃ! 絶対に来る!」


「あの、すみません……」


「分からねぇジジイだな! 向こうにだって、都合ってもんがあるんだろ!」


「すみません……」


「友達が戻って来んのじゃぞ! すぐに来るに決まっとる!」


「あの……」


「依頼出したの三日前だろ! 物理的にも無理だろうが!」


「……」


「猫なんじゃろ! こう、ぱーっと来るわい!」


「……聞けや、こらぁぁぁ!!」


 私の怒鳴り声に、ドワーフ達は驚いて振り返った。

 ようやく気付きやがったな。


「依頼を受けた相田つかさです」


 って、ぽかんとしてんじゃねぇよ!

 いかん。落ち着け。

 私は一度息を吐き、改めて名乗った。


「依頼を受けた《猫を連れた冒険者》です」


「お前さんが……」


 文句を言っていた方のドワーフが、がばっと頭を下げた。


「頼む! ワシの子供達を捜してくれ!」


「子供?」


 サナ達は人間だったはずだが。


「サナ達は、ナロクのジジイの養い子なんだよ」


 喧嘩していたギルドのドワーフがそう言った。


「あの子らに何かあったら、ワシは……」


 そう言って、サナ達の親だというドワーフは拳を握りしめた。


「……ナロクさん、詳しい話を聞かせて下さい」


「引き受けてくれるのか?」


「……ナロクのジジイは、あまり報酬は出せねぇぞ」


 ぼそりとギルドのドワーフが言う。

 私は、にっこりと笑ってみせた。


「友達割り引きです」




「炎水晶が見つかったのが始まりじゃ」


「炎水晶?」


 聞き慣れない言葉に、私は首を傾げた。


「そうじゃな。うーん……」


 ナロクは握り拳を作った。


「炎鉱石がこれくらいだとすると」


 次に、両手を大きく広げた。


「炎水晶はこれくらいの力がある」


 分かったような、分からんような……。


「つまり、スゴいんじゃ」


「……なるほど」


「サナ達は依頼を受けて、その炎水晶を採掘しに行ったんじゃが……」


「戻ってこない、と?」


 ナロクはこっくりと頷いた。


「予定を一週間も過ぎておる」


 ……それはマズいな。

 二、三日遅れるのは、まぁ、よくある事だ。

 冒険者達もそれを想定して装備を整えている。

 しかし、一週間となると……。


「あの子らに冒険者の心得を叩き込んだのはワシじゃ」


 ナロクは、きっと顔を上げた。


「絶対に無理はせん」


 確かに、一緒にキャラバンの護衛をしていた時も用心深く行動していた。


「もしかして、どっちかが怪我をして動けない、とか」


「……そうかもしれん」


 優しい子達じゃからな、とナロクは呟いた。

 本来なら、怪我人を置いて一度戻ってくるべきなのだが。

 サナ達にそれが出来るとは思えない。

 

 まぁ、でも、見つけさえすれば、チャビの〈回復〉があるから大丈夫だろう。

 知り合いだから、せりの〈気配察知〉も使える。

 ナロクが私に依頼したのは正しかった。

 おそらく、私達以上の捜索者はいないだろうから。


「場所はどこですか?」


「ここから少し行ったところにある、地下迷宮と言われている場所じゃ」


「地下迷宮……」


 猫達はいいが、私には明かりが必要だ。

 まずは装備を整えないと。


「水と食料、明かりと……」


「明かりなら、これを持って行ってくれ」


 そう言って、ナロクは手のひらに乗るほどの透明な玉をよこした。

 玉の中では赤々と炎が燃えている。


「炎鉱石で作った明かりじゃ。それ一つで十日はもつ」


「じゃあ、これをあるだけ買います」


「金などいらんわい!」


 そう言って、ナロクは袋いっぱいに入った明かりの玉を私に押し付けてきた。


「いや、でも」


 炎鉱石で作った魔道具は、結構値が張るのだ。


「サナ達に比べりゃ安いもんじゃろ」


「……分かりました」


「もう少しワシが若かったら、自分で行ったんじゃが……」


 ナロクは、深々と頭を下げた。


「頼む! ワシの子供達を助けてやってくれ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ