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素敵な夢に贈り物を  作者: 月出明人
3章:ラースと呼ばれる世界
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3-2:披露と反省

 4月17日。日付が決まっているって素晴らしいことだとあらためて思う。浩一(こういち)コスプレ計画(たんじょうび)まで後15日。もう一度言おう、素晴らしい。


 相変わらずの愛子(あやし)家のリビング。『今日は何をするか』そんなことを話し合っていたのだが、それは浩一(こういち)のこんな一言から始まりを迎えた。


「みんなの能力ってどんなの? 教えて欲しいんだけど。」


「んー。俺のは説明が難しいな。ひとつはテレポートなんだが、もうひとつの覚醒的な力に関してはわからないことだらけだ。赤いオーラみたいなのが出て身体能力がさらに上がったりする感じかな。」


 俺の説明に続き、皆が説明を始める。


「私は飛べるってだけよ。後はその時に翼が生えるくらいかな。」


「私のは見ての通り、こんな風に銃を精製するだけよー。なんなら的になってみるー?」


「私は氷を扱う。剣にして使うことが多いが、木庭袋(きばくら)という男はこれを含めてさらに3種類と聞く。皆のように特殊な能力と呼ぶには程遠い代物だな。」


「わ、わたしは傷を治せるみたいですけど……できれば使うような状況になって欲しくないです。」


 一通り説明を終えたところで、浩一(こういち)の表情が変わった。


「それを聞いて確信したけど、俺たち(・・・)はやっぱり特殊みたいだな。俺が助けた奴らも能力は持っていたが、光を出して目眩ましするとか、手を使わないで机くらいの重さの物を持ち上げるとか、そんな程度のものしかなかったんだ。いや、それを言ったら木庭袋(きばくら)もおかしいか。んーどういうことなんだろうな?」


 これについては浩一(こういち)が知らないことなので説明をしておかなければならないが、ひとつ気になったことがある。


浩一(こういち)俺たち(・・・)って言ったな? そういえばお前の能力は知らないが、どんなものなんだ?」


「あーやっぱ気になっちゃう? よーし、見せてあげたいけどここじゃあれだな。みんな悪いけど広いところに移動しない?」


「そこまでする必要があるほどに危険な能力なのか?」


「俺が危険っていうか、危険なのはお前らの能力っていうか……。まあ行こうぜ。ちゃんと説明するからさ!」


 こうして俺たちは、浩一(こういち)の能力というのを知るために、外へ出ることとなった。

 移動の前に、なぜ俺たちや木庭袋(きばくら)にだけ特別な能力があるのかを説明したのだが、それを聞いてどうやら納得がいったようだ。


 移動に関しては、近場に歩くよりも遠くでも知ってる場所ならテレポートの方が早いため、俺は3回に別けて新宿へと往復を繰り返した。

 そして皆の視線が自然と浩一(こういち)に集まる。


「ほんとは口で言っちゃえば簡単なんだけど、やっぱ実際に見せた方が面白いよな! じゃあ誰からいこうかなー。」


「誰から、とは妙な言い方をするな。他人をどうにかする能力なのか? あまり危険なものであるなら私は賛同しかねるぞ。」


 年長者として俺たちの身を案じている(れい)が否定的な意見を述べたのだが、浩一(こういち)はそんなこともお構いなしに、陽気なテンションのまま告げる。


「あー危険はないから大丈夫。ちょっと触るだけだからさ。じゃあちょうどいいから(れい)さんからいこう!」


 そう言って(れい)へと手を伸ばす浩一(こういち)だが……お前、その顔つきは犯罪者のそれだぞ。(れい)も怯えてしまって『ヒッ』という悲鳴をあげながら後退りしている。

 やがて、襲い掛かるのではないかと思えるほどの雰囲気の中、浩一(こういち)(れい)の手を掴んだところで、俺たちは息を呑んだのだが、そのまま手を放して元の位置へと戻っていった。


「ふぇ? 私に、な……何か、したのか?」


 (れい)がとても幼く、可愛い人に見える。なんだろう、ありがとう浩一(こういち)。面白いものが見れたなあ、などと思っているところで浩一(こういち)が能力を使用した。


「そ、それって氷……か?」


 代表して俺が問い掛けた形にはなったが、皆が思ったことは同じだろう。その手には(れい)のものとは違う形をした氷の剣が握られていた。


「うんうん。氷だねえ。どうやらうまくいったみたいだ。形も俺の意思でちゃんと変えられるな。」


「どういうことだ? 私と同じ能力ということか?」


 うまくいったと喜んでいる浩一(こういち)と、自分と同じ能力であることに疑問を持つ(れい)。でも何かがおかしい。うまくいった(・・・・・・)? それはまるで、今初めて能力を使ったような言い方だ。

 そして、浩一(こういち)はそんな混乱を置き去りにしたまま、今度はすぐ横にいた由美子(ゆみこ)の腕を掴んだ。


「ちょっとー! 何よ突然。銃弾のプレゼントが欲しいならそう言ってよー。」


 慌てて銃を精製した由美子(ゆみこ)だったが、俺たちの視線は()に釘付けになっていた。いや、由美子(ゆみこ)の銃はもう見慣れている。ではなぜ俺たちは()を見て驚愕したのか。

 それは浩一こういち由美子(ゆみこ)と同じ銃を精製(・・・・)したからだ。


「え? 浩一(こういち)の能力は氷じゃないのー? それも氷で作ったとか?」


 してやったり。そんな表情で浩一(こういち)は笑っている。ここで俺はようやく、こいつの能力がどんなものか察しがついた。


「能力をコピーしてるのか?」


「あったりー! どうよ? 俺のもかなり特殊だろ?」


「触った者の能力のコピー……か。かなり特殊だな。」


「病院にいた奴らの能力は簡単にコピーできたんだけどさ、颯汰(そうた)たちは特殊だから試させて欲しいと思ったのよ! だから広いところに来てもらったってわけ。」


 なるほど、俺たちの特殊な能力さえもコピーできるとは。これはとんでもない能力だ。


「コピーはいいんだけどさー。触り方がなんかいやらしいのよねー。もっと普通に触れないの?」


「わ……私も同意見だ。ある意味で木庭袋(きばくら)以上の恐怖を感じたぞ。」


 先に触られた二人が文句を言っているが、確かにあの迫り方は怖いだろう。俺もバイ○ハザードで見たことがある程度だ。うっかりヘッドショット食らわなくて良かったな……。


「ええ?! ちょっとショック……。でも、テストは続行だからな! よーし次はどっちにしようか!」


「待て! 既に美紀(みき)胡依(こより)が怯えてるじゃねーか!」


「ああ、ごめんごめん。じゃあ美紀(みき)ちゃん。ちょっとだけ腕掴むからごめんね。」


 そう言って今度は普通に美紀(みき)の元へと歩いて行く。なんで最初の段階でそうしなかったのか。どんだけ女の子に飢えてるのよお前。


「ひとつ思ったんだが、翼の生えた浩一(こういち)とか見たくねえな……。」


「この翼ってなんで颯汰(そうた)にないのかなっていつも思うのよね。絶対似合うと思うのに。」


「翼の生えた颯汰(そうた)か……。ああ! そんな! これ以上私をどうしようというのだ!」


 美紀(みき)(れい)がやかましい。そんな話はどうでもいいから早く次いけ次。


「じゃあちょっと失礼して。」


 美紀(みき)に触れたようではあったが、翼は生えていないようだ。


「どうした? 失敗か?」


「よっ! ちゃんと飛べてるじゃん俺。翼は生えないけど飛行能力だけはコピーできるみたいだなー。」


 確かに空中へと浮かび上がっている。どういうことだ? 飛行の能力だけをコピーできたということは、翼は飛行とは関係がないということか? なら、なんでそんなもんがあるんだ。

 まあ何にしても浩一(こういち)の翼、などという見たくもないものは見なくて済んだ。


「最後は胡依(こより)ちゃんか……。これ思ったんだけどさ? 治すってことは傷がないとダメなんじゃ?」


「それもそうだな。ああ、ちょうどいい。胡依(こより)には頼めなかったことがあるんだが、聞いてくれるか浩一(こういち)。」


 そう、これはとても大事なことなのだが、胡依(こより)自身に頼むわけにもいかない。その点、コピーした浩一(こういち)であれば遠慮はいらない。


「俺が殴って傷作ってやるから自分で治せるか試してくれ。」


「えっ?! ちょっ! それ俺が痛いじゃん!」


「じゃあ、こんなことを胡依(こより)にさせるのか? 諦めろ、お前の能力はこのためにあったんだ。」


「あ、あの……わざわざ殴ってというのはちょっと可哀想な気が……。も、もう少し優しい方法はありませんか?」


 胡依(こより)浩一(こういち)を庇うような発言をしてきたのだが、これが決定打となった。


胡依(こより)ちゃん……。大丈夫。君に痛い思いはさせない。これは俺にしかできない役目だ! 任せて!」


 男ってほんと単純だよな。


「んじゃ覚悟は決まったようだし構わねーよな? いやー浩一(こういち)なら遠慮なく殴れていいな!」


「お、お手柔らかに頼むぜ颯……」


 言い終わる前に、俺はテレポートして既に殴っていた。とは言ってもさすがに手加減はしている。頬が少し赤くなる程度で抑えたのだが、こんなもんでいいだろうか。


「ひでえ……。喋ってる途中で殴るから口切れちまったじゃんか……。じゃあ胡依(こより)ちゃん、ちょっと触るけどごめんね。」


「は、はい。大丈夫ですか?」


「こんなもん怪我のうちに入らないよ! すぐ治しちゃうしね!」


 そして浩一(こういち)が能力を使ったのだが、やはりというか俺が気にしていた通りの結果となる。誰かを癒す能力っていうのはゲームや小説でもよくあることだが、そういう奇跡的な力はだいたい自分には使えないものだったりする。


「やっぱりダメか。いや、そもそもコピーできなかったということはないのか?」


「イテテ……。いやどうなんだろ? コピーした、ということを認識することはできないからなー。能力として発動してみて、やっとコピーが成功したとわかるから判断が難しいな……。あ、そうだ。いいこと思いついたぜ颯汰(そうた)!」


「なんだ? わかる方法があるのか?」


 なんだかものすごく不吉な予感がする。何を考えてんだこいつ……。


「あのな颯汰(そうた)。ちょっといいか? 俺が……颯汰(そうた)を殴れば解決だろ!」


 なんの覚悟もないままに思い切り殴られた。


 よし、その喧嘩買ったわ。


 俺たちは不敵な笑みを浮かべたまま殴り合いを始める。

 呆れ果てた由美子(ゆみこ)が空へと銃声を響かせるまで、それは続いていた。


「なかなかやるじゃねーか。くそう、がたいが違うとパンチ力もちげーな。めちゃくちゃいてえ。とりあえず早く治してくれ。」


「あ、ああ……。そんな小さいのに相変わらずいいパンチしてるな、颯汰(そうた)。えっと回復回復っと。」


 結論。胡依(こより)の能力はコピーできない代物だった。貴重な情報ではあるが、その代償は大きい。


胡依(こより)、すまないが治してくれないか。結構膝にきちまった。」


胡依(こより)ちゃんごめん。ちょっと治して欲しいなーって思ってます。」


「し、知りません! お二人は、少し反省して下さい! 殴り合いなんて、わ、私は見たくなかったんですからね……。」


 この後、涙目になって怒ってしまった胡依(こより)の前で、二人のボロボロの男が土下座をしたという。


「自業自得だニャ。」


 あれ、この台詞つい最近聞いたような気がする。



特殊な状況で発現した胡依(こより)ちゃんの能力はさすがにコピーできないようです。


それにしても、文章の途中にこよりという名前がひらがなで入ると見辛いような気が……。

名前を変更するべきでしょうか。


いや、漢字の名前に変えてあげることにしましょう。

ネットで調べた結果、【胡依】に決定しました。


これ以降は【こより】は【胡依】となります。

過去の投稿分全て変更するので、大量の修正が入ることをお詫びします。

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