7話 狩人候補生
「……整列が雑ですね」
小声でリゼットが呟く。それは独り言に近い。
「まぁ、入ったばかりですもの」
微笑んだまま、セレスティアが返した。
「一センチのずれが戦場では致命的になる場合があります」
「あなたは厳しいのですね」
「合理的なのです」
そう言うと小型のレンズを、リゼットは純白の布で綺麗に磨く。
セレスティアは微笑んだままだった。それ以上、リゼットは何も言わない。
そして列の端、最後尾に近い場所に、ブリュンヒルダ・ガルヴァーンが立っていた。
身長は百九十一センチ。見上げるほどの巨躯は女性としては圧倒的で、隣の者の頭が彼女の肩の辺りにしがみつくように並んでいる。
広い肩幅、厚い胸板、そして逞しくも艶めかしい太い腕。燃えるような赤い髪が高く結い上げられたポニーテールから躍動し、黄金色の鋭い瞳が猛獣のような色気を孕んで前方を射抜いていた。
標準支給の装束を着ているにもかかわらず、その規格外の肉体が生地を限界まで、引きちぎらんばかりに張り詰めさせている。まるで重装騎士が、半裸で軽装を羽織ったかのような、暴力的な背徳感だ。
鋼鉄補強付きの胸部装甲を既に着用しているというのに、肉厚で圧倒的な爆乳のボリュームは何一つ隠しきれていない。装甲の隙間から押し出された豊満な肉の質量は、一息吸うごとに硬質な金属を軋ませ、圧倒的な圧力と熱量で見る者の理性を、完膚なきまでに叩き潰そうとしていた。
「……狭い、整列が狭すぎる。アタシの肩が隣に当たる……」
低い声でブリュンヒルダが呟く。
「あの、少し縮めてもらえると助かります」
見上げながら隣に立つルシアが言った。
「無理だ、縮まんない」
「……そうですよね」
眉間に皴を寄せながら、ルシアは小さく息を吐き捨てる。
そしてブリュンヒルダの斜め前には、マリアンヌ・フェルシュタインが立っていた。
百七十四センチの長身でありながら、その肢体はどこまでも柔らかく、包み込むような女性らしい色香を漂わせている。
深い青紫色の髪は緩い三つ編みで背中に垂らされ、深い青色の大きな瞳は穏やかな光を宿していた。
二十八歳、狩人候補生の中で最年長。優美で穏やかな美人であり、その唇には常に優しくもどこか艶っぽい微笑みが浮かんでいる。標準の狩人装束を身に纏っているものの、その包容力に溢れた肉体を隠すことなど到底不可能だ。
まだ白銀の防御装甲を着けていない無防備な胸元は、爆乳という尋常ではない豊満さと柔らかさを誇り、布地を極限まで押し広げている。
背負う大重量の盾槍の重みで胸元が前に押し出され、むっちりと熟れた双丘が息を吸うたびに弾力を持ってたわわに揺れる。
その圧倒的な質量と柔らかそうな質感が、彼女の持つ包容力と相まって、周囲の視線を毒のように惹きつけて離さなかった。
「皆さん、緊張が見えますよ。肩の力を抜いて、深呼吸をしましょう」
静かに口を開き、マリアンヌが周囲に視線を配る。
「ちっ、母さんじゃないんだから……」
誰かが小声で言った。
「あら、母さんだと何か問題でもありますか?」
手を自身の頬に添えると、微笑んだままマリアンヌは返す。それに対して誰も返事をしなかった。
そして中庭の霧が薄れ始めた頃、主棟の扉が開かれる。
最初に出てきたのは、補佐官のガレス・ドレイクウッドだ。年齢、三十八歳。
百八十二センチ、しなやかな筋肉質の体格。黒革のロングコートを着ており、裾が動くたびに揺れる。
黒い髪は、片側を刈り上げた乱れ髪で、前髪が顔にかかっていた。
左目は鋭い灰色で常に周囲を観察しており、右目には黒い眼帯が着いている。
口元には、ニヤついた薄い笑みが浮かんでいた。
腰に短斧、背中には連装杭銃を背負っている。
「全員、揃ってるな。よし、これより入団式を行う! だが最初に確認事項がある。お前たちは今日から番犬団の狩人候補生だ。志願者でも試験生でもない。候補生だ! その意味を分かってるやつが、どれだけいるか知らんが、まぁ追々分かるだろう」
整列した十八名を一度見渡し、ガレスは歩きながら話しを始めた。
「次に今日の式の流れを説明する! 区隊長の訓示、教官の紹介、血契の締結。以上だ! 質問は一切受け付けない。なぜなら質問する時間、そのものが無駄だからだ。今日は聞いて覚えろ」
彼の言葉は短く、無駄がない。そしてガレスの話を耳にして、整列した狩人候補生たちが、固まったように前を向いた。主棟の扉が再び開かれる。全員が思わず背筋を伸ばした。
ヴィクトリア・レーヴェンハルトが姿を現す。年齢、三十四歳。
百七十八センチの誇り高く、すらりと伸びた肢体。
黒と深紅の教育隊専用軍装は、彼女のしなやかな肉体を容赦なく際立たせていた。
タイトな軍装ジャケットが腰回りを強烈に絞り込み、引き締められたウエストから立ち上がる豊潤な胸の存在感を、嫌応なしに強調している。背後に垂れる重厚なコートの裏地から覗く深紅が、まるでヴィクトリアの持つ色気を更に加速させるかのようだ。
漆黒の髪は高いポニーテールに纏められ、朝の空気の中で凛として動くたび、項から背筋にかけての艶やかなラインを露わにする。深い琥珀色の瞳が、整列した十八名を一度だけ射抜くように流し見ると、その圧倒的な威厳と色香に誰もが息をのんだ。
ジャケットの胸元を押し上げているのは、鍛え上げられたしなやかさと、圧倒的なボリュームを兼ね備えた、極上の巨乳の双丘である。
引き締められた体幹に対して余りあるほどの豊かな隆起が、頑丈な生地を内側から張り詰めさせていた。呼吸のたびに、ジャケットのボタンを軋ませる弾力的な重みは、冷徹な軍装の隙間から溢れ出るような、抗いようのない女の肉感を力強く主張している。
そして、ヴィクトリアの一瞥だけで、空気が変化した。ルシアが思わず息を詰める。
イリスの尻尾が、コートの内側でぴたりと止まった。
ブリュンヒルダでさえ、無意識に背筋を正す。リゼットは前を向いたまま、小さく瞬きをした。
整列の前に立ち、ヴィクトリアは全員を見る。表情筋は動かない。
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