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第11話 正義感?いえ下心です!

 撮影が終わり、車に乗り込みエンジンに火を入れた。心地いいエキゾーストに自然と笑みが浮かぶ。

 走り出した車内では、撮影の話題でもちきりになり、話しが尽きず、撮影に参加させてもらってよかったと、思う慎だった。


 信号に捕まり、少し前で検問をしているのが見えた。近づくと警察官がかっこいいねぇと笑いながら、協力をお願いします。とのことで、トランクを見せてもらいたいという事だった。どうやら、近辺で銃器の発砲事件があり、すべての車を見せてもらっているということだった。物騒ですねと答えながらも、本当に困ったもんですよ、でもこんな車なら目立って仕方ないから、大丈夫なのは間違いないけど、申し訳ないけどご協力お願いしますと言われ協力しないわけにはいかない。この車のトランクはボンネットを上げるとトランクが現れるのだが、トランクの中には当然物騒なものがあるわけがない。

「ご協力ありがとうございました。では、気を付けて運転してくださいね。いいもの見せてもらいました。」

 どうやら車が好きな警察官のようで、嬉しそうな姿を見て少し心が温まる感覚を覚えた。


 検問を通過し、

「いや、びっくりですねぇ。発砲事件だなんて、実はただの爆竹なんかで音だけが出る玩具だったらわらいますね。」

 鏡に話しかけるが、当の本人は手を口元に当て何か考えているようだった。ハザードを点滅させ停車し、

「・・・?鏡さん?なんかあった?」

 はっとした表情でこちらを見返し


「うん、ちょっと気になる事があってね・・・」

 どうしたんだ、何が気になることだったんだろう聞いていいものか悩む慎であったが、相手が口に出している以上、聞くべきであると考え、なにが気になるんですか?と問い返す。


 どうやら、検問を受けている間暇だったので、車の外を眺めていたら、周囲を妙に気にしながらかばんを異常に大事そうに抱き込み目線が泳ぎ、挙動不審な人が検問を見つけた途端に横道に消えていったのだということだった。まさか、そんなできた話しないでしょと思いながらも、唾を飲み込んでしまう程の緊張感が漂った。


「実は、その挙動不審な人が、今話してる間にいるんだよ。ほら、あそこ。」

 小さく指を指し示した先は、距離にして十メートル程度だろうか、横道から現れ大きく深呼吸し落ち着いたのか、ゆっくりと歩き出す、二十代くらいの男がいた。


「あの・・・鏡さん・・・マジですか?」

 黙って頷く鏡をみて、慎は腕を組み少し考え小さくため息をついた。仕方ない・・・やるか・・・と諦める。まぁ、少し鏡にいいところを見せたいという下心もあったのは否定できない慎だった。


「鏡さん、いいですか?さっき話していたことを警察に電話して、今このナビに表示されている住所を伝えてください。僕は、時間稼いで見ます。ナビが壊れたとか言いますんで。」

 でも、勘違いかもしれないしと言っていたが、間違いなら土下座でもなんでもしますよ、それで安心できるんなら安いもんじゃないですか?といい残し車を出る。それを見た鏡が、急いで電話を始めた。


 ちょうど周囲に人がいないことも声をかけやすい状況だった。

「あの~すいません。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど、助けてもらえませんか?」

 まずは、下手に警戒されないように、お願いをすることにした。もし、さっきの検問での話しと鏡の話しがつながっていたなら、危険この上ないので注意をしながら話しかける。

 声をかけられた男は、鞄を抱えたまま小さく

「・・・な・・なんですか?」

 怪しんでいる視線をよこしながらも、返事をしてくれた。これなら、多少なりとも時間を稼ぐことができるかもしれない、これからの会話次第でどう転ぶかわからないが・・・。慎は申し訳なさそうな顔をして、

「申し訳ないです。ちょっとドライブをしていたんですけど、さっき車のナビが壊れてしまいまして、現在地がでたらめな場所が出てきて、どこにいるかもわからない状況なんですよ。それで、道をお聞きしたかったんです。ほんとごめんなさい。」

 ぺこぺこと頭を下げると、少し警戒心が和らいだような表情へ変わった。

 しかし、そうはいってもかなり緊張し、警戒しているのは目に見えている男は、

「スマホの地図で見たらいいじゃないですか。聞くより確実じゃないですか?」

 呆れたように言い放つが、慎はそういった返しが来るのは想定内だった。


「そうなんですよね。それがあれば、お伺いすることもなかったんですが、僕の携帯はガラケーなんですよ。」

 苦笑しながら、携帯を見せると、男は面倒くさそうに、あ~ならしょうがないですねと、納得していた。実際、GPSもついてないメールと電話連絡用の為に持っていただけなので、話しの辻褄が合わせることができた。男は、小さくため息をつき、一瞬視線があさっての方向に泳いでいた。どうしようか、悩んでいるのだろう、慎はすかさず

「目的地は○○神社なんですよ。わかりませんかね?」

 鏡と出合った神社を目的地にした。それを聞いた男は、あ~あそこねと呟いた。

「ご存知なんですね?ありがとうございます。」

 すかさず謝意を伝え、知っているということに対して、最大限のありがたさを込め

「是非、教えてもらえませんか?もし、難しいなら、近くにまでいける大通りみたいなの迄で結構なので、お願いします。後の細かい行き方は、その近辺で再度伺うんで・・・」


「わかったよ。仕方ないなぁ。その神社に行くには、広めの道で近くにはいけるけど、少し狭い道に入らないと行けないから、広めの道とその近くの目印だけ教えるから、ただその先はその近辺にコンビニがあったと思うから、その辺で聞いたほうが確実だと思うよ。」

 どうやら諦めて、話しに乗ってくれた。慎は胸を撫で下ろした。

「本当助かります。ありがとうございます。」

 男は少し大げさに頭を下げている姿を見て、苦笑しながらわかったわかったから頭上げてよと言いながら手を振っていた。


 そして、頭を上げ男から道を聞きメモを取りながら視線を乗ってきた車の方向に目をやると、車の少し先からパトカーがやってくるのが見えた。その瞬間、男が突然声を上げた。

「くそっ、なんで巡回してんだよ。さっき検問で集まってたんじゃねぇのかよ。あ~あのパンダ(パトカーの事)むかつく、蟲も一緒に連れてきてるじゃねぇかよ、蟲虫蟲蟲・・・・」

 口から涎がたれ始め、眼球が上下左右にすごいスピードで動き始めたうえに、意味のわからないことを、言い始めた。


あっつながっちゃったのかな・・・と暢気(のんき)に考え始める慎だった。


いつも読んでくださる方、ありがとうございます。

PVが増えているのをみて、心のそこからありがたく思っています。

先日は1日のPVが100PVを越えていて驚いてしまいました。

これからも宜しくお願いします。


作者近辺の出来事

自分の住んでいる町に相撲部屋が、来ているので回しをつけたお相撲さんを見かけたりします。実物はやっぱ迫力ありますねぇ。

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