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中古にまつわる怖い話と奇妙な話  作者: 夏の月 すいか


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返してくださいー後編ー

 先ほどの電話の男性が店にやって来た。

 やはり言うことは電話と同じで「昨日売った人形のひとつを返してほしい」ということだった。

 西岸さんは困った。電話でも説明したし、本来ならそもそも返さなくてはいけない道理はないので、突っぱねたっていい話だ。

 しかしあまりに冷たい対応をしてしまうと店のイメージを損ねるし、店長としてアルバイトスタッフに示しもつかなくなる。

 西岸さんには同じ説明を繰り返す以外、どうすることも出来なかった。

 「どうにか廃棄業者に連絡して返してもらうことは出来ませんか?」

 無茶を言う。

 そんなことは出来るはずがない。

 「間違って売ってしまったんです。妻が大事にしている人形なんです。妻に返してもらって来いって言われて」

 そんあ事情を言われて「じゃあ返します」ということにはならない。店に人形はもう無いのだから。

 西岸さんは粘り強く説得して、どうにか男性に帰ってもらった。

 

 しかし、男性は何を思ったか一時間後にまた店に現れた。

 「妻に返してもらわないと離婚するって言われて」

 男性は涙を流していた。

 70歳近そうな男性が本気で泣いている姿を見るのは初めてだった。

 西岸さんは男性に対してかわいそうとは思わず、呆れる気持ちが上回った。

 この男もそうだし、奥さんだっていい歳だろうに聞き分けの無い……自分勝手なことばっかり言って……。

 だんだんと怒りが湧いてきた。

 「店にないものはお返し出来ません。これ以上は警察を呼んでお話させていただくことになりますけど、よろしいですか」

 「でも返してもらわないと……」

 「申し訳ありませんがお帰りいただけますか」

 

 

 その数日後から、店に男性の幽霊が現れるようになった。



 

 ―――えっ?唐突(とうとつ)ですね。

 話を聴いていた私(筆者)は思わず西岸さんに言ってしまった。

 西岸さんは笑った。

 「そうね。でも本当の事なんだから仕方ないじゃない]

―――まあ、そうですね。

 「でね、今だから思うんだけど…。本当はその男性に奥さんなんていなかったんじゃないかって思うの。その人形が奥さんだったんじゃないかなって…。ただの勘だけど…」

 

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