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第百八十一話

第百八十一話です。

 シフに成り代わっていた黒猫を肩に乗せた僕は、この子の案内の通りに施設内を歩いていた。

 シフは施設内にあるリオンさんの実験室にいるらしく、この子の言葉からしてあまりいい場所ではなさそうだ。

 それはともかくとして―――、


「君はシフと瓜二つだから、ちょっと姿を変えられるかな?」

「いいよ。ボクもあいつと同じなのは嫌だし。……どういう姿がいい? イヌ? トリ?」

「ッッッ!?」


 ま、まさか僕が決めてもいいのだろうか。

 いや、提案した僕が言うのもなんだが、正直、二体の黒猫が並んでいる姿も見てみたい。

 むしろ別種の猫みたいな感じでいいんじゃないか? スコティッシュホールドとかどうだ?

 でも子犬の姿とかもうやばいんじゃないか? オオカミ枠はハクロがいてくれるからアウトとすると……いっそのことフクロウ? いや、キツネか? ちっちゃいクマとかどうだぁ!?


「———」

「こ、怖い顔してどうしたの……?」

「このことは後で正式な場で話し合おう。あまりにも議論に時間を掛けすぎるからね」

「そ、そうなのかな……?」


 後でチサトと話し合って決めよう。

 と、思って彼女はUMAの姿に変身させようとするかもしれないから、その時は戦争だな。

 よし、なら次は―――、


「いつまでも黒猫と呼ぶのはどうかと思うから、君の名前を考えよう」

「……名前をくれるの?」

「名前をもらえると嬉しいらしいからね」

「キュー!」

「シャァー!」


 ユランとライムが同意するように鳴く。

 僕の内にいるハクロもざわざわしてるから、同じ気持ちだろう。

 その言葉を口にしていたシフも、名前を与えられた記憶は偽りのものだが、その嬉しいという感情は本物のはず。

 なら、これまでと同じ通りに名前を考えよう。

 嬉し気な表情を浮かべた黒猫だが、すぐに何かを思い出したのか難しい表情になってしまう。


「……どうしたの?」

「あ、いや、まだいいや。名前をくれるのは、もう少し待って欲しい」

「? ……君がそう言うのなら待つよ」


 もしかして先約がいたのかな?

 あまり深くは聞かずに通路の先を見る。


「もうパーティ始まっているだろうなぁ」


 窓の外の景色は曇り空だ。

 何気なくそう呟きながら通路を進んでいると、突然僕達のいる建物が大きく揺れる。


「———なんだ!?」


 なにかが爆発したような音。

 その音に思わず肩の黒猫を見るが、何も知らないと言わんばかりに首を横に振っている。


「ぼ、ボクも知らないよ!」

「……ならこれは……! ッ、ライム!!」


 水筒からライムを引き抜き、剣へと姿を変えさせる。

 それと同時に外から何かが窓を突き破り、通路に飛び込んだ。


「ッ、グリフォン……!?」

「ジャアアア!!」


 飛び込んできたのは僕の知るグリフォンよりも一回り小さな個体。

 それが三頭、通路に一斉に飛び込み僕を睨みつけている。


「どうしてこんなところに魔物が……!?」

「カイト、空を見てっ!」


 黒猫の声に窓の外に目を移すと、上空に空に浮かぶ船のようなものが現れているではないか。

 なんだあれ……!? 魔王軍か!? あそこから魔物が降りてきているのか!?

 あまりに非現実的な光景に唖然としていると、こちらを威嚇していたグリフォンの一体が襲い掛かってくる。


「ジャ!」

「ッと」


 黒猫を振り落としてしまわないように右手で支えながら、噛みつきを避ける。

 今は戦闘に集中しなくちゃやばいな……!

 意識を切り替え、左拳にユランの魔力を纏わせながらその胴体を殴りつける。


「ふんッ!」

「ギグェ!?」


 肉体強化込みで繰り出された拳は、小型のグリフォンを壁に叩きつけその意識を完全に奪う。


「「ギェェ!!」」

「まだ来るのか……」


 再び窓から魔物がやってくる。

 今はシフがいないから電撃も火炎も使えない。

 一体ずつ的確に倒していこうと、双剣に変えたライムを握りしめると、黒猫が僕の肩を叩く。


「カイト、ボクも力になれる!」

「力……!?」

「能力は微妙に違うけど、ボクもシフと同じだ!」

「分かった! 一緒に戦おう!!」


 悩む必要などなく返事をすると、肩にいた黒猫の姿が大きく変わる。

 シェイプシフターの力を核とした変身。

 スライムのような不定形の姿になった黒猫は、勢いよく僕の首へと巻き付いた。


「———マフラー?」


 真っ黒いマフラーに驚いていると、眼前にいるグリフォンが襲い掛かってくる。

 すぐさま迎撃しようとすると、首に巻かれたマフラーの先端が動き出し、グリフォンの胴体と首を切り裂いた。


「ボクが使える属性は電撃の一つだけだけど、その分変身能力に特化してる!」

「よし!」


 これ……帽子形態のシフと合わせたら、もう凄いことになるんじゃないか……?

 かっこいいけど、喜んでいる場合じゃないな。

 左腕をユランの魔力の盾で覆いながら、ライムを握りしめ数体のグリフォンへと向かって行く。


「以前は勝てないと思った魔物だけど……!」

「ギェェ!!」

「今は違う!!」


 噛みつきを殴り飛ばす形で逸らしながら、逆手に持った剣で首を落とす。

 ———魔王軍に無理やり使役させられて、ここまで連れてこられてしまったかもしれないけど、街の人に襲い掛かる危険があるから、できるだけここで倒さなければならない。

 だから―――、


「ごめん!」


 拳を突き出す形で、ハクロを放つ。

 半透明のオオカミは、グリフォンの首元に噛みつき意識を逸らせると同時に、先端を鞭のように伸ばした剣でとどめをさす。

 まだまだグリフォンはたくさんいる。


「カイト!」


 マフラーの先端が高速で動き出し、近づこうとするグリフォンを牽制し、切り刻む。

 限定的にオートガードみたいな感じか。

 なら、下手に指示を出さずに動いてもらおう。


「でも、ここからどうするか……!」


 僕が襲われているということは、必然的にリーファとチサトたちも同じ状況にあることを意味している。

 二人の安否を確かめにいきたいところだけど、閉じ込められているというシフも心配だ。


「シフはここから近くか!?」

「う、うん、研究室はもうすぐ!」

「なら、魔物を片付けながら向かおう!」


 まずはシフの救出! んでもって次はリーファとチサトの加勢に向かおう!

 今一度、気合をいれた僕は使い魔達を引き連れながらグリフォンへと突っ込んでいくのであった。

もしかしたら描写を追加するかもしれません。


更新についてのお知らせです。

インフルエンザにかかったり、正月が入ってしまうという理由から更新の方をストップさせていただきます。


次の更新予定日は1月6日頃を予定しております。

体調によっては更新が遅れてしまうかもしれませんので、その時は申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
カイトは今まで動物と触れ合えなかった分、色々と溜まってるんですねぇw 黒猫の姿に悩むとは。
[一言] これ最終形態ガスコイン神父になるんじゃ…?
[良い点] 一時ではあれども、テイムオーガと共に戦う夢を叶えたナナシちゃん チサトの建てたフラグが根を張ってて、ついニヤけてしまうというw [気になる点] 2匹の諍いはどんな形でケリが付くのか? 他に…
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