前へ目次 次へ PR 93/107 遠い闇から なつかしい空は やはり青かった 若い緑の葉っぱが 風に挨拶していた イチョウの大木は 天に届こうとしていた 光がポロポロと 降りそそぐ 駅舎の木陰で 待っていた どこからともなく やってくるものを はらりと何かが 落ちてきた 闇の国の 消印があった 白い便せんには 何も 書かれていなかった 電子音のような声で 小鳥が鳴き 風が紙面をなでると にじんだ文字が 浮かび上がった 意味のない平仮名の 羅列だった げんきかい ありがとう さようなら 並べ替えると そんなふうにも 読めた 遠い闇の国が キラリと瞬いて 消えた