表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/246

角が痛いです



「ふぅ、美味しかったな!」

「おなかいっぱーい!」


 クレアとフィルは満足そうにおなかを撫でる。

 テーブルの上にあったたくさんの料理は、ほとんど二人で食べきってしまった。


「フィルはよく食べるな」

「食べるって楽しいからねー」


 そうかそうか、とクレアはなぜか満足げに頷いて、思い出したように手をポンと打つ。


「ああ、そうだ。

サクたちに帰宅用の魔法陣を頼んでこないといけないんじゃないか?」

「じゃあ私が行ってきます」


 そう言ってリタは席を立つ。


「サクとイアンには仮眠室を与えているからな。

えっと、さっき君たちが寝ていた部屋の三つ向こうだ」




 リタは廊下に出て、言われた通りに部屋を探す。


「さっきの部屋はここだから

……えっと、いち、に、さん……この部屋かな?」


 三つ隣の部屋の扉に耳を当てて、中の音を盗み聞く。

 何も聞こえなかったのでリタは諦めて扉を叩いた。


 コンコンコン


「……失礼します」

「なんの御用ですか?」


 暗い部屋の中、イアンは小さな明かりだけで何やら機械をいじっている。

 ドアを開けたリタのことをチラリと一瞥し、すぐに手元に視線を戻した。


「あの、サクさんは……?」

「博士はそちらでお休み中です」


 イアンは部屋の奥を指さす。

 暗くてリタにはよく見えないが、広い部屋の奥にはベッドがあるらしい。


「えっと、帰るために魔法陣を頼みたいんですが」

「わかりました、明日お目覚めになられたら伝えておきます」

「あ、ありがとうございます」


 リタの返事を最後に、部屋はしんとした。

 イアンは「まだ何か?」と少し嫌そうな顔をする。


「すみません、失礼しました……」


 部屋を出て、リタはふぅとため息をつく。

 イアンは少し苦手かもしれない、と思った。





 リタがダイニングに戻ると、テーブルの上の皿は綺麗になくなっていた。

 フィルは空いた机でぐだっとダラけている。


「サクさんはもうお休みになられていました」

「そうか! じゃあ今日は泊まっていけ! な!」


 クレアは楽しげに両手でテーブルをたたく。

 こうしているととても子供っぽい。


「帰れないのー?」


 テーブルを叩く音に、フィルは迷惑そうに顔を上げる。


「サクさんが寝てたからね」

「お家のベッドで寝たいー」


 フィルはそう言ってテーブルに顎をつけ、頬を膨らませる。


「フィル、今日はボクと一緒に寝よう!」

「えー、まあ帰れないなら仕方ないけどー」


 その返事を聞くと、クレアは椅子から飛び上がった。勢いそのままに、フィルの元へ駆け寄る。


「やった! もちろんリタもだぞ!」


 クレアはそう言って子供らしく満面の笑みを浮かべる。

 そのままリタの腰に抱きつき、グリグリと頭を擦りつけた。角が刺さる。


「いたっ、クレアさん角が痛いです」

「わ、すまん、嬉しくてな!」


 当たらないように角を掴んだリタに気付かず、クレアはリタから離れた。

 すると当然、


「取れた……」

「か、返せよー!」


 クレアの角は再び一本になってしまう。

 反射的に手を高く上げたリタに飛びつく。


「わ、すみません」

「角はこのワンセットしかないんだからな! 壊れたらどうするんだよ」


 クレアはムッとして、リタから受け取った角を愛おしげに撫でる。本当に大切なようだ。

 角があってもなくても威厳はあまり変わらないような、と思わず言いそうになってリタは口をつぐむ。


「じゃあ気を取り直して……」


二本角に戻ったクレアはコホンと咳払いをする。


「今夜はお泊まり会だ!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ