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第20話 サークル活動

 初モデル撮影を終え、鏡さんが彼女になった記念すべきあの日から、数日たったある日朝から電話が鳴り、着信を見ると優希だった。こんな朝早くからなんなんだろうと思いながら、電話をとるといつものようにテンションの高い優希の声が飛び込んできた。まったく朝からなんなんだよ・・・そう思いながら話を聞いていると、優希の妹である奈美ちゃんの家庭教師をしてほしいという事だった。

 どうしようかと思いながら、軽く濁していたら、いつものように押し込んでくる。まぁ、知らない人じゃないから気楽だしな。バイト先に迷惑かけないように調整してから返事をすることにしよう。


 さて、大学にいくか・・・単位は出来るだけとっておかないと、後々大変になるしな。

 準備を整え、家を出ると驚くことに、祖父が待ち構えていた。満面の笑みをこちらに向け、

「おはよう!大学行くんじゃろ?送っていってやる。」

 そう言いながら車のドアを開けていた。さすがに今日はあの車ではなく、ミニバンだった。話しを聞くと、これから仲のいいのメンバーでバーベキューをするらしい。そのメンバーを迎えに行く途中に大学があるので、うちに寄ったとのことだった。なにか鼻歌を奏でながら運転しており、明らかに上機嫌なのがわかる。

「今日のバーベキューそんな楽しみなの?」当たり前だろうと回答がくるであろう事を聞くと、

「あぁ、そりゃ楽しみだ!なんせ三年ぶりに会うやつらじゃからな!儂らの年齢になると、一年一年が勝負じゃからな!ははは」

 何の勝負だよと、あまり突っ込まないようにした。歳を重ねると、どうなるかわからないという事もあり、会えるだけで至上の幸せなのかもしれないしな。そう考えていると、祖父は急に真面目な顔をしてゆっくりと口を開いた。

「慎。お前の成人式をする日取りが決まった・・・」

 あぁ・・・そういう事か、それを伝えるために送迎を口実に来たのか。

「分かりました。詳しくは、後で伺ってよろしいですか?学校も見えてきましたし、着替えてから向かいます。」

 祖父は、黙って頷き前を静かに見据え、運転していた。そうしているうちに大学に到着し、車から降りると

「慎。なにもそこまで深く考えなくていいじゃぞ?さらっと済む話じゃからな。」

 ニコリと笑い、頷き返事をした。祖父は、後でなと手を振り、去っていった。深呼吸して、気持ちを切り替え顔を両手で軽く叩き前を向いた。


 教室に到着するとほどなくして講義が始まった。講義を聞いていると、

「よう、あんた主席入学ってのほんと?」肘をつきながら慎の顔を覗き込む男がいた。

「ん?なんかそう言われてるみたいだけど、どうなのか俺は知らないよ。入学式の慣例が本当ならそうなんじゃないかな?」小声で苦笑しながら、返事をすると

「じゃ、間違いないな。」とその男は自己完結していた。初めて話すその男は続けて

「ねぇ、君さ?まだサークル入ってないよね?うち入らない?」唐突の勧誘に思考が停止してしまった。その時

「そこの君たち、自分が講義を聞いてなくて今後に影響が出るのは自己責任だが、そのせいで周囲に迷惑をかけるのはいただけないかな?赤坂くん?そして、津田くん。君たち成績はいいんだから、もっと励みなさい。」

「「はい。申し訳ありません。」」二人は立ち上がり頭を下げた。

「分かってくれたならそれでいいですよ。座ってください。」助教授は優しく笑い、講義を続けた。

「話は、後で聞くよ。それでいいかい?」慎は小声で話しかけ、津田と呼ばれた男は頷いた。


 講義も終わり、津田とともに教室を後にした。自販機でコーラを二本買い、一本を津田に渡した。

「で、いきなりなんだい?サークル勧誘なんて今更だね?ちなみにバイトで忙しいから難しいよ。でも、一応聞いとこうかな。なにをやってるサークルなんだ?」栓を開け、口に含んだ。

 津田は頷き、「ありがとう!でも、参加は時間のあるときだけでいいんだよ?おっと、その前に活動内容だったよな。俺たちは、神を研究するサークル活動をしているんだ。主に、古来からの日本の神、そう神道についてだ。天地開闢(てんちかいびゃく)から日本の神々を研究しているんだ。俺を含めて、五人だけなんだけどね?大手サークルの様にOBなんかの人脈を作るのは、難しいだろうけど、活動を通じて日本古来の文化的な人たちの話しを聞き、意外な人と繋がっていく事もあるんだ。なにより、君が入ることで活動と研究が大きく前進すると考えているんだ。噂で何故かサークル参加していないことを聞いて、白羽の矢を見事突き刺しそして部室に連行しようと企んでいるのです。」腕を組み、自信たっぷりに語っている姿をみて、ここにもゴリ押しが・・・と考えながらも

「それって、君たちのメリットがほとんどじゃないか」と笑いながら回答すると

「その通り、でも将来的なメリットを考えるならサークル参加するべきなのに、してないのは何故だい?」

 痛いところをついてくる奴だな、確かにサークルに参加することで、OBなんかの人脈ができたりでメリットは大きいとは思うが、何のことはない、面倒だったからだ。贅沢言わなければ、就職はなんとでもなると思っていたし、最悪爺さんと一緒に農業をするのも有ではないかと考えていたからだ。

「まぁ、正直面倒だからの一言かな。」苦笑しながら答えると、


「まぁ、サークルに入ってない人はそんなもんだよ。後、バイトでで忙しいとかね。」

「あぁ、でも俺今朝、友人の妹の家庭教師やる事になったし、バイトもやってるから、結構忙しいんだよ?」

 しまった、いらぬことを言ってしまったというような表情をした津田は、

「ま・まぁ毎日じゃなくてもいいんだよ。やっぱ、なにか活動してると新たな発見もあるだろうしさぁ!是非とも、当サークルへきてはくれないか。いや、行きませう。とりあえず見学だけでもということで!」

 そう言いながら、慎の首元を掴み引きづっていった。

 俺・・・行くって言ってないんだが・・・言ってないよね?そう思いながら腕を組み首を傾けた。


 そうこうしているうちに、キャンパスの一角にある木製の長椅子に集まっている男女がおり、こちらを確認し声を掛けてきた。

「津田ちゃん、なにそれ?ってか誰それ?なんで引きずって来てんのよ。その人可哀そうじゃない。」その女性はそう言いながら、津田に詰め寄ってきたが、津田はそれを鼻息を荒くして、

「見よ、諸君!彼が、先日話していた赤坂君だ!やっぱりどこにも所属していなかったので、是非見学だけでもと、説得してついてきてもらったのだよ!これは、僕の交渉術のなせる技だね!」

 ペロリを舌をだし、サムズアップしながらその場にいたサークルの会員たちにウィンクをした。自慢げに宣言をしている津田の背後に回った影があった。その影は先ほどの女性で、手には何故か竹刀があった。その竹刀が、大きく地面と水平に揺れたかと思った瞬間に竹刀が陽炎のようにぶれた。その先には、津田の尻があり、キレのある乾いた音がその場に響き渡った。


 声にならない声を上げた津田は、その場にひざまづき両手で尻を抑えていた。

「だからぁ、どう見ても強制連行にしか見えないから、言ってるのにもう少し、人の話を聞きなさいよ!」右手の竹刀を肩に乗せながら、津田を諭していた。その女性は、こちらを確認すると

「ごめんなさい。このバカ者が迷惑をお掛けしました。」深々と頭を下げた、言葉を失っていた慎は、はっと意識をもどし、白いワンピースを着たおかっぱの女性に

「いや、別に気しないでください。それなりに楽しんで連れてこられたので・・・ただちょっと強引だなとは思いましたが・・・」

 女性はジロリと津田を睨みつけると、津田は待て違うんだと慌てていた。そんな津田を見ていて哀れに思い、思わず

「そのへんにしてやってどうですか?それにまったく興味なかったら、手を払ってでも来るつもりはありませんから、「「ほんと?」」

 言い終わらないうちに、津田とその女性が詰め寄ってきた。その勢いにたじろぎ、後ずさり

「う・・うん。まったく興味がないわけではないよ?彼女も、神職につくため勉強してるって言ってたしね・・あは・・あはは」頭を掻きながら答えると、二人は親指と人差し指で顎をいじり、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、顔を見合わせた。

「ん・・ん?な・・なに?俺なにか変なこと言いましたかね?」頬を引きつりながら聞いてみると津田は


「彼女いるんだ~?いいねぇ~、ところでさぁさっき彼女が神職を目指しているって言ってたけど、彼女がこれからなろうとしているものに造詣(ぞうけい)を深めることは、有意義なことではないかな?ひょっとしたら彼女の力になれるかもしれないよ?」

 それを聞いた慎は、確かにそうだと思い考え悩みはじめる。

「それに、彼女も共通の話題があると話もより弾むんじゃない?そうすれば、より親密になれるんじゃないですかい?旦那~♪」耳元でさっきの女性が囁いた。振り向くと、二人は腕を組み横に並び、無言で静かに頷いていた。



 そして俺は・・・・サークル活動の加入申込用紙に名前を書いていた・・・

 津田と女性は申込用紙を風の様に奪い取り、他の会員と円を描くように申込用紙を崇めていた。

「やったぞ!南雲!あの赤坂君を手に入れたぞ!これで、他のサークルを見返せるぞ!」

 どうやらその女性は、堤 南雲(つつみなぐも)というらしい。話しを聞くと、津田とは幼馴染らしく、いつのまにか津田が馬鹿なことをすると、突っ込みを入れる役になったとのことだった。そして、つだの名前は八雲という事だった。津田八雲に南雲って・・・なんか響きが似ていると感じながら連絡先を交換していた。


 そしてバイトや家庭教師があるので、時間のある時だけだと念を押しキャンパスを後にすることにした。あぁ、しかし疲れた・・・溜息をつきながら校門を出ると、祖父がミニバンで迎えに来ていた。

「おかえり。さぁ家に帰るぞ。」

静かに頷き

「はい。まいりましょう。」

車は静かに動き出した。

交通事故にあったり、家族が入院したりでばたついてました。


久しぶりの投稿で、楽しみました。

読んでくれてありがとうございます。

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