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短歌 その1
電子の海に木標を建てる愚かと嗤う者もいるだろう
「寂しい」と呟く相手が二十億光年先じゃないこと
縋りつくように「愛している」と君はくりかえすから重石みたい
明日できるかもしれないけど「今」しよう 未来はないかもしれない
ポケットに入っているのはクローバーのついた鍵 ハートはよっつ
君は涙を零しながらも笑った もう僕の手は必要ない
猫型ロボットは迷惑な客だって何度でも配膳する
自分をより大きく見せるようなプライドはゴミ箱に捨ててきた
悪口をいう人よりもそれをそっと伝えにくる人の醜さ
僕は隣の席の君にテキストの後書きのような恋をした
醜い心が綺麗に映るから鏡は全部叩き壊した
「お帰りなさい」と笑えるリズムであなたと道を歩いていきたい
命の灯がひとつ消える度に生きている意味を考える
部屋の湿度がにじんで恋の重たさに似ていると思う五月雨
たまに全否定されるような日があるからそんな時は抱きしめる
アイを伝えるために言葉があるのにそれで傷つけあう僕たち
電話越しにあなたの寝息が聴こえきて「お休みなさい」と言えたの
逃げたい気持ちに蓋をして笑っているけど外は梅雨の大雨
白い錠剤を飲みながら普通になれる世界を夢見ている
心残りのない人生を歩みたいと旅立つ準備をする




