第14話 嘘と恋心
3連続投稿・・・疲れました。笑
食事を終えた二人は、とりあえず当てもなく走り、夜景が綺麗に見える山の展望台にやってきた。空気が澄んでおり、景色がはっきりと見えて感嘆の声がでる。
車から降りた二人は黙ったまま歩き、景色を楽しんでいた。すると突然、数歩先を歩いていた鏡が手のひらを組んで振り返った。街灯が少ないため表情はよくわからなかったが、優しい空気が感じられた。
「ねぇ、慎君・・・さっきのお爺さんとの稽古のお話しなんだけどさぁ・・・あれ嘘でしょ?」
突然の問いかけに、慎は声を失った。どうして?と問い返すと
「う~ん、なんて言ったらいいのかな?話してくれた全部が嘘って事じゃないと思うの・・・」
そりゃそうだ、実際やってきたことだから、嘘ではない。全部ではないが・・・黙っていると
「全部が嘘じゃなくて、全体の一部だけを話してるってのが正しいかな。慎君は嘘つくの下手そうだからね、さっき銃持ってた男の人に話しかけた時も、微妙にぎこちなかったしさ。」
そう見られていたのか、なんて言っていいか言葉を探しているが、なかなか言葉がでない。祖父は、信頼できる人になら話していい、むしろ話せと言っていた。それがお前の心の安寧に繋がるのだからと・・・。ただし、条件が一つだけあった。
「まだ出会ったばかりだから、何もかも話してなんてのは、都合のいい話しだと思ってる。だから、今は無理に話さなくていいよ?知ってほしいのは、それだけ慎君に興味を持って見ているってことと・・・」
言葉尻がすぼんでいくように小さくなり、どうしました?と声をかける
「慎君!私は、興味だけではなく、あなたの事が男性として好きになったみたいです。それで、どうしたらええやろか・・・」
両手の指をいじりながら、うつむいていた。
突然の告白に驚き、
「あああの、ありがとうございます。是非よろしくお願いします。」
精一杯で出た言葉がこれで、激しく後悔した。返事に少し不満そうな鏡は
「えぇ・・・よろしくお願いってなんか嫌やなぁ・・・慎君の気持ちはどうなんかな?他に、気になる人いるんやったら今の忘れてくれたらいいんやけど・・・うちは好きやから、あっこれは牛丼の〇き屋のことちゃうで?気持ち的な事やで?好きやから、できるだけ色んな事を知っておきたいと思う、言いたくない事なら仕方ないけど、知って受け入れて共有したいねん。」
照れ隠しで、軽い一人ノリ突っ込みはあったが、真剣そのものなのは慎に伝わった。これはまず自分の気持ちを伝え、これからどうしたいかを話さないといけないと心に決めた。
「鏡さん、まず謝らないといけないので謝ります。申し訳ありません。突然のお話しで驚きと嬉しさで、混乱してしまいました。実は、僕の中では彼女にしたい人は鏡さんしかいません。そのために、今日デートにお誘いしたと言ってもいいです。」
慎に向かって黙ったまま見つめ、慎の次の言葉を待った。
「僕は、鏡さんが好きです。本当は、僕から言おうと思っていたんですが、先を越されてしまいましたね。」
恥ずかしそうにうなじを掻いていると、鏡は「よし!」と気合を入れるようにガッツポーズをしていた。
「めちゃめちゃ嬉しいわぁ!ありがとう~うちの初めての彼氏やわぁ~。」
ん?初めての彼氏?なんと?そんな馬鹿なと
「鏡さんほど、綺麗で可愛らしい人が今までいなかったんですか?なんで?それこそ嘘だぁ~!」
少し、むっとした鏡が
「嘘ちゃうで、こんなん嘘言っても仕方ないやん。今まで、声かけてくるやつはみんな胸と顔ばっかり見て、ニヤニヤしてかわいいね~綺麗ね~、一緒に今夜一晩遊ぼうよとかばっかやで?アホかそんなん気持ち悪いわ!その点、慎君は素直に褒めてくれるし、それが自分の中に自然と受け入れる事が出来て、喜び嬉しさになるって事は、好きと言う感情に他ならないのですよ私には!」
要は、下心満載の人ばかりで縁がなかったという事か、俺も大差ないような気もするが・・・
「わかりました。鏡さん、疑ってすいません。僕はあなたが好きです。大好きです。僕もあなたの事を知っていきたい。あなたと一緒だと思います。でも、始まったばかりなんですから、少しづつでいいじゃないですか?最初に詰め込みすぎて、すぐマンネリなっちゃうと嫌ですから・・・」
照れ笑いをしながら謝ると、鏡は
「そうやね。車でもいきなり5速入れたらエンストするもんな!じゃ、今日は一つ私から・・・」
そういって慎に近づき、耳元にで囁いた
「当然、私はバージンやで・・・よろしくな・・・」
小悪魔の様に悪戯笑いを浮かべ、すぐに離れた。硬直した慎は、顔を真っ赤にしながら
「ぼ、僕も童貞ですから安心してください~。」
思わず発した言葉に、更に混乱に追い打ちをかけてしまい、自分で首を絞めているような状態だった。その、錯乱している慎をみた鏡はお腹を抱えながら
「あははははははは、あははは、はははぁは~は~。なにが安心できるんよ~できる要素ってどこなんよ~。お互い経験ないんやったら、不安しかないやん~。は~は~」
息を切らし、爆笑で目元には少し涙が溜まっていた。慎は笑いすぎじゃね?と苦笑していた。
「じゃ、とりあえず車に戻って、飲みに行きますか?」
「あ~未成年なのに、ダメなんじゃない?」
「お祝いと記念ってことで、許してくださいよ。保護者のおねぇ様。」
「よしきた、慎君を保護しちゃいましょう!さぁ焼き鳥でも行こうか。私は、鳥が大好きだ~そして、慎君も大好きだ。」
さらっと、恥ずかしい告白をされたが、幸福感に包まれていた。しかしながら、チョイスがサラリーマンみたいな人だなと思いつつ車に乗り込む。
さぁ、目指すは焼き鳥だ!




