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短歌 その7
死にたい理由が一つ減ったからプランターにも少し水をやる
この恋はピラニアの泳ぐプールに身を投げたいほどの衝動
優しい日々の横側にいたことそれだけは僕は忘れたくない
「疲れた」という言葉すらためいきに変わった片付いていない部屋
口当たりの良い量産された文章の中で窒息する
微分積分もルートも役に立ってない暮らしだけど嫌えない
最後の満月コールドムーンというなら心まで凍らせてよ
寒月の夜に死んだらあなたを照らす星になれるかもしれない
希望が見えるって言うけどそれってもう絶望の底だからだよ
キレイなものを見たいから私は眼鏡を外すちょうどいい街
手垢がついて使い古された言葉を君にだけ言う「愛してる」
そんな感情はゴミ箱に捨てたと言った顔は晴れやかだった
欲しくて手を伸ばしてふれた独りぼっちの星の温度は冷たい
傷つけない嘘も巣立てるための厳しさも気がつかせないように
優しすぎる想い出を裏切るように生きてやると君は笑った
どんなことも共感する魂は抱えすぎてうずくまっている
口当たりの良いデザートばかりを食べてきた僕には苦い言葉
鋭い大きな鎌が首に当たったまま明日へ 歩みは止めない
他人を「退屈なヤツ」と笑うようなつまらない人生は嫌い
「可哀そうな人生だ」と言うけどあなたよりも可哀そうではない




