短歌 その10
「今日も頑張って生き抜いたね。スゴいよ」だけじゃ僕には足りない
希望と絶望の振り子が揺れ動く それが制止する時を待つ
可愛げがない。と言われるわたしに可愛らしさを教えてください
優しさが満たすゆりかごの中で孵化した雛は風の色を知る
幸せになるべきだと生まれてきたのならココは窮屈な世界
綺麗事を言うあなたが嫌いとハッキリと言う君の古い傷
独りぼっちの天国よりもあなたと一緒の生き地獄がいい
「こっちでも雪が降ったよ」と言えなければ電話ができなかった僕
差し出された一杯の水の底に小さな石が入っていても
死んで欲しいリストの一番目に自分の名前がある日常
如月の望月の頃 桜吹雪の中 窒息死する
※西行法師『山家集』より本歌取り
誰もが語る「優しい」世界の中 わたしは壁の外側にいる
三寒四温のこの季節 君のハミングは完全調和音
初めての手作りはマズかったと報告する君のチョコが欲しい
「人はパンのみにて生くるにあらず」と言うけれど飢えは粥さえすする
※キリスト教『パン』と仏教『乳粥(スジャータ―)』の対比
死ぬまで生まれたことの答え合わせの連続なんて皮肉すぎる
祈り給えは崇め奉れではない自分の決意の叫びだ
見捨てないでと縋る恋すら枯れた薔薇の花のように美しい
あなたが海なら私はそこで泳ぐマーメイド恋に溺れたい
銀の雨なんて良くある修飾語で飾られる雨が降った




