第9話同接100万人が見届けた真実
「な、ななな……何なんだよ、今の……!」
シンが腰を抜かし、地面にへたり込んでいた。
スマホの画面を見ると、コメント欄が文字通り「大爆発」している。
『は?????』
『今何が起きた????』
『CGだろ!? ヤラセって言えよ!!』
『同接10万超えたぞおい!!!』
シンの配信は、口コミが急速に広まり、同接数が一気に10万人を超え、なおもウナギ登りに増え続けていた。
「ヤラセ……そうだ、ヤラセだろこれ! お前、事前にここに細工してたな!?」
シンが血走った目で立ち上がり、俺の胸ぐらをつかもうと手を伸ばしてきた。
視聴者の前で恥をかかされ、完全に理性を失っている。
「触るなと言ったはずだ」
俺はシンの手をパシッと叩き落とした。
その瞬間、シンの身に付けていた、数十万円の高級ブランドの防御装備が、ピキピキと音を立てた。
「あ、あれ……?」
金色の装飾がみるみるうちに黒ずみ、本革のベルトがひび割れてボロボロに千切れる。
数十年分の経年劣化。最高級の装備が、一瞬で「ただのゴミ」に変わった。
「ひっ……! 俺の装備が……!」
「次、俺に触れたら、お前の『寿命』がこうなるぞ」
俺が冷たい目でシンの瞳を見つめると、彼はヒッと短い悲鳴を上げて後ろに飛び退いた。
その様子も、すべてスマホのカメラを通じて、リアルタイムで全世界に配信されている。
現在の同接数、100万人突破。日本の配信歴史上、過去最高の数字だ。
『マジのバケモノじゃん……』
『シンの装備が腐ったぞ!?』
『この一般人、何者だよ!?』
ネット上は、俺の持つ「謎の能力」の考察で埋め尽くされ、お祭り騒ぎになっていた。
「配信、ありがとな。おかげで手間が省けた」
俺は恐怖でガタガタ震えるシンを置き去りにし、ダンジョンの出口へと歩き出す。
世界中に、俺の『時間搾取』の力が知れ渡った。
もう、誰も俺をただの元社畜とは呼ばない。
そしてこの配信を、ただの一般市民だけでなく、国家を裏で操る『本物の捕食者たち』もまた、信じられない表情で見つめていたのだった。
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