第7話配信者の舐めた態度
「おいおいおい、マジかよ! 新宿のVIPルームから出てきたの、ただの一般人じゃん!」
ギルドのロビーに、若く甲高い声が響き渡った。
自撮り棒のついた最新型のスマホカメラを掲げ、派手な金髪を揺らす男。チャンネル登録者数50万人を誇る有名ダンジョン配信者、シンだ。
俺がVIPルームの重厚な扉から出た瞬間、シンはニヤニヤしながら行く手を塞いできた。
「ちょっとそこのお兄さん、ストップ! 今、VIPルームで何売ってきたわけ? もしかして、どっかの有名パーティの荷物持ちで、コソコソ小遣い稼ぎ?」
シンの持つカメラのレンズが、俺の顔にぐいっと近づく。
スマホの画面には、リアルタイムで流れる視聴者のコメントが超高速で流れていた。
『誰こいつ?』
『ただの一般人じゃんwww』
『シン、突撃凸配信マジ最高!』
俺は足を止め、冷ややかにシンを見つめた。
「どいてくれ。用は済んだ」
「冷たいねえ! ほらほら、俺の配信、今同接3万人超えてるからさ。一般人のお兄さんも、有名になるチャンスだよ? それとも、何か見せられない後ろ暗いことでもあるのかなぁ?」
シンはさらに距離を詰め、わざとらしくカメラを煽る。周囲の冒険者たちも、何事かとニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「後ろ暗いことなんてない。ただ、あんたの相手をする時間が無駄なだけだ」
「あはは! 言うねえ! だったらさ、そのカバンの中身、見せてよ。もし大したことないゴミだったら、俺が美味い飯でも奢ってあげるから」
シンが俺のカバンに手を伸ばそうとする。
その瞬間、俺の頭の中に新しいアイデアが浮かんだ。
こいつの配信の同接は3万人。これを逆に利用してやれば、俺の力を世間に知らしめる絶好の舞台になる。
「いいだろう。そこまで言うなら、次の配信の企画、俺が提供してやるよ」
「えっ?」
シンが目を丸くする。俺はシンのカメラを真っ直ぐに見据えた。
「これからダンジョンに行くんだろ? 俺もついていってやる。あんたがいつも苦戦してる中層のボス、俺が『一瞬』で片付けてやるよ」
一瞬の静寂。次の瞬間、シンは大爆笑した。
「ギャハハハ! 聞いた? みんな! この素人、中層のボスをワンパンだってよ! よし、乗った! お兄さん、死んでも泣き言言うなよ!?」
画面のコメント欄が、一気に草(www)で埋め尽くされていく。
完全に道化を見る目だ。だが、本当にピエロになるのがどちらか、こいつはまだ分かっていない。
読んでいただきありがとうございます!
評価とブックマークをしていただけるとありがたいです!
次回もお楽しみに!




