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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第二章 魔導の塔。

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第十九話 鐘の音。

 この状況を打開するには、どうすればいい?

 くぅはもちろんだが、出来れば街も救いたい。


「……」


 私にしがみついていたチャビがごろごろいい始めた。

 猫が喉を鳴らすのは機嫌がいい時とは限らない。

 痛い時や怖い時に、自分自身を落ち着かせるために喉を鳴らす事もあるのだ。

 チャビの目は瞳孔が開き、肉球は汗で濡れていた。


 くぅは、魔導師達と魔力をぶつけあっている。

 老師と呼ばれた男は、私には聞き取れない言葉で呪文を唱え続けていた。


 どうすれば……?


 肩に乗っているりゅうたろうが、ぴくりと耳を動かした。

 ごおおおおんっ、と鈍くて大きな音がした。

 ……これは、鐘の音か?


 魔導師達の顔に驚きの表情が浮かぶ。


「鐘が、鳴った……?」

「ずっと鳴らなかったのに、何故だ?」


 ずっと鳴らなかった鐘が鳴る……?

 そうか。

 なら、チャビがこのままごろごろいい続けてくれれば……!


 チャビの〈回復〉は、復元に近い。

 病気や怪我が治るのは治癒というより、その状態になる前に戻っているのだ。

 建物が真新しくなるのはそのせいだ。


 なら、すでに真新しくなってしまっているこの塔は?


「!!」


 塔が揺れ始めた。

 天井から埃が落ちてくる。


 やっぱり、そうか。


 塔になる前に。

 建物の形になる前に。

 復元しようとしている!!


「くぅ!」


 鐘の音で、正気に戻ったようだ。

 くぅが私の呼びかけに反応して振り返った。


「逃げるよ!」


 足元がたわみ始めた。


「りゅうたろう、大きくなって!」


 大きくなったりゅうたろうの背中に、チャビとくぅを抱えてしがみつく。

 無限収納からおこんが作ったキャットタワーを取り出した。

 窓のすぐ近くに空までそびえるようなタワーを設置する。


 壁が崩れ始めた。


「りゅうたろう、飛んで!」


 塔が、崩れる!!


「ぐっ……」


 無事にキャットタワーに飛び移れたが、衝撃でダメージを受けた。……私だけ。

 そりゃ、りゅうたろう達は猫だから平気だろうけどさ。

 エアバッグが欲しかった……。


 あっという間に、塔は崩れてしまった。

 瓦礫の中に大きな鐘が落ちている。


 街の様子を眺めてみたが、特に変わった様子はない。

 あいつらが言っていた結界とやらが被害を広げなかったようだ。


「さて、あとは」


 ここから、どうやって降りよう……。




 私を背に乗せたりゅうたろうが、ひらりひらりとキャットタワーを降りていく。


 こ、怖い……。

 高いんだよ!


 高所恐怖症ではないが、さすがに高すぎる。

 降りる前に、くぅ達はキャットハウスに入ってもらっている。

 無事に地上に着いた時には、りゅうたろうにしがみついていた手に感覚がなくなっていた。


「貴様ら、よくも!」


 振り返ると、魔導士達がこちらを睨みつけていた。

 まじか。

 あの状況で無事だったのか、こいつら。


 ……? 

 何だろう、この違和感は。


「もうすぐ、老師の魔法が発動する!」

「思いしるがいい!」


 口々に叫んでいるが、声が変に甲高い。

 連中の中心にいた男が、口をぱくぱくと動かしている。

 ……あんなに若かったか?

 そう思っている内に、魔導師達の身体はみるみる縮み子供の姿になってしまった。


「わたしは、わた、ぼくは……?」

「おかあさん、どこ?」

「うわあああん」

「……」


 前に試したが、チャビのごろごろで若返る事はなかった。

 当然だ。

 身体だけ若返るなんて、そんな都合のいい事がおきる訳がない。


 だが、今回のチャビのごろごろは暴走に近い。

 私達のように免疫がなかった魔導師達は、子供の状態にまで復元されてしまった。

 これまで培った知識も経験も、全てリセットされてしまったのだ。


「……」


 ろくでもない連中だったが、さすがに何も知らない子供に仕返し出来るような性格はしていない。


「……行こう」


 手のひらサイズになったりゅうたろうを肩に乗せ、魔導の塔、いや、塔だった場所から立ち去った。

 子供に戻った彼らが、今度はまともな人間になる事を祈るだけだ。




 女神様に電話をかけ、キングを迎えによこしてもらった。

 神殿に現れた私達の姿を見て女神様は泣き出してしまった。


「りゅうたろうちゃん、チャビさん、くぅさん。無事で良かったです……」


 ……私は?

 っていうか、もはやネタだよな、これ?


「みうは?」


「家族の元に帰しておきました」


「ありがとう」


 私達の事をひどく心配していた、と女神様が教えてくれた。

 みうには〈とおみ〉の力があるのだから、私達が無事だった事も分かるだろう。


 あとは。


「ごめん、女神様」


「……どうしたんですか、突然?」


 突然の私の謝罪に女神様が首を傾げる。


 暴走したチャビのごろごろが、魔導の塔があった場所を街が出来る前の状態まで復元してしまった。

 つまり、塔があった場所は木々の生い茂った小高い丘になっているのだ。


「チャビさんが……」


 うん、お約束のアレだな。


「素晴らしいです! そんな事が出来る猫さん、ほかにいませんよ!」


 感動した女神様が叫ぶ。


 ……そりゃ、そうだろ。

 そんな猫がうじゃうじゃいたら世界が滅びるぞ!

 いや、いるな。ここに……。

 嘘だろ。

 まだ魔王ルート消滅してなかったのかよ!!


 とりあえず地図職人さんに心の中で謝っておこう……。

 いつも、ごめんなさい。




                 第2章 完




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