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デンサバ!  作者: 豚まん
第三章
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堕天の実力

 数日後、部室内にはデンサバ部一堂が集まっていた。

「これ見てください!」

 あてながスマホの画面を見せながら部室内にある机にスマホを置く。

「どうしたのよ。あてな」

 さくら部長が不思議そうな顔をして見つめてくる。

「それ、デンサバ中継じゃねえか!」

 今や国民的人気スポーツとなったデンサバ。当然配信なども大量にされている。

「ウェルカム!デンサバ~~」

 スマホ画面に現れたのは緑色のアフロに星型のメガネをつけたヘンテコな人物だった。

「今宵おとどけする試合は~~なんと私、ミスター鯖松!非公式の練習試合に潜入しちゃいます!」

「おいおい大丈夫かこれ」

 夏先輩が呆れている。

 画面はどこかの校舎を映し出した。巨大な水族館を思わせる綺麗な校舎。

「そして!鯖松がお送りするスペシャルマッチは……絶対王者堕天高校!」

 鯖松がそう叫んだ瞬間、動画の再生数の表示が跳ね上がる。

「対するは近年力をつけ始めている新鋭!特に今年の世代は強いと評判!羅刹館高校!」

「羅刹館って?」

「あてな……相変わらずね。近年スカウト活動に力を入れている私学。主将の三好原は全国経験もあるしどんな勝負になるか」

 メイがあてなを諭すように教える。喋っている間にだんだん胸を張りあげて得意げに喋るメイ。

 今は猫のニャー助は外に散歩中な訳で……。

「でもその試合!メイちゃんの」

 画面が揺れる。練習試合が始まった。非公式の練習試合とあって観客の姿はあまり見えなかった。ごく僅かなファン(堕天の名物おじいちゃん)はネットの後ろから旗を振っている。

 だが鯖松はフェンスの中からカメラを回しているようにしか見えない。これ多分アウトなんじゃ。

 堕天高校のスタメンが表示された。あてなはメイの方を見つめる。

 しかし発表されたスタメンにその名前はなく。

「堕天高校のスタメンだぜー!」

 鯖松が尚もたたみける。その手には黒猫社製のコーラ、ブラックパンサーが握れている。

 鯖松はコーラを一気に飲み込むと蒸せるようにゲップする。

「すまんすまん驚いちまって!なんと堕天のメンバーは厚木梨紗、古武羅五十鈴、貝瀬ほたる、八木萌火のフォーマンセルだあ!」

 さくら部長も夏先輩も驚いた表情をしていた。

「そして対する羅刹館高校は!三好原里香、奈月春、松原みり、船橋利麻の四人!今年の期待の新人、エレナはどうやら出ないようだぜ。なあんだ!僕ちゃん三好原&エレナペナ対魔月川瑠衣の戦いが見たいのに~~これじゃあ前戯ならぬ前座だよ。おっといけない。チャンネルはそ・の・ま・ま」

「ちょっと下品すぎじゃない」

 さくら部長も顔を顰める。

 しかしそんな部室とは裏腹にもうすぐ試合が始まろうとしていた。

 ◇

 プレハブ小屋が立ち並ぶ、堕天高校グラウンド。羅刹館高校の選抜チームは試合開始に合わせて作戦会議をしていた。

「三好原先輩。堕天のメンバーに四天王が一人しかいないなんて」

「……舐められてるのよ。悔しいけど」

 燃えるような赤色のツインテールをはためかせながら唇を噛む少女、三好原里香はそう呟く。

 魔月川瑠衣。その名前を忘れたことはない。あれは中学三年の全国大会初戦。当時一年生だった紫耀メイ、魔月川瑠衣率いる、青龍中に全く歯が立たなかったあの日から忘れたことはない。

「魔月川瑠衣!忘れたとは言わせないわ!この私、三好原里香を馬鹿にしてタダで済んだやつはいないんだからね」

 すぐに引き摺り出してやる。

 ベンチに座りながらスポーツドリンクを飲んでいる少女……魔月川瑠衣。まるで自分たちなど無視したかのようにその目はどこか違う場所を見ていた。

「くらえ!三好原里香様の潜在スキル『万能鎌』」

 体から鎖鎌を取り出し、それと同時に左手に持った拳銃を乱射。堕天高校の一人おさげ髪の少女を捉える。

「赤は血の色よ!『赤い珊瑚礁(ブラッディ・ラグーン)』!」

 万能鎖鎌の先端からマナでできた刃を作り出し、その少女にぶつけた。倒れるおさげ髪の少女。

 三好原里香が得意げに着地した時だった。

 眩いばかりの灼熱のエネルギーがグラウンドを覆う。熱い砂漠の熱風を思わせる破壊的な熱波だ。

「なんや。もうやられたんか?大したことあらへんな。だからあんたらはニ軍なんや」

 現れた少女、八木萌火は倒された自軍の仲間に向かって笑いながら言った。そしてその手にはすでに倒された羅刹館の仲間が握られていた。頭を持ちあげられ、引きずられている仲間の姿を見せつけられる。

 あとの二人も積み重なるように体を折られて山積みにされている。

「うちはな。甘っちょろいやつは嫌いやねん。ホログラムの撃ち合い言うたって体術ありやからな。」

 八木萌火は吐き捨てるようにそう呟いた。

 身体中の血が沸騰していく。

「許さない!私の仲間を!『万能鎖鎌』」

「ふん。『水蒸気発破』(スチームアップ)

 八木萌火は鎖鎌を軽くいなすと軽い正拳突きを放った。爆発的な熱風が三好原里香の体内を一瞬で駆け巡る。

 ◇

「というわけで非公式練習試合は三対零で堕天高校の勝利だ!いやーもうあっと言うまだったよね。三好原ちゃんには悪いけど正直相手になってないよね。堕天強し!僕ちんのバナナも堕天並に強し!」

 そこで中継は途切れた。

 

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