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54話 コーデル・ハルですが、ウチの大統領閣下がイライラしています


 1939年9月6日 アメリカ ワシントンDC



「We must be the small arsenal of democracy、か」


「さしずめ、我々が言う場合には、グレートですかな?」


「そうなるだろうな」


「プリンセス藤宮は、慎ましい表現をなさいましたな」


「自分の国の国力をちゃんと理解しているのだろう」


「裏で振り付けをしている人間が、でしょうな」


「そういうことだな」


「日本も手強いプレイヤーに成長しましたね」


「ああ、私が民主主義を守るとか、民主主義の大兵器工廠になると宣言したとしても、全部、プリンセス藤宮の二番煎じだと笑われるのがオチだ」


「では、ドイツにでも肩入れしますか?」


「まさか、いくら私でも、さすがにそれは出来んよ。第一、大義がない」


「有権者にそっぽを向かれてしまいますか」


「ああ、それに、ドイツの反ユダヤ政策は、いささか目に余る」


「我がステイツは、ユダヤ人の力が強いですからなぁ」


「そういうことだ。ユダヤ人を弾圧している、ナチスドイツに肩入れするのは、政治的にも自殺行為だよ」


「そういえば、日本は随分とユダヤ人に寛容な政策でしたな」


「ふん! ユダヤの資金と優秀なユダヤ人の技術者が欲しいのだろうよ」


「ステイツ在住のユダヤ人も、日本には好意的になっております」


「確か、欧州から避難したユダヤ人が満州に入植しているのだったな?」


「ええ、もう既に五万人は超えているかと」


「満州か……」


「過去にハリマン氏との約束は反故にはされましたけど、支那が満州を統治しているよりかは、日本の傀儡の方が安定しているかと」


「そのおかげで、満州の自動車市場の過半は、フォードとゼネラルモーターズで占めれた」


「まだパイは小さいですけど、将来的には更にパイが大きくなるでしょうな」


「うむ。満州事変といった瑕疵はあったものの、ここ最近の日本には付け入る隙がない」


「政策的にも、イギリスに近づいてますからなぁ」


「ちっ、我がステイツに近づけば良いものを……」


「日本は天皇制ですので、立憲君主制のイギリスに近いのは、やむを得ないかと」


「大統領制の我が国よりかは、イギリスという訳か」


「それに、一応はですけど、日本も民主主義国家ですので」


「そうだったな。日本も下院議員は選挙で選ばれる。つまり一応は、民主主義なのだから、ケチも付けられん」


「イギリスとほぼ同じ政治システムですな」


「日本の民主主義を否定すれば、おのずとイギリスの民主主義も否定する事になるということか」


「そういうことですな」


「満州といえば、モンゴルとの国境紛争はどうなっているのだ?」


「日本が優勢に進めているみたいですな。それと、拘束された日本人を解放するついでに、北樺太も日本が占領してしまいました」


「一応の大義名分は整っているという訳か」


「まあ、そうなりますな。それに、我が国が口を挟める問題でもありません」


「日本が強いのか、ソ連がだらしないのか判断に迷うところだな」


「ソ連赤軍は将校を粛清して、指揮系統がガタガタとの噂を聞きましたので、後者だと思われます」


「自軍の将校を大量に粛清するだなんて、我々には理解が及ばない出来事だな」


「スターリン書記長は、猜疑心が強いのでしょう」


「ふん、小心者めが!」


「共産主義というのは、政治システムに欠陥があるようですな」


「全体主義もだよ」


「結局のところ、我々の民主主義が一番マシということでしょうな」


「大衆に迎合せねば、選挙に勝てんことを除いて、という但し書きは付くがな」


「それで、話は変わりますけど、イギリスやフランスからの支援の要請には、どう対処しますか?」


「今はまだ、借用書でも構わんが、そのうち議会が五月蝿く言ってきそうだな」


「現金決済でないと、受け付けないと?」


「そうなるのも、やむを得まい」


「中立法が足枷になりますし、仕方ありませんか」


「それもこれも、すべてモンロー主義が巷に蔓延している所為だよ」


「まあ、欧州の出来事には、あまり係わりたくないという気持ちも分かるのですがね」


「問題を持ち込むのは、いつも欧州の連中だからな」


「ええ、困ったものです」


「まったくだ……」









 9月7日 東京 秩父宮邸



【南アフリカが、ドイツに宣戦布告!】



 ゲームでは、南アフリカが連合国から離脱するIFイベントがあったりもするのですけど、普通に連合国として参戦しましたね。

 南アフリカが中立になると、中立法違反でもしない限りは、ケープタウンの基地が使えなくなるので、イギリスが激おこぷんぷん丸になりそうでしたし、一安心といったところでしょうか。


 イギリスだったら、中立は敵と見做すとか言って、ドイツとの戦争を一時的に放り出してまでして、へっちゃらで、第三次ボーア戦争とかしちゃいそうでしたしね。

 英国紳士ならば、やりかねないのが笑えないところですよね。怖いです……



【ポーランド南西部の要所、クラクフが陥落!】



 開戦から、たった一週間で、クラクフがドイツ軍によって占領されてしまいましたか……

 ポーランド軍、弱すぎるよ! もっと頑張れよ! もっと熱くなれよ!


 いや? この場合は、ドイツ軍が強すぎるのかも知れませんね。でも、ポーランド騎兵で、ドイツの戦車に突撃をかましたような気がしないでもない。

 さすがに、生身のお馬さんでは、鋼鉄のお馬さんには勝てないよ!




 9月8日



【フランス軍が、ドイツのザール地方へ侵攻!】



 へー、ファニーウォーだとばかり思っていたけど、フランス軍も一応は、ドイツ領内に進軍してみたんだ。でも、ハイキングか散歩の気分で進軍しているような気がしないでもない。

 どうせ、そのうち直ぐに引き返して、マジノ線に引き籠もるに決まってますし。


 マジノ線には、フランス人を引き籠もらせるだけの魅力があるのですから!

 まあ、私だったら、コートダジュールでバカンスの方を選ばせてもらいますけど。




 9月11日



【カナダがドイツに対して、宣戦を布告!】



 これで、イギリス連邦のメインとなる国々は、すべてドイツに対して宣戦布告したことになりましたね。第二次世界大戦の初期のプレイヤーが、すべて出揃ったといった感じでしょうか?

 カナダって人口は少ないけど、なにげに第二次世界大戦では、世界で6番目ぐらいには軍隊が膨れ上がってしまった、軍事大国でもあるんだよね。


 ちなみに、hoiの初心者プレイには、カナダをお勧めします! イギリスお助けプレイは、中々にやり応えがあった記憶がありますので。

 といいますか、カナダが助けないと、イギリスが死にます。


 つまり、それぐらい、カナダという国は、そこそこの国力があって、イギリスにとっては大英帝国を支えるのに必要不可欠な構成要素が、カナダなのです。

 インドは大英帝国の至宝とか呼ばれていましたけど、カナダは大英帝国の右腕とかになるのかな?




 9月16日



【ドイツ軍が、ポーランドの首都である、ワルシャワを包囲!】



 開戦から二週間とちょっとで、ワルシャワが包囲されるだなんて、世界中の誰も思ってもいなかったでしょうね。私を除いてではありますけど。

 これはもう既に、ポーランド軍は青息吐息といったところでしょうか?


 ポーランド軍、弱すぎるよ! もっと頑張れよ! もっと熱くなれよ! もっと気張れよ! もっとドイツを苦しめろよ!



【フランス軍、ドイツのザール地方から撤退!】



 はいはい、お散歩ご苦労さまでした。一体全体、何をしにドイツ領内に侵攻したのでしょうかね? 威力偵察というヤツだったのでしょうか? それならば納得もいきます。

 まあ、マジノ線が恋しくなってしまい、里心が出てしまったのが正解なんでしょうが。


 マジノ線には、フランス人を引き籠もらせるだけの魅力があるのですから!

 まあ、私だったら、レマン湖の畔で対岸のローザンヌを眺めながら、優雅にティータイムをする方を選ばせてもらいますけど。



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